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2019年1月31日

読んで、聴いて、考える! 猪木武徳さんの新連載「デモクラシーと芸術」(No. 803)

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2019.01.31配信 HTMLメールを表示出来ない方は こちら
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近所の居酒屋の雰囲気と「牛ばらと厚揚げの炒め物」の味を克明に伝えながら、リアルすぎてどこか不思議な後味を残すところはまさに小山田ワールド。期待の新連載が第1位でした。

ツイッターでも話題の、こさささこさん『ある日突然オタクの夫が亡くなったら?』をきっかけに、村井さんは「2019年最初の仕事は、私物の整理にしよう」と決意。

SFの古典として知られる名作、津村さんが読むとこんなに身近で親しみのあるものに。100%ORANGEさんのイラストとともにお届けします。

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経済学者の猪木武徳さんの新連載「デモクラシーと芸術」が始まりました。社会体制がいかに芸術作品に影響を与えているか、また芸術作品がいかに社会体制に影響を与えているかを、クラシック音楽作品を中心に考察していきます。

ところで、この連載には「読んで、聴いて、考える」というキャッチコピーがついています。「聴いて」の部分が新機軸で、本文中に登場するクラシックの曲名をクリックすると、音楽配信サービス「ナクソス・ミュージック・ライブラリー (NML)」の収録作品を試聴できるようになっています。

Web媒体ならでは試みですので、ぜひアクセスしてみて下さい。

1月22日(火)
打ち合わせのため、上越新幹線に乗って新潟県の長岡へ。はじめて行く街。越後湯沢あたりのトンネルを抜けると、一面の雪模様。気温が下がるのもなんとなく感じる。雪が降っているが、今年は、これでもここ数年で一番雪が積もらない冬だという。

長岡は日本酒の蔵元が多いので有名で、久保田で知られる朝日酒造も近くにある。日本酒好きとしてはテナントショップをあちこち散歩しているだけでも楽しいし、この日は行かなかったが、駅前にも「魚仙」やら「山屋」やら有名な居酒屋がごろごろあるらしい。

ここ1、2年、富山や福井や長岡といった北陸・上越の日本海側の都市を訪ねて、ふらりと入った居酒屋の魚のおいしさに魅了されている。特にぶりの刺身など、味が違う感じがする。第一印象では少しさびしいと感じた街にも、不思議と、必ず安くてすばらしい店がある。その土地土地の酒の飲み方がある。また訪れてない街がたくさんあるかと思うと、年をとるのが楽しみにもなる。

1月23日(水)
昨日、アカデミー賞のノミネート作品が発表された。アルフォンソ・キュアロンの『Roma/ローマ』が、『女王陛下のお気に入り』と並んで、最多10部門でノミネート。Netflixオリジナル映画・ドラマの評判が高くなって数年経つが、ここまで評価されるとは驚く。

『Roma/ローマ』は、『ゼロ・グラビティ』で第86回アカデミー賞監督賞を受賞したキュアロン監督が自分の子ども時代を投影し、1970年代のメキシコのひどい事件を若い家政婦の視線で描く人間ドラマで、私も年末年始に見た。

あえてクラシックなヨーロッパ映画のような雰囲気をまとっている白黒映画で、現在は吹き替え版もなく自宅で見るにはややとっつきにくく感じるが、しばらく見ていると、最新の技術を駆使した美しい画面の設計に舌を巻く。ラストの方には、いったいどのように撮ったのかわからないショットもさりげなくある。

おそらくキュアロンとしては、Netflixが自由に撮らせてくれるなら私的で個人的な作品を撮りたいと思ったのだろうが、クオリティが高くて、ベネチア国際映画祭金獅子賞、ゴールデングローブ賞監督賞・外国語映画賞など世間がほうっておかない。

1月24日(木)
演劇界の芥川賞にあたる第63回岸田國士戯曲賞最終候補に、当サイトで滝口悠生さんとの往復書簡「小説⇔演劇解体計画」を連載中の松原俊太郎さんの「山山」(「悲劇喜劇」2018年7月号掲載)が選ばれたと知る。選考会は3月12日。

候補は8作で、「新潮」2018年10月号掲載の古川日出男「ローマ帝国の三島由紀夫」、テレビドラマなどの脚本家として知られる坂元裕二「またここか」(リトルモア刊)、根本宗子「愛犬ポリーの死、そして家族の話」、松村翔子「反復と循環に付随するぼんやりの冒険」など。

なんともわくわくする最終候補ではないか。どういう結果になるのか予想できない。

松原さん、「小説⇔演劇解体計画」の中で話題にされている、上演を前提にしない戯曲「カオラマ」の最終決定稿も書き上げたらしい。滝口さんとの往復書簡もいよいよこれから佳境である。

1月25日(金)
第60回毎日芸術賞の授賞式に行く。18年間担当をしていた宮本輝さんの大河小説『流転の海』が小説部門の受賞作になった。

授賞式やパーティは夕方から夜にあることが多いが、毎日新聞が主催している毎日出版文化賞と毎日芸術賞は午後2時から。明るいうちにお祝いをしているのは独特な雰囲気だ。

特別賞に輝いた大林宣彦監督が81歳、車椅子の登場ながら、制作に対する情熱を感じさせる若々しいスピーチで、ぐっとくるものを感じた。

1月26日(土)
気になっていたプロ棋士・先崎学さんのうつ病体験記『うつ病九段』を読んだ。

先崎さんは70年生まれで、私と同い年。読んで身につまされるだけでなく、他人事ではない感じがあって、この先、忘れられない本になりそうだ。

うつ病の闘病記なんて、ブログを含め、世の中にあふれているじゃないかと思うが、読んでみると、よくあるように見えてこれまでなかった本だということに気づく。とにかくこの本は、発病から回復に至るまでをかなり綿密に書いている。

うつ病が始まった6月23日、先崎さんは朝食後に「まったく疲れが取れていない」と感じる。そして、体の中で何かが起きているようなムズムズした感じで思考が全然まとまらず、眠れなくなり、不安が強くなり、ついに頭の中に死のイメージが駆け巡るようになっていく。実兄の精神科医に相談し、異変を自覚してから約1か月後には大学病院の精神病棟に入院することになる。その過程が迫真の筆致で記される。

他人事じゃないと思わされたのは、うつ病は脳の病気だということだ。ストレスや性格も関係はしているが、心の病気ではなく、脳という身体の一部の故障だという。いつそういう病が自分に降りかかってくるかはわからないし、防ぎようもない。そういう意味では、怖い本を読んでしまったとも感じる。

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考える人とはとは

何かについて考え、それが「わかる」とはどういうことでしょうか。

「わかる」のが当然だった時代は終わり、平成も終わり、現在は「わからない」が当然な時代です。わからないことを前提として、自分なりの考え方を模索するしかありません。

わかるとは、いわば自分の外側にあるものを、自分の尺度に照らして新しく再構成していくこと。

"Plain living, high thinking"(シンプルな暮らし、自分の頭で考える力)*を編集理念に、Webメディア「考える人」は、わかりたい読者に向けて、知の楽しみにあふれたコンテンツをお届けします。

*産業革命後に急速な都市化が進むロンドンで、イギリスの詩人ワーズワースが書き遺した言葉。

 

 

「考える人」編集長 松村 正樹


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