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2019年3月14日

祝!松原俊太郎さん、岸田國士戯曲賞受賞(No. 809)

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「新潮」副編集長で長年の担当編集者でもあった本サイト編集長が、橋本さんの膨大な著作の中から5冊を紹介しています。

高校時代から橋本治さんの著作に多大な影響を受けてきた入江さんによる、渾身の追悼文。橋本さんの本を買った店はすべて記憶しているそうです。

1位と同じく、本サイト編集長が橋本さんの膨大な著作の中から選りすぐって5冊を紹介しています。今週は橋本治さん関連の記事が1位から3位までを占めました。

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一昨日3月12日(火)、松原俊太郎さんが「山山」で演劇界の芥川賞と呼ばれる第63回岸田國士戯曲賞受賞を受賞しました。選考委員の岡田利規さんのコメント。

「圧倒的に強い言葉をたたみかけ、われわれの置かれた現実を演劇的に抽象化していくパワーを持つ松原氏に衝撃を受けました。選考会で意見は割れましたが、わたしは、この人はすごいな、適わないな、と思いました。彼の言葉によって牽引される日本の演劇の来たるべき新時代を期待しています。」

松原さん、おめでとうございます。

松原さんの戯曲は現在までのところ三浦基さんの劇団「地点」で上演されてきましたが、松原さんは「地点」の一員ではありません。現代では珍しい、劇団を持たず、演出もしない、純粋な劇作家です。エッセイやインタビューなどもまだほとんど世に出ておらず、当サイトで芥川賞作家・滝口悠生さんと交わしてきた往復書簡「小説⇔演劇解体計画」全15回は、松原さんの地の声が聞こえる数少ない貴重な文章です。 この往復書簡は、松原さんの最新戯曲「カオラマ」の完成をもって今週月曜日に完結したばかり。8往復のやりとりが最初から最後まで全て公開中ですので、ぜひお読みください。滝口さんの見事な導きによって、松原さんの問題意識の大きさと思考の緻密さ、そして何よりも劇作家としての新しさが伝わってきます。

3月4日(月)
柴田元幸さん責任編集の雑誌「MONKEY」最新号(vol.17)を読む。特集「哲学へ」。最近の「MONKEY」はどんどん柴田元幸さんの頭の中を直接見ているかのような感じになってきているが、この号には『ものぐさ精神分析』で知られる唯幻論のフロイト学者・岸田秀さんへの柴田さんによるインタビューが載っていて驚いた。

柴田さんは英米を中心とした翻訳小説の第一人者だが、「MONKEY」ではそれ以外の側面が見られて、その選択がいちいち興味深い。私も中学・高校時代に岸田秀さんの著作にはまっていたことを思い出した。

もう一つ面白かったのは、ブライアン・エヴンソンによる「レイモンド・カーヴァーの『愛について語るときに我々の語ること』」。当サイトでの連載「亀のみぞ知る」第1回で紹介されていた、例の論考である。アメリカの現役作家が、ちょっと前の世代の伝説的な作家をどう読んでいるかが分かる文章を読む機会はなかなかなく、新鮮だった。しかもエヴンソンとカーヴァ—という組み合わせの妙! 不思議でもあり、なるほど、という感じでもある。

3月6日(水)
高級スーパー「成城石井」の「2種のトリュフ香るミックスナッツ」にはまっている。少し高いが(600円)、イタリア産白トリュフオイルとフランス産ゲランドの塩を用いた黒トリュフ塩の2種類のトリュフで味付けたらしく、香りが複雑で本格的。少し口に含むだけで豊かな気持ちになる。

そもそもはまったのは、TBSテレビの番組「坂上&指原のつぶれない店」で、成城石井のオリジナル商品の裏側のレポートを見たから。

プレミアムチーズケーキは「マキシム・ド・パリ」で修行していたパティシエらが手作りで作っていることや、バイヤー集団が買い付けだけでなく新商品の開発までしていること、バイヤーでもある社長が今年注目しているのはトリュフで、「2種のトリュフ香るミックスナッツ」はその第1弾であること、などが明かされていた。

一度見てしまうと試してみたくなる。完全に成城石井とテレビ局の思惑に踊らされているわけだが、わかっていても食べるのをやめられない。最初は食べ物をとりまく物語に夢中になり、次に味に夢中になる。食の依存性はおそろしい。

3月9日(土)
川上未映子さんが文學界の3月号と4月号で発表した大長篇「夏物語」が圧倒的だ。

川上さんの近年考えていることがずっしり入った自身最長の長篇小説であり、また芥川賞受賞作『乳と卵』と繋がる作品でもある。早くも2019年を代表する小説がひとつ誕生した感がある。

来週のメールマガジンはお休みいたします。次回の配信は、3月28日(木)の予定です。

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考える人とはとは

何かについて考え、それが「わかる」とはどういうことでしょうか。

「わかる」のが当然だった時代は終わり、平成も終わり、現在は「わからない」が当然な時代です。わからないことを前提として、自分なりの考え方を模索するしかありません。

わかるとは、いわば自分の外側にあるものを、自分の尺度に照らして新しく再構成していくこと。

"Plain living, high thinking"(シンプルな暮らし、自分の頭で考える力)*を編集理念に、Webメディア「考える人」は、わかりたい読者に向けて、知の楽しみにあふれたコンテンツをお届けします。

*産業革命後に急速な都市化が進むロンドンで、イギリスの詩人ワーズワースが書き遺した言葉。

 

 

「考える人」編集長 松村 正樹


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