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編集長が嫉妬した、平野啓一郎氏の新作(No.770)

2018年5月31日

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5月21日(月)

ネットフリックスのオリジナルドラマのなかでも大好きなドラマのひとつ、『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』の原作ノンフィクションを読んだ。訳者のひとりは当サイト人気連載「村井さんちの生活」の村井理子さんである。

有名大学を出たインテリ女性が麻薬密輸に関わった罪で起訴・投獄されて味わった、女子刑務所での生活を描く。あ、そうかあのドラマの主人公パイパーが実在しているんだと思うと、なんだか不思議な感じだ。この実在のパイパー、ドラマ以上にサバイバル能力が高く立ち回るのがうまい。

出てくる囚人たちは、はじめはみんなちょっと怖い人に見えるが、つきあっていくうちに登場人物のやるせない背景や魅力的な個性がわかってきて、目がはなせなくなる。それにしても、この原作から現在、第5シーズンに及ぶドラマを立ち上げるのかと思うと、脚本家やプロデューサーたちの話の広げ方に感服する。

5月23日(水)
新潮」の杉山くんと平野啓一郎さんの新作「ある男」について感想を言い合う。

ライバル誌の「文學界」6月号に一挙掲載されたもの。ベストセラーになった『マチネの終わりに』は平野さんの小説の本筋から見るとやや恋愛小説に近いスタンスで書かれたように感じるが、今回の「ある男」は『マチネの終わりに』と同じくらい間口が広いうえに、まぎれもなく平野さんにしか書けない本筋の流れの小説だと感じる。

40代前半の弁護士・城戸という男が主人公である。平野さんが以前から提唱している「分人」というアイデアがあり、さらに震災以降の日本を捉えた作品でもあり、それでいてストーリーテリングが巧みで、読み始めると止まらない。コルクやnoteの編集者たちの意見も聞いて何度も書き直したそうだが、それによって密度が濃くなり、物語の通りがよくなっていったのだろうなというのを感じる。

この小説を「新潮」から出せなかったのは悔しいなあ。でも単行本、売れてほしい(作品はnoteでも無料で配信中です)。

5月26日(土)
今期のクールのテレビドラマは「おっさんずラブ」(テレビ朝日系列)を見ている。田中圭と吉田鋼太郎と林遣都の三角関係を描く恋愛ドラマ。

リアルにゲイを描いたものというよりは、いわゆるボーイズラブ系のコメディだが、男性にも見やすく、男性同士であるということを除けばかなり純粋なラブコメディだ。

何よりも、吉田鋼太郎と林遣都の演技がすごい。その二人がノンケの田中圭に惚れているという設定なのだが、ドラマの中では本気で好きであるようにしか見えない。コメディというと、コントのように演じたり、カメラに向かって変な表情をしたりするような演技が多いなか、二人は虚構の中での切実かつ迫真なふるまいをすることで、笑いをおこす。役者という仕事の面白さに改めて気づく。林遣都は「風が強く吹いている」や「火花」のときも思ったが、せつない思いをしたときの演技の細かさがたまらない。吉田鋼太郎の演技に魅了されすぎて、娘は日生劇場で上演中の『シラノ・ド・ベルジュラック』を当日券で見に行った(田中圭の受けの演技もなかなかで、新しい魅力を出していると思います)。

次週6月2日最終回とのこと。

5月27日(日)
妻と近所の「いきなりステーキ」へ。妻に先にお手洗いに行きたいから注文しておいて、と頼まれ、「乱切りステーキ300グラムを二つ」と注文したら、「どうしましょう、一つのお皿に盛ることもできますが……」と訊ねられる。確かに私は恰幅がいいが、さすがに一人で600グラムは食べないよ!
 

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アラブ世界で「肉」といえば、それはヒツジ肉である。豚肉はイスラム教でタブーとされていて、食べることはおろか、触ることも許されない。私が住んでいたエジプトでは、……

丸太でできた小橋を渡り、足もとから目を上げて沢沿いの新緑の木々を見ると、その奥に白い滝が見えた。おや、あんなところに滝がある。まるで滝に呼ばれたかのような……

複数の言語を習得する過程で、吃音による身体的コミュニケーションの煩わしさから逃れるために、書き言葉の領域に没入した果てに辿り着いたのが、非言語的な表現の……

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考える人とはとは

何かについて考え、それが「わかる」とはどういうことでしょうか。

「わかる」のが当然だった時代は終わり、平成も終わり、現在は「わからない」が当然な時代です。わからないことを前提として、自分なりの考え方を模索するしかありません。

わかるとは、いわば自分の外側にあるものを、自分の尺度に照らして新しく再構成していくこと。

“Plain living, high thinking”(シンプルな暮らし、自分の頭で考える力)*を編集理念に、Webメディア「考える人」は、わかりたい読者に向けて、知の楽しみにあふれたコンテンツをお届けします。

*産業革命後に急速な都市化が進むロンドンで、イギリスの詩人ワーズワースが書き遺した言葉。

 

 

「考える人」編集長 松村 正樹


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