シンプルな暮らし、自分の頭で考える力。
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Superfly ウタのタネ

ステイホーム期間中、読書に励んでいたという人は多いのではないでしょうか。私もそうです。
いろんな本を読みましたが、一番盛り上がったのが石川英輔さんの『大江戸神仙伝』をはじめとするSF歴史小説シリーズです。
これまた7冊もありまして、長いステイホーム期間中には最適でした。物語が続いていく安心感と、起床後に(私は朝読書派です)現代を生きる主人公とともに江戸時代にタイムスリップする感覚にハマってしまったのです。
何が面白いって、ずっと昔を生きた先人たちの暮らしを知ることができるというところ! 江戸の町を覗いてうっとりしつつ、いろんな価値観を見つめ直させてくれるような作品なのです。

江戸の人々はリサイクル上手だったようです。当時の江戸は排泄物さえも肥料として再利用し農作物を作っていたとか。人間がいればいるほど肥料も増え、食物に生まれ変わる。美しいシステム。昔の人の知恵には感心させられますね。

電気もないので明かりは蝋燭です。太陽が昇れば起床し、沈めば眠る。高層ビルもなく、緑は豊かなまま。今は多くが埋め立てられてしまった東京の川も透明で、新鮮な美味しいお魚に恵まれていたといいます。人間と自然の調和のとれた暮らしで、とても素敵。
江戸時代に暮らしたいかと言われると悩むけど、原始的な暮らしに興味はある方だと思います。

我が家には電子レンジがありません。
いや、一応存在してるけど、稼働するのはツアー中に体をほぐす為の「あずきのチカラ」をチンする時くらいで、食材を温めるために使ってない。
もちろん実家暮らしの時は当たり前のように使っていたし、一人暮らしを始める時も必要な家電アイテムランキングで上位でした。我が家には炊飯器もないので、ご飯は土鍋。必要な量を炊いて食べ切ってしまうので冷凍ご飯の存在もない。スープや煮物が余ったとしても、湯煎で温めたり「せいろ」で蒸してしまえば、特に問題ないのです。
「せいろ」は我が家の電子レンジとして大活躍です。

レンジのない生活を話すと、結構驚かれる。
確かにこの家電は、忙しすぎる現代人の味方! アイテムだと思う。

でも私は、そんな便利すぎる世の中が怖くなる瞬間があります。
時間・手間が省けるということでいいことずくめ。本当に助かるんだけど、でもそれに慣れすぎると、工夫したり、知恵を絞ったりという感覚が衰えるような気がしてしまう。いつでも少し不自由で、「ちょっと頑張る」ということをしていきたい。
自分に何が必要か、そうでないかを見極める作業が好きで、生活の中にそういった実験的なことを取り入れると、燃えるのです。

食品に関しても、しょっちゅう実験をしています。
3年ほど前から、グルテンフリーに目覚めました。きっかけは体のむくみや低体温がひどくなったこと。もともとパン・パスタ・クッキーなどの小麦食品は大好物で、おそらく人よりも食べ過ぎました(反省)。実は食事への興味が薄く、少ない量でエネルギーを摂取するクセがついていて、その食生活に体が拒否反応を示し始めたのです。
ということで、試しに2週間くらいグルテンフリーを続けてみようとトライ。案外、小麦と離れ離れの生活は苦ではなく、たった3日で全身がスッキリ。むくみは無くなったし、体はとにかく軽い! 残念ながら、グルテン生活は私の体には合ってなかったということが一瞬にして証明されてしまいました。

拍子抜けしたけど、とにかく体の変化が嬉しくて周りのスタッフにやたらとグルテンフリー生活の素晴らしさを語るように。しかし……、長年続いた習慣は、なかなか変えられないものです。
ある日の撮影で、お弁当タイムがやってきました。パスタなし、揚げ物なし。と指差し確認してお弁当の中身のグルテンチェック完了!
ここのお弁当美味しいよね~なんてヘラヘラしながら、その時も得意げにグルテン抜き生活の素晴らしさを語りつつ用意されたお弁当をいただいていると、スタッフの女の子が突然「えーーーーーー!」と素っ頓狂な声をあげながら私のお箸の先を見てきたのです。すぐさま彼女のメッセージに気づき、私もフリーズ! 私は何の疑いもなく、「マカロニサラダ」を食べ続けていたのです。
グルテンフリー初心者で、パスタ=細長いという思い込みでした……。盲点であった。凡ミスであった。食べてしまったことよりも実験が中断したことがショック。

その後もこのような失敗を何度も重ねて、気づくのです。
小麦は形を変えて私のところにやってくる。ということを。
チョコレートやスナック、ここにもいたのか!? と驚くほど、いろんなところに存在してます。

3年もこんな生活が続くとほぼベテランの域に達したのではないだろうか。
米粉などの小麦の代用品に出会うことでさらに料理の幅も広がり、工夫する・知恵を絞ってちょっと考えるという楽しさが倍増しました。
だからといって、小麦を敵対視してる訳ではありません。今でも大好物。
外食時や友人宅へお呼ばれしたとき、お土産など、特別なご褒美としてありがたくいただくようにしています。イタリアにも行きたいです。
こうして現在は小麦ともいい関係に。気づけば、生活の中でうまくコントロールできるようになりました。私なりのグルテンフリー道をマスターしたような気持ちでいます。
本気のグルテンフリーの方から見れば、ゆるいと思われるかもしれませんが、ストイックな制限をかけてストレスを溜めてしまうのは悲しい。
体質は人それぞれ違うものなので、個人が納得できるストレスフリーな方法に着地できるのが、一番じゃないかなと思うのです。

