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2019年5月23日

三島由紀夫賞、選考会の日のこと(No. 817)

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2019年3月に大人気ゲームFGOに登場した新キャラクター「カーマ」は愛くるしい少女。しかし、インド神話における愛の神「カーマ」は、男の神なのだそうです。

今回も日々の雑感とユルい笑いの合間に、大事なメッセージや時空の歪むいたずらも織り込まれていて気が抜けません。三島賞候補作となった『図書室』は来月下旬発売、ネット書店での予約も開始されました。

このタイトルで1年間にわたって続けてきた人気連載もいよいよ最終回。松原さん曰く《私のスタンスはむしろ「カラスは悪だくみなんかしねえよ」であった》。

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5月15日(水)
新潮文芸振興会が主催している第32回三島由紀夫賞山本周五郎賞の選考会の日。新潮社の文芸畑の編集者が一年で一番緊張する日である。

今年は私は選考会がおこなわれる都内のホテルには顔を出さず、三島賞の候補者のひとりの三国美千子さんと某所にて結果を待っていた。

三国美千子さんは、昨年、「いかれころ」で第50回新潮新人賞を受賞。昭和58年の南大阪・河内を舞台にし、子どもから見える家族の風景をリアルに描いた小説で「新潮」11月号の発表時から評判がよかった。17時半に喫茶店で待ち合わせたら、頼んだ人参野菜ジュースが届いた直後、17時40分ごろに、受賞したという電話がかかってきて二人で驚く。ほぼ満票だったとのこと。

受賞したときは、記者会見の会場に来られる場合は来ていただくのが通例になっているのだが、とても行ける距離ではないので、電話で記者会見をすることに。静かに質疑応答できる場所を探さなければいけないので、急遽、近くのビジネスホテルの部屋を押さえた。

狭い部屋で三国さんと静かに、同僚から、町田康さんの記者会見の様子をショートメールで受け取る。町田さんの強い批評の言葉に圧倒された。

山本賞は、三国さんがファンだという朝倉かすみさんの「平場の月」(光文社)に決まる。選考委員の石田衣良さんの記者会見が終わり、三国さんのスマートフォンに電話がかかってきて、いよいよ会場の新聞記者との質疑応答。始まる前は、「いきなりの受賞で頭がまわってない、どうしよう?」と言っていたが、三国さん、いざ始まるととても落ち着いていて自分の言葉を探すようにして質問に答える。こういうとき、小説家っておそろしい、といつも思う。作品について語るときにはスイッチが入れ替わるように見えるのだ。

三国さん、大学院で文学を学んでいたのだが、専門が三島由紀夫だ。三島由紀夫に小説の構成を学んだ人のデビュー作が三島由紀夫賞をとったことをうれしく思う。『いかれころ』の単行本は6月末に刊行とのこと(ビジネスホテルは結局、この日、私が泊まりました)。

5月16日(木)
一夜経って、来年からの新しい三島賞・山本賞の選考委員が発表となった。山本賞については私も初耳だったのでびっくりした。

三島由紀夫賞は川上未映子、高橋源一郎、多和田葉子、中村文則、松家仁之の5氏。山本周五郎賞は留任の荻原浩と、伊坂幸太郎、江國香織、今野敏、三浦しをんの5氏。どちらの賞もかなり様変わりしそうで楽しみだ。

5月19日(日)
映画「キングダム」を見た。スケール感があって、アクションの場面も「るろうに剣心」以降の作品という感じで見ごたえがある。想像していたよりずっと面白かった。政(のちの始皇帝)を演じる吉沢亮や、「山の民」のトップ楊端和を演じる長澤まさみがそれらしかった(大沢たかおはアニメ版の王騎に寄せすぎのような。アニメを見ていないとなんであんな演技をしているのかわかりづらい)。

監督は、「GANTZ」や「アイアムアヒーロー」の佐藤信介。実写化したら安っぽくなりがちな漫画原作をうまく映画化する達人ではないだろうか。あまり言われないことではあるが、ここ十年ぐらいの邦画で一番レベルがあがったのって、この手の漫画を原作にしたビッグ・バジェットの超大作だと思う。

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丸太でできた小橋を渡り、足もとから目を上げて沢沿いの新緑の木々を見ると、その奥に白い滝が見えた。おや、あんなところに滝がある。まるで滝に……

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考える人とはとは

何かについて考え、それが「わかる」とはどういうことでしょうか。

「わかる」のが当然だった時代は終わり、平成も終わり、現在は「わからない」が当然な時代です。わからないことを前提として、自分なりの考え方を模索するしかありません。

わかるとは、いわば自分の外側にあるものを、自分の尺度に照らして新しく再構成していくこと。

"Plain living, high thinking"(シンプルな暮らし、自分の頭で考える力)*を編集理念に、Webメディア「考える人」は、わかりたい読者に向けて、知の楽しみにあふれたコンテンツをお届けします。

*産業革命後に急速な都市化が進むロンドンで、イギリスの詩人ワーズワースが書き遺した言葉。

 

 

「考える人」編集長 松村 正樹


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