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2003年1月2日

『ソーネチカ』

Kangaeruhito HTML Mail Magazine 007
 

『ソーネチカ』

 今回は小社から刊行されたばかりの翻訳作品です。リュドミラ・ウリツカヤ著、沼野恭子訳『ソーネチカ』

 現代ロシアの女性作家による作品です。ロシアといえば、ドストエフスキー、チェーホフ、トルストイ……と巨星のごとき名前がつぎつぎと連想されますが、現代小説として私たちに届いているものはほんのわずかでしかありません。

 しかし、この小説を読んだときには、ほんとうに驚きました。これはどこから見てもロシアの小説なのですが、それが現代作家によってこれほどに鮮やかに、心に深く残る作品となっているとは想像もしていませんでした。現代ロシアの小説など、面白いはずがない、と心のどこかで決めてかかっていた自分の不明を恥じざるを得ませんでした。

 わずか133ページの短い小説です。あらすじを書き出すと、この稀有な小説の素晴らしさが指の間からどんどんこぼれ落ちてしまうと思うので、ここでは何も書かないことにします。なんと言ってもこの小説の最大の魅力は、表題にもなっている女性主人公、ソーネチカその人の魅力なのです、ということだけ申し上げておくことにします。

 こういう人間が存在するのだ、ということを、小説という表現手段がこれほどまでに見事に描き出したことに、ただただ深い感動を覚えました。

 とにかく、ぜひ、この冬休みに読んでみてください。
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*産業革命後に急速な都市化が進むロンドンで、イギリスの詩人ワーズワースが書き遺した言葉。

 

 

「考える人」編集長 松村 正樹