話は変わりますが、最近、サスティナブルという言葉をよく見かけるようになり、時々考え込んでしまいます。
地球環境汚染を防ごう、地球を守っていこうという思想は、本当に素晴らしいことだと思います。『大江戸神仙伝』のシリーズにも、現代人は物質的な豊かさのために自然環境を破壊してきたという描写がありますが、「知らず知らずのうちに便利さに依存して、無意識に自然破壊につながる行動」をしていると思います。だからといって、手のひらを返したように今までの生活を否定したり、○○は環境を汚染している!という情報を鵜呑みにして、振り回されたりしないようにしたいとも思うのです。
地球というスケールで考えようとすると気が遠くなるし、何より自分ごとになりづらい。でも自分の家(生活空間)も地球の一部である。「家=地球なんだ!」と思えば、やるべきことがイメージしやすくなりました。家の中が二酸化炭素過多になってくると苦しいし、家電を使えば熱がこもって暑い! これと同じようなことが地球で起きてるんですよね。
家のゴミを減らせば、地球のゴミも減る……!
ということで、最近はどうやったらゴミ置場に行く頻度が減らせられるか!? という実験中です。

今まではゴミ扱いしてしまっていたお野菜の皮や芯をコツコツ集めて、ダシを取るようになりました。これがとんでもなく美味しい。甘みもコクもあって、今まで人生損してたんじゃないかというほど、幸せな気持ちになります。本当は捨てるところなんてなかったんだなぁ……ごめんね野菜さん。という気分です。もちろん、生ゴミも減った、ラッキー!

そしてお野菜の保存方法も変わりました。
ラップを使わなくなり、お野菜も新鮮なうちに食べるように。中途半端に残っても、お漬物にしたりマリネにしたり工夫しながら、今のところ順調です! 面倒なゴミ出しも減って、サイコー!
外出時、お洋服屋さんで買い物をしても、ほとんどラッピング無しでマイバッグに入れて持ち帰ります。バッグが小さくて入らなかったとしても、そのまま抱えて持ち帰る。店員さんに「いいんですか……??」とびっくりされますが、帰宅後、綺麗なラッピングがゴミに変わるのが悲しいし、ゲットした洋服を1秒でも早くクローゼットに並べたいので、実は袋から出すという行為がとにかく面倒くさい。

こうして書いてみると、ゴミを減らしたいというよりただの横着なだけに見えますが(笑)、本人は一応、エコ実験の意識で過ごしてます。

こんな些細なことの積み重ねで、地球を守れるかどうか分からない。その答えはもっと未来にあるから。ただ、江戸時代の暮らしのような、人間と自然のバランスに近づきますようにという願いを込めて、この生活を楽しもうと思ってます。
一番気をつけたいのは、情報や常識に惑わされないこと。
たとえば一般的にエコではないと思われてる便利なものがあったとしても、無理に捨てたりせずに感謝の気持ちを持って最後まで使い続けていいと思っています。
エコも、それぞれの生活リズムに合わせてストレスフリーに楽しめるといいですよね。

まだまだ試してること、試したいことはたくさんあるけれど、
最近洗濯機が壊れたので、洗濯板でのお洗濯もいいなと思っている。

さすがに無理か!(笑)

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「考える人」から生まれた本

  • 春間豪太郎草原の国キルギスで勇者になった男

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何かについて考え、それが「わかる」とはどういうことでしょうか。

「わかる」のが当然だった時代は終わり、平成も終わり、現在は「わからない」が当然な時代です。わからないことを前提として、自分なりの考え方を模索するしかありません。

わかるとは、いわば自分の外側にあるものを、自分の尺度に照らして新しく再構成していくこと。

"Plain living, high thinking"(シンプルな暮らし、自分の頭で考える力)*を編集理念に、Webメディア「考える人」は、わかりたい読者に向けて、知の楽しみにあふれたコンテンツをお届けします。

*産業革命後に急速な都市化が進むロンドンで、イギリスの詩人ワーズワースが書き遺した言葉。

 

 

「考える人」編集長
松村 正樹

著者プロフィール

Superfly越智志帆

スーパーフライ おち・しほ 1984年2月25日生まれ。愛媛県出身。2007年デビュー。代表曲に「愛をこめて花束を(2008)」「タマシイレボリューション(2010)」「Beautiful(2015)」「Gifts(2018)」など多数。シンガーソングライターとしてのオリジナリティ溢れる音楽性、圧倒的なボーカルとライブパフォーマンスには定評があり、デビュー14年目を迎えてもなお表現の幅を拡げ続けているアーティストである。今年1月には、ほぼすべての楽曲の作詞・作曲を越智志帆自らが手がけた4年半ぶりとなるオリジナルアルバム『0』をリリース。Superflyの新章を実感させる仕上がりとなった。Superfly公式サイト


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