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2018年7月12日

岡田利規作・演出の『NO THEATER』を観た! 惚れた! (No.776)

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『数学する身体』で小林秀雄賞を史上最年少受賞した森田真生さんと、建築家・青木淳さんの対談。新鮮な驚きに満ちた対話の広がりを期待させるシリーズ第1回です。

大手術のあと、痛みや不安に包まれているはずの瞬間を、詳細に、そしてユーモアさえ交えて記す文章に脱帽。今週もみなさん村井さんの近況に釘付けです。

「仕事服」と「家服」の間にある、良い「半ば服」が必要、という意見には、なるほど〜、と大きく頷きました。パートナーへの素敵なプレゼントです。

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7月1日(日)
あまりにも話題になりすぎて、なんとなく見たかのような気持になっていた是枝裕和監督の「万引き家族」を見る。

想像以上の良さ。本当の家族ではないらしいこの家族がどのような結びつきの家族なのか、次第次第にわかってくる脚本がまず素晴らしい。

そして、子役2人を含むメイン6人の役者がどこをとっても作為的ではない、脚本の字面が透けて見えない、素のような芝居を見せる。

何よりも、物語が「かわいそうな人たち」「この世の中で報われない善人」「貧しいけれど温かい家族」というありがちな話になっていない。主人公たちはとても立派とは言いがたい小悪党であり、しかしそれぞれ問題を抱え、その問題が家族的な人間関係、共同生活によってかろうじて救われている。だからこそ次第に彼らがいとおしく感じられる。人がただここにいる、生きている、ということを肯定している映画だった。

百円の恋」を超える、安藤サクラの絶妙な演技がもう一度見たくなる。

7月4日(水)
朝吹真理子さんの『きことわ』以来7年ぶりの小説『TIMELESS』が刊行された。400年前に香木をもっとも大量に焚いた麻布が原を六本木に重ね合わせ、恋愛感情を抱けない女の子と被爆者の祖母をもつ男の子が、愛のない生殖のやりとりをする小説の大きな枠組みも面白いが、小社のサイトに掲載されている朗読映像がすごい。

朗読は3分48秒あたりから。それまで正面を向いて喋っていたのに、朗読になったら急にうつむきがちになって小さな声でとつとつと読む。それだからこそ言葉が身体に染みこんでくる。ときには左手で自分の右肩をさすりながら読む。自分のテクストに向き合う。朝吹さんらしいパフォーマンスだ。

7月6日(金)
京都市内のホテルでおこなわれた、第6回河合隼雄物語賞・学芸賞の授賞式・パーティーに出席する。物語賞が松家仁之さんの『光の犬』(新潮社)、学芸賞が鶴岡真弓さんの『ケルト再生の思想——ハロウィンからの生命循環』(筑摩書房)。

物語賞をとった松家仁之さんの『光の犬』は、「新潮」連載時の担当だったので、「Webでも考える人」編集長として出席した昨年とはまた違う気持ちだ。3月に第68回芸術選奨文部科学大臣賞も受賞したが、そのときは授賞式に立ち会えなかった。今回は出席できて、晴れがましい気持ちになる。

大雨で、東京から本日来た人間はみな新幹線が二時間ぐらい遅れた。出席者もやや少なめだったが、とても密度の濃いパーティーになった。日本のことを考えていたらケルトの歴史にたどり着いたという鶴岡さん、少し遅れて着いてユーモアまじりに作品の意図や河合隼雄さんの思い出を話した松家さん、共にスピーチが素晴らしかった。

前「考える人」編集長の河野通和さんも会場に来ていて、「考える人」歴代の編集長が静かに星座のように集っていた。

雨が酷い。スマホの警報が幾度ともなく鳴る。

7月7日(土)
京都に残って、「新潮」7月号に戯曲を掲載した岡田利規作・演出の『N? THEATER』(2018年7月6日(金)〜7月8日(日) ロームシアター京都にて)を観劇した。

岡田さんが2016年より3シーズンにわたってドイツ有数の公立劇場 ミュンヘン・カンマーシュピーレのレパートリー作品の演出を務め、その2作目として上演された作品だ。日本での上演は今のところ京都公演のみということなので、河合賞の授賞式と日程が重なって見られたのは運が良かった。

舞台は、能「六本木」、狂言「ガートルード」、能「都庁前」という構成である。「能」の様式を用いて、資本主義に飲み込まれている現代日本の姿を描き出す。音楽は、即興演奏を行う現代音楽家・内橋和久。ミュンヘン・カンマーシュピーレ劇場専属のドイツの俳優が演じる。

「私にとって重要なことは、能の形式がきわめて演劇的だということで、その演劇的であることの度合いは、私にとっては、たとえば能が〈日本的〉であることの度合いなどよりずっと大きい。」という岡田利規さんの言葉に惹かれる。

岡田さんにしてはかなり直截的な現代日本への批判が込められた舞台だ。新潮7月号で戯曲を読んだときは、ダイレクトすぎやしないかと思ったが、舞台で見るとまた感触が違う。死者との対話、鎮魂という夢幻能の形式と岡田さんの相性がとてもいいのがわかる。考えてみれば、「地面と床」や「部屋に流れる時間の旅」もかなり夢幻能に近い演目だったものな。

 

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石内都が、メキシコ近代を代表する画家フリーダ・カーロ(一九〇七~五四)の遺品を撮影するためにメキシコに向かうと言ったのは、二〇一二年二月のことだった。……

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考える人とはとは

何かについて考え、それが「わかる」とはどういうことでしょうか。

「わかる」のが当然だった時代は終わり、平成も終わり、現在は「わからない」が当然な時代です。わからないことを前提として、自分なりの考え方を模索するしかありません。

わかるとは、いわば自分の外側にあるものを、自分の尺度に照らして新しく再構成していくこと。

“Plain living, high thinking”(シンプルな暮らし、自分の頭で考える力)*を編集理念に、Webメディア「考える人」は、わかりたい読者に向けて、知の楽しみにあふれたコンテンツをお届けします。

*産業革命後に急速な都市化が進むロンドンで、イギリスの詩人ワーズワースが書き遺した言葉。

 

 

「考える人」編集長 松村 正樹


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