Webマガジン「考える人」

シンプルな暮らし、自分の頭で考える力。
知の楽しみにあふれたWebマガジン。
 
 

2019年6月5日

サイトをリニューアルしました!(No. 818)

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2019.06.06配信
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『ガルヴェイアスの犬』で日本翻訳大賞を受賞した木下眞穂さんによる翻訳で、この著者の短篇を3篇お届けします。まずは訳者による作品紹介をどうぞ。目の前にアレンテージョの風景が広がるようです。

ポルトガル現代文学を代表する作家による短篇集『白い村の老人たち』より3篇を訳し下ろしでお届けします。最初の1篇として掲載した「年寄りたち」は、著者の思い出が滲むあたたかな一篇です。

小学生の頃に仲良しだった「藁科さん」。二人で過ごした時間の鮮明な記憶と、仲良しでいられなくなった理由。元気にしているという藁科さんと、村井さんはやがて再会するのでしょうか?

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いつもご愛読ありがとうございます。より読みやすく、お目当ての記事を見つけやすくするため、このたびサイトをリニューアルしました

サイト名は「Webでも考える人」からシンプルで親しみのある「考える人」へと変更。“Plain living & high thinking”(シンプルな暮らし、自分の頭で考える力)のコンセプトはそのままに、知の楽しみにあふれたWebマガジンを目指してまいります。デザインも一新し、特にモバイル版での読みやすさは格段にアップしています。

新企画も満載です。まずは『ガルヴェイアスの犬』(木下眞穂訳)の日本翻訳大賞受賞を記念して、ポルトガルの作家ジョゼ・ルイス・ペイショットの短篇小説を掲載しました。

3篇はいずれも短篇集『白い村の老人たち』(原題はCal=漆喰、石灰の意)に収められたもので、舞台となるのは『ガルヴェイアスの犬』の世界ともよく似た、ポルトガル・アレンテージョ地方と思しき白い村。著者自身の経験が織り込まれたものから、マジック・リアリズム的な作品まで、3篇の多彩な作品世界をお楽しみください。

そして、2つ目は三品輝起さんの新連載「雑貨の終わり」。東京・西荻窪の雑貨店「FALL」店主で、初の著書『すべての雑貨』も話題となった三品さんが、「雑貨化」した世界と私たちの暮らしのありようを綴ります。

さらに、各界で活躍する方々によるリレー書評「たいせつな本——とっておきの10冊」も始まります。第1回にご寄稿してくださったのは、先ごろ芥川賞を受賞された作家の町屋良平さん。「はじめて文章を読むときのように読みたい10冊」を選んでくださいました。

そのほかにも新しい企画を多数準備中です。「考える人」を変わらずご愛顧ください。

5月20日(月)
文芸批評家の加藤典洋さんが先週の木曜日16日に肺炎で亡くなっていたことを知り、ショックを受ける。

雑誌「考える人」の仕事としては『小さな天体 全サバティカル日記』があり、「新潮」で私が原稿を受け取った仕事としては『人類が永遠に続くのではないとしたら』がある。そして何よりも小林秀雄賞の選考委員を初回から昨年まで17年間していただいた。

すべて思い出深い仕事であるが、それだけでなく、加藤さんのご自宅と私の自宅が近かったせいもあって、加藤さんには本当に個人的にお世話になった。仕事から家庭の悩みまで、自分の内部にある不安をさらけ出し、そのときどきに、親身になって助言をもらった。大げさにいえば、編集者としてだけでなく、私という人間がなんとかここ10数年生き延びるにあたっての心の支えだったような気がしている。書物を読めば加藤さんの声は繰り返し聞けるのだと自分をなぐさめるけど、もうじかには会えないのかと思うと、とてつもない喪失感に襲われる。脳裏に加藤さんの声が響く。

つい最近刊行された講談社文芸文庫『完本 太宰と井伏』の「自筆年譜」、昨年2018年の項。

「一一月二一日、先月より続いていた息切れが貧血によるもので実は病気を発病していたことが発覚し衝撃を受ける。同様にショックを受ける妻を面白がらせるため突如、言葉いじりをはじめ、毎日見せるようになり、それが齢七〇歳にしてはじめて「詩みたいなもの」の制作(?)に手を染める端緒になる。」

この書き方がなんとも加藤さんらしい。「詩みたいなもの」は『現代詩手帖』2月号から4月号に「僕の一〇〇〇と一つの夜」の名前で発表された。

5月26日(日)
わたくしのビートルズ 小西康陽のコラム1992-2019』を読んだ。

ピチカート・ファイブで知られる音楽家・小西康陽さんは高校時代(田島貴男ボーカル時代)から大好きで、ずっと仕事を追っている。音楽だけでなく、音楽や映画や本への深い愛情あふれる、しかしどこか淋しさの残る、この人の書く文章も好きなのだが、今回刊行された『わたくしのビートルズ』は10年ぶりのヴァラエティブックで、ページを開くのが楽しくて仕方ない。

「ヴァラエティブック」というのは、1971年に晶文社から出た植草甚一『ワンダー植草・甚一ランド』からはじまる書籍のスタイルで、通常、1段、および2段組で、テキストを流し込むところを、1段、2段、3段、4段と違う組み方で、評論、エッセイ、コラム、対談などを雑多に編集するものだ。寄せ集めの雑文集になるところが、こうするとまるで雑誌みたいな単行本になって、にぎやかでしゃれたものを読んでいる感じになる。

ここ数年の小西さんは渋谷のシネマヴェーラや神保町シアター、ラピュタ阿佐ヶ谷などの名画座に通って、古い日本映画を年間500本以上見ていることが知られているが、その映画リストが載っていたり(5段組み)、2013年から2018年の簡単な日記が載っていたり(4段組み)。久々に小さい文字を目を凝らして夢中になって読んだ。10代の頃のように、気持ちが若返る。

5月30日(木)
池袋から埼玉に伸びる私鉄の沿線に住んでいるのだが、会社へ通勤する最中に必ず、車窓から大きな川に面した加藤典洋さんの住んでいたマンションが見える。

親しかった書き手が、近くに住んでいるとこういう時つらいものだ。目に入るたびに、あそこにもう加藤さんはいないのだ、といやでも毎日2回実感させられる。



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考える人とはとは

何かについて考え、それが「わかる」とはどういうことでしょうか。

「わかる」のが当然だった時代は終わり、平成も終わり、現在は「わからない」が当然な時代です。わからないことを前提として、自分なりの考え方を模索するしかありません。

わかるとは、いわば自分の外側にあるものを、自分の尺度に照らして新しく再構成していくこと。

“Plain living, high thinking”(シンプルな暮らし、自分の頭で考える力)*を編集理念に、Webメディア「考える人」は、わかりたい読者に向けて、知の楽しみにあふれたコンテンツをお届けします。

*産業革命後に急速な都市化が進むロンドンで、イギリスの詩人ワーズワースが書き遺した言葉。

 

 

「考える人」編集長 松村 正樹


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