Webマガジン「考える人」

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2018年4月12日

編集長がおススメする1~3月に読んで面白かった本(その2)(No.764)

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人気社会学者・岸政彦さんの日記が1位に! 岸さんのお連れあいのおさいさんが、実は村井理子さん提唱の「ぎゅうぎゅう焼き」ファンだそうです。
岸さんの日記で村井理子さんのことを初めて知った方も多かったようで、村井さんの連載が全体的によく読まれました。その中でもやはり、このせつなさが評判に。
人気カバンブランド「一澤信三郎帆布」でのオーダーメイドということもあって、先週につづいてたくさんの方に読んで頂いてます! 自分のバッグ、作りたくなりますね!
編集長 今週のメルマガ
 
先週に引き続き、1月から3月まで読んだ本の中で、今までメールマガジンに取り上げられなかったけど印象に残っている本を、新潮社の本とそれ以外、それぞれ5冊ずつあげていきます。今回は、新潮社以外の出版社から出た本から選びました。
 
刊行は昨年11月末。養老孟司さんの毎日新聞の書評を読んで、手を伸ばした本。フロイトとケインズの思考の共通点に着目するのがすごく面白かったのだが、何を書くべきか迷ってメルマガの日記で紹介することを断念していた。マルクスとフロイトだったら近そうだけど、そうではなくケインズとの類似に注目したのが面白い切り口ですね。

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元アルコール中毒だったコラムニストの著者が、断酒に成功した20年前のことを振り返る。「成功した」と書いたが、いつでも元に戻りそうな感覚が残っているのが怖い。小田嶋さんのではなく、自分の目の前にある人生の落とし穴みたいなものを意識させられる気持ちになる。アル中から脱出した著者は、いまだに「四部屋が二部屋に減った」みたいな感覚を心のどこかで抱いているのだそうだ。

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1928年から45年までの大日本帝国時代の表現規制についての研究。検閲に対する基準はそれほど定まったものだったのではなく、かなり属人的であいまいなものだったことが語られる。それこそ、それは忖度の歴史であった、とのこと。山本七平の『空気の研究』や、阿部謹也『「世間」とは何か』を思い出した。戦中からSNS疲れの現代にいたるまで、ずっと日本の社会の構造は変わってないのか。

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編集部のSさんに教えられた山にまつわる瀟洒なエッセイ集。昨年9月刊行だが、つい最近知った。著者は『山と渓谷』副編集長を経て独立し、現在、小冊子「murren」編集・発行人。著者の体温の伝わる言葉で書かれた短いエッセイを集めたもので、読んでいると人生に肯定的な落ち着いた気持ちになれる。

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これも編集部のSさんに教わった。昨年7月刊行。生物学者の福岡伸一氏と西田幾多郎が専門家の哲学者・池田善昭氏の対談集。コンセプトは、福岡さんの提唱する「動的平衡」という概念と、西田幾多郎が言っていたことは似ているのではないか、というものなのだが、安易に似てる、一緒だ、という話にならないのがリアルでよい。「動的平衡」という概念が相対化されることにこそ面白みがある。

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4月1日(日)
日帰りで大阪の高村薫さんのご自宅へ。お花見をしつつ、先日亡くなった装幀家・多田和博さんを親しかった編集者や新聞記者たちとしのぶ。

鰻棒寿司、厚切りビーフカツサンド、天むす、 蓬莱551の豚まんと焼売、大寅てんぷら(関東で言うさつまあげ)、う巻とお漬物、紅ショウガやさつまいもの天ぷら、かき揚げ、おでん。多田さんがお好きだったもの、よくお土産で買ってきてくれたものをみんなで持ち寄って、いろいろと思い出話をした。私は、蓬莱551の豚まんと焼売とアイリッシュウイスキーを持っていった。

4月2日(月)
昨年、当サイトで柴田元幸さんによるインタビューを載せた岩松了さんが、そのときの当該作「薄い桃色のかたまり」で第21回鶴屋南北賞を受賞。

そのときの関係者で小さなお祝いの会を開かせてもらう。岩松さん、sansanの法人向け名刺管理サービス「それさぁ、早く言ってよ〜」のCMの社長役がはまって、街で声をかけられることが増えたとか。明日3日から放映される、サントリー『ザ・カクテルバー プロフェッショナル』新CMで森田剛さんとも共演したそうだ。演劇人なら昔からだれでも知る劇作家、演出家が、5年前、映画『ペコロスの母に会いに行く』で主役を演じ、近年も名バイプレイヤーとしてお茶の間に知られていく不思議。

4月3日(火)
ここ4年ぐらい毎週聴いていたTBSラジオの番組「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」が先週の土曜日に最終回を迎え、本日18時から帯番組「アフター6ジャンクション」に衣替えとなった。昨日聞けなかった放送をポッドキャストで聴く。

この番組のニッチな特集テーマの設定、宇多丸さんの週刊映画時評「ムービーウォッチマン」における、語りによる映画批評にはここ数年とても影響を受けた。一昨年、ジェーン・スーさんの「相談は踊る」が帯番組「生活は踊る」にパワーアップしたことに続く快挙である。早稲田大学の同じブラックミュージック・サークルの先輩後輩が二人ともTBSラジオで帯番組のMCをつとめるなんてことあるんだな。

一週間に2時間の番組だったのが、一週間に3時間×5日=15時間も聴けることになる。嬉しいことだが、全部聞いたら、たぶん本が読めなくなる……。
 
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考える人とはとは

何かについて考え、それが「わかる」とはどういうことでしょうか。

「わかる」のが当然だった時代は終わり、平成も終わり、現在は「わからない」が当然な時代です。わからないことを前提として、自分なりの考え方を模索するしかありません。

わかるとは、いわば自分の外側にあるものを、自分の尺度に照らして新しく再構成していくこと。

“Plain living, high thinking”(シンプルな暮らし、自分の頭で考える力)*を編集理念に、Webメディア「考える人」は、わかりたい読者に向けて、知の楽しみにあふれたコンテンツをお届けします。

*産業革命後に急速な都市化が進むロンドンで、イギリスの詩人ワーズワースが書き遺した言葉。

 

 

「考える人」編集長 松村 正樹


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