岩合光昭「金糸猴」

 今年は申年。サルはとても身近な動物です。日本の野生動物として、まず思い浮かぶのはニホンザルでしょう。それほど山奥に行かなくても出会うことができますし、住宅街に姿を現したハグレザルの捕り物劇がニュースになったこともありました。写真家の岩合光昭さんは、長野県地獄谷で暮すニホンザルを撮影したことがあります。雪玉を抱えた子ザルの愛くるしい姿をご覧になった方もいるかもしれません。

 岩合さんは現在、中国の動物たちの撮影に挑戦しています。中国には、おなじみのジャイアントパンダをはじめ、たくさんの珍しい動物がいます。珍獣といえば、ご多分にもれず、めったなことではお目にかかれません。今回の取材地も、2~3000メートル級の山の奥。その上、長雨にたたられて、崖は崩れ、道路は寸断され、20キロ以上も山道を歩くハメになったりと、やはり厳しい撮影条件になりました。

 中国のお話といえば、子どもの頃に『西遊記』を読んだ方も多いのではないでしょうか。キント雲に乗って暴れまわるやんちゃな孫悟空。陝西省には、いかにも孫悟空のモデルでは、と思われる美しいサルがいます。その名はキンシコウ。漢字で書けば、金糸猴です。成獣の毛並みはほんとうに鮮やかな金色で、家族を中心にした小さな群れで高い木の上で暮すことが多いそうです。もちろん動物園にもめったにいないので、ぜひ誌面で、その雄姿(?)をご覧ください。

 いろいろな動物を撮影するために世界を飛び回っている岩合さんですが、取材先での人々との出会いも楽しみにしているそうです。今回は、キンシコウの棲む近くの村の小学生と話す機会がありました。学校の運動場には遊具などは何もなくて、遊び方は、自分たちで考え出すとのこと。暮しは質素そのものなのですが、子どもたちの素朴で、いきいきとした目の輝きがとても印象的だったそうです。