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2018年12月13日

編集長が選ぶ今年の5冊・ノンフィクション篇(No.797)

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2018.12.13配信 HTMLメールを表示出来ない方は こちら
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樹木希林さんが「悠木千帆」さんだった頃にさかのぼる、交流の思い出。初期から晩年に至るまでの樹木さんの仕事と人となりを、古くからの友人としてたっぷり綴っています。

いくつもの重い問いを投げかける舞台に衝撃を受けた安田さんは「観劇から2カ月近くが経ち、ようやく少し、言葉にできた。それほど壮大な問いかけの詰まった舞台だった」と言います。

双子の息子さんがもうすぐ小学校を卒業することに対する、喜びと寂しさの入り混じった複雑な感情。多くのお母さんたちから共感の声が寄せられ、今週もランク入り。

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今年も年末になったので、昨年にひきつづき、今年読んだ本の中で、今までメールマガジンに取り上げられなかったけれど印象に残っている本を、ノンフィクションとフィクションそれぞれ5冊ずつあげていきたいと思います。今週はノンフィクションから5冊です。

ハーバード大学教授2人による、現代アメリカ政治の研究。トランプ大統領のものごとのすすめ方が、いかに独裁者への道をすすんでいるかを、ヒトラー、ムッソリーニ、チャベスらとも比較しつつ描く。独裁は実は意外と合法的におこなわれるものであり、逆に言えば民主主義の基盤がいかに危ういかが述べられていて、ぞっとする。池上彰さんの解説もいい。

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野中モモさんは、「新潮」の鶴我さんに教えられて、今年、新しく夢中になったライター、翻訳家。「ZINE」は少部数の同人誌のこと。何か物事を世の中に発したいという編集者の初心を思いおこした。野中さんには、『デヴィッド・ボウイ: 変幻するカルト・スター』などの著書もあり、まだすべての引き出しが見えない魅力的な書き手だ。

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安室奈美恵を発掘した「沖縄アクターズスクール」創設者の自伝。 軽めの本だが、この人の祖父は日本映画の父である牧野省三、父は映画監督であるマキノ雅弘、母は宝塚歌劇団卒業生で映画女優の轟夕起子。 長門裕之・津川雅彦は従兄弟、 娘の牧野アンナは元アイドル歌手でAKB48やSKE48の振付師である。日本の芸能史と常にかかわりをもつ、この一族の四代記を夢想しながら読んだ。

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昨年、メールマガジン737号で『ウォークス 歩くことの精神史』を紹介した著者の新刊。この本が「マンスプレイニング(manとexplainの合成語)」という言葉を世に広め 、今や辞書に載っている言葉になったとか。ソルニットの筆致が落ち着いているだけに、男のそういう振る舞いが恥ずかしく思える。そういう態度でしか女性と接することができない男性を、誰しも一人や二人思い浮かべられるのではなかろうか。

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19世紀イタリア・ボローニャで起きた事件を歴史学者が描いたノンフィクション。幼いユダヤ教徒の6歳の子供を、クリスチャンの雇っていた女中がよかれと思って両親に黙って強制的に洗礼し、今度はそれを理由に親元から引き離すという理不尽な事件を描く。当時はこういうことが珍しくなかったらしい。長年のユダヤ人の差別のされ方を肌身に感じる。

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12月3日(月)
黒川創さんの『鶴見俊輔伝』の刊行記念トークイベントで、京都へ。

恵文社一乗寺店の「コテージ」にて、 『つくられた桂離宮神話』や『京都ぎらい』で知られる国際日本文化研究センター教授・井上章一さんと黒川創さんの対談「知られざる鶴見さん」を聞く。

本のセレクトショップとしてよく名を聞く、恵文社一乗寺店にも初めていくことが出来た。思ったより店内は広く、中庭があって優雅なつくりだ。本の並べ方に年季を感じる。知の系譜を感じさせる素晴らしい本棚で、何時間でもいられそうだ。例えば、京都の作家・山田稔さんの本がたくさん並べられていて、山田さんご自身もよく興味のある本を買いにくるらしい。

二人のトークは、鶴見俊輔さんと井上章一さんが入っていた現代風俗研究会の話から、桑原武夫、梅原猛、多田道太郎といった京都の学者仲間の人間関係や人物比較の話まで。〇〇と××が何とかの件で△を口説きに行った、というような裏話を聞くと、まるで明治時代の東京の小説家たちの人間関係のようで楽しい。京都の街にかつて彼らがいた、ということを実感する。

この対談、新年早々に当サイトに掲載予定です。

12月4日(火)
東海道新幹線のぞみで京都から東京へ帰ろうとしたら、なんと席が昨日とまったく同じ「12号車3列C」。通路側という指定はしたが、往きと帰りがまったく偶然に同じ席になる確率ってどのくらいのものだろう? 嬉しいことなのか、怖いことなのかもわからない。

それとも、自分が知らないだけで、みんな「スマートEX」とかで事前に席を指定をするようになっていて、何らかの事情で人気のない「12号車3列C」が回ってきやすくなっているのか?

12月8日(土)
舞台の制作をしている知人に招待されて、青年団の後輩組織・無隣館若手自主企画vol.25 木村和博企画『いっぱいいっぱい讃歌』を見に行く。会場は小竹向原のアトリエ春風舎。

65分の短いスケッチで、各々の問題を抱えている四人の男女の関わり合いとその顛末が描かれる。作・演出の木村和博さんは27歳で、生計をたてるためライター、編集の仕事をしながら舞台を作っているそうだ。制作の仙波さんは大学に通いながら、舞台の制作をしている方である。

家で困ったことが起きるとすぐコンビニに助けを求める感じとか、人の値踏みをSNSでのふるまい方に求める感じとか、ああ、今の20代には世界はこう見えているのか、と気づかされる。今後も、今の時代の「生きづらさ」にとことんこだわってほしい、と思った。

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アラブ世界で「肉」といえば、それはヒツジ肉である。豚肉はイスラム教でタブーとされていて、食べることはおろか、触ることも許されない。……

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考える人とはとは

何かについて考え、それが「わかる」とはどういうことでしょうか。

「わかる」のが当然だった時代は終わり、平成も終わり、現在は「わからない」が当然な時代です。わからないことを前提として、自分なりの考え方を模索するしかありません。

わかるとは、いわば自分の外側にあるものを、自分の尺度に照らして新しく再構成していくこと。

“Plain living, high thinking”(シンプルな暮らし、自分の頭で考える力)*を編集理念に、Webメディア「考える人」は、わかりたい読者に向けて、知の楽しみにあふれたコンテンツをお届けします。

*産業革命後に急速な都市化が進むロンドンで、イギリスの詩人ワーズワースが書き遺した言葉。

 

 

「考える人」編集長 松村 正樹


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