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2018年7月19日

滝口悠生×松原俊太郎の往復書簡「『小説⇔演劇』解体計画 」連載開始! (No.777)

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死んでいない者』で芥川賞を受賞した気鋭の小説家・滝口悠生さんと、「忘れる日本人」と「山山」を発表し、劇団をもたず演出もしない劇作家として演劇界で話題の松原俊太郎さんの、往復書簡の連載を開始します。

京都芸術センターの「演劇計画II」というプログラムのひとつとして、昨年12月に京都でトークイベントを開催したのを機に、親しくメールのやりとりをしている二人。そのスリリングな手さぐりのやりとりを、往復書簡として連載します。

「演劇計画II」で松原さんが取り組んでいるのは、3年がかりで「上演を前提としない」戯曲の制作する、というプロジェクトです。昨年12月のトークは、その戯曲「カオラマ」の第一稿公開を受けて行われましたが、この連載は戯曲完成後の来年1月まで、月一回のペースで更新していく予定です。

ちなみに、往復書簡の中で滝口さんが言及している劇団地点の「忘れる日本人」は、ロームシアター京都ノースホールにて2018年7月18日(水)~21日(土)に上演予定です。私も先月の横浜公演を拝見しましたが、そのときの不可思議なつかみどころのない手触りはいまだに身体の中に残っています。


7月9日(月)
伊藤亜紗さんの『どもる体』をとても面白く読んだ。「言葉の代わりに体が伝わってしまう」という伊藤さんの吃音の捉え方を、女の子の口から女の子自身が飛び出しているイラストで表現した表紙も、「しゃべれるほうが変。」という帯の言葉も秀逸だ。吃音を「体のコントロールを外れたところ」で生起する経験として着目し、「治る/治す/治らない」などというところとはまったく別の地点から分析する。

当サイトでも、ドミニク・チェンさんが「未来を思い出すために」第4回で吃音を「身体的なバグ」と読み替えていた。その中でドミニクさんが「2017年の夏に、吃音の当事者研究を行う伊藤亜紗さんにインタビューを受ける機会があり、その時に「隠れ吃音」という評定を受けた。ほとんどの人には気が付かれない程度にしか実際には吃音が顕在化していない、ということだ。わたしはこの評価が自分の主観とかなりズレていることに驚いたが、伊藤さんの調査によれば、人によって、吃音のイメージも対処法も大きく異なるらしい。」と書いていたが、その研究の結果がこの本だ。

國分功一郎さんの『中動態の世界』や熊谷晋一郎さんの『リハビリの夜』で知られる医学書院のシリーズ「ケアをひらく」。『べてるの家の「当事者研究」』あたりから読んで、はずれのないシリーズだが、また目をひらかれた。


7月10日(火)
4月に始まってからほぼ毎日、radikoのタイムフリー機能やTBSラジオのラジオクラウドなどを駆使して聞いている宇多丸さんの「アフター6ジャンクション」。

TBSアナウンサーのパートナーが入ってノリが希釈されるかと思いきや、宇多丸さんとのアナウンサーとのやりとりが素晴らしい。特に女性アナウンサー、宇垣美里アナ(火)、日比麻音子アナ(水)、宇内梨沙アナ(木)は、テレビでは見えない、素の感情が伝わってきて、いつの間にかファンになっている。

今日は、live&directのコーナーの生ライブでawesome city clubというかっこいいバンドを初めて知る。男女ツインボーカルの日本の5人組バンド。「架空の街“Awesome City”のサウンドトラック」がテーマというだけでなんともキュートなコンセプトだ。ラジオのスタジオにバンドのフルメンバーそのものが来て、演奏する。

前身の「ウィークエンド・シャッフル」のころにも同じような試みがあったが、月曜日から金曜日の帯番組になってから、よりこのコーナーが楽しみになっている。地上波のテレビだと深夜の音楽番組でも見かけない、自分好みの面白いミュージシャンがこんなにいるのだなと驚く。特に、tofubeatsのDJプレイやpunpeeの生ラップは、あまりに凝っていて、ラジオでの生演奏の面白さを感じた。日本のポップスへの情熱がよみがえる。

7月13日(金)
ネットフリックスで配信された料理番組「クッキング・ハイ」を見てみる。これ、日本では、どういう感じで見るのが正解なんだろうか?

世界初の大麻を食材にしたアメリカの料理対決番組。2016年頃から、医療用の大麻であれば害が少ないという理由により大麻所持が合法化され、現在28の州で医療大麻が認可されているが、その医療大麻を使って二人のシェフが料理を作り、ラッパー、ライターら審査員が判定する。食べてから、判定までの間にハイになっている審査員もいる。全体的に作りは安っぽいものの、大麻をタブー視するところがまるでない、あっけらかんとした15分間番組だ。

日本では所持していただけで、警察に捕まり、マスコミからも叩かれる大麻だが、アメリカではこんな感じで明るく扱われているのか。こういう番組が、日本でも配信で自由に見られる不思議な時代……。日本語の吹き替え版もある。


7月15日(日)
妻に誘われて久々にミュージカルを見に行く。汐留の電通四季劇場「海」にてロングラン中の劇団四季「アラジン」を鑑賞した。

もともと評判のいい演目だったが、思った以上にずっと歌ったり、踊ったりしていて、ほとんど役者に休める時間がない、パワフルなステージだった。これはきついだろうな、と思ってスケジュールを見ると、さすがに一日に2ステージの日が少ない。

ジーニー役の役者が特にすごい。ディズニーアニメ「アラジン」の日本語版の吹き替えが、山寺宏一さんなので、そのくらいの芸達者ぶりを見せながら、コミカルなダンスをこなさなくてはならない。山寺さんのような上手すぎる人が吹き替えをすると、その呪いがかかるのだな、と思った。トーンを引き継ぎながら、物まねみたいにならないようにするのは大変だ。

もっとも、オリジナルの英語版を演じているのも、ロビン・ウィリアムスだから、ブロードウェイの役者も同じような苦しみを味わっているのかもしれない。


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考える人とはとは

何かについて考え、それが「わかる」とはどういうことでしょうか。

「わかる」のが当然だった時代は終わり、平成も終わり、現在は「わからない」が当然な時代です。わからないことを前提として、自分なりの考え方を模索するしかありません。

わかるとは、いわば自分の外側にあるものを、自分の尺度に照らして新しく再構成していくこと。

"Plain living, high thinking"(シンプルな暮らし、自分の頭で考える力)*を編集理念に、Webメディア「考える人」は、わかりたい読者に向けて、知の楽しみにあふれたコンテンツをお届けします。

*産業革命後に急速な都市化が進むロンドンで、イギリスの詩人ワーズワースが書き遺した言葉。

 

 

「考える人」編集長 松村 正樹


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