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黛まどかさんの連載が、『私の同行二人  人生の四国遍路』(新潮新書)として1月17日に発売!

2025年1月8日

黛まどかさんの連載が、『私の同行二人 人生の四国遍路』(新潮新書)として1月17日に発売!

 黛まどかさんの連載「私の同行二人 ふたたびの四国遍路」が、新潮新書から『私の同行二人 人生の四国遍路』として2024年1月17日に刊行されます。

 著者の黛さんは、「歩いて詠む・歩いて書く」ことをライフワークとしてきました。これまでスペイン・サンティアゴ巡礼道(800キロ)、韓国プサン―ソウル(500キロ)、四国遍路(1400キロ)などを踏破してきましたが、今回は、四国88札所に別格20か寺を加えた108か寺・1600キロ。連日の酷暑に土砂降りの雨、降りだす雪、転倒によるケガや道迷いなど、相次ぐアクシデントに見舞われながらもひたすらに歩みつづけます。出会い、別れ、俳句、生と死―自身の半生を振り返りながら巡る二度目の歩き遍路、結願までの「同行二人」の旅路をこまやかに綴りました。

著者紹介

黛まどか(まゆずみ・まどか)
俳人。神奈川県生まれ。「B面の夏」50句で第40回角川俳句賞奨励賞。スペイン・サンティアゴ巡礼道、韓国プサン―ソウル、四国遍路88ヶ所などを踏破。「歩いて詠む・歩いて書く」ことをライフワークとしている。句集『北落師門』、随筆『暮らしの中の二十四節気』など著書多数。

目次

プロローグ―歩かざるを得ない生

1 遍路というトポス

  ―一度は父のため、二度は母のために。一〇八札所を巡る1600キロの遍路道

2 人生の〝つづれ織り〟

  ―九月の四国は連日の酷暑、「遍路転がし」焼山寺を前に膝や脛に痛みがはしる

3 歩き遍路が抱えているもの

  ―それぞれの想いを胸に、歩き遍路はただ歩く。そこに予期せぬアクシデントが

4 光明は苦海にしか射さない

  ―土砂降りの雨、前日のケガ、眞念道。数知れない巡礼者たちの悲しみとともに

5 「因」があって「縁」が生まれる

  ―引きずるものあれば背負うものあり、並び立つ句碑に浮かぶ若き人の読経の声

6 身体を軸にして見、考えること

  ―「発心の阿波」から「修行の土佐」へ。気づけば現れる小さな蜘蛛と夢枕の父

7 カイロスと呼べる自分だけの時間

  ―山頭火が記したゴロゴロ浜、思い出される名月十句、口に飛び込む明けの明星

8 あらゆるものに〝声なき声〟

  ―「春野町秋山」二つの地名から連想するのは、父と自身の第一句集の頃のこと

9 口実ではない、発心を探し求めて

  ―何のために歩むのか。老いも若きも外国人も、〝サン・テーレ〟が集う遍路宿

10 「ありがとう」が湧き出すとき

  ―手元に戻った金剛杖、農家民宿でもらった蜂蜜、道案内してくれた野宿の遍路

11 遍路とは「辺地」をゆくこと

  ―足摺岬で旅の行程は約半分、「姉妹のような」友との久々の再会に話が弾んで

12 歩き、無になり、仏性を感じる

  ―「ただの極道や」とその人は言った。眠れぬ夜、父の遺影にどぶろくを供えて

13 本道ではなく、脇道を往くように

  ―「修行の土佐」から「菩提の伊予」へ。近づく別れに〝フレキシブル・デー〟

14 「答えのない問い」を問い続ける

  ―父母を詠んだ芭蕉の句、テレビでは「父を想う日」、「二つの時計」を持つこと

15 「辛い」は観念、「痛い」は身体性

  ―にわかな冷え込みと立ち込める霧。プラトン「洞窟の比喩」を思い起こすとき

16 「いま、ここ」から過去へ未来へ、遠い所へ

  ―燃えるような紅葉、紺にオレンジのにじむ雲海、絶え間なく湧いてくる想念

17 自然や宇宙とつながる一瞬のために

  ―「恩送り」の道標や先人の句碑を傍らに、風のように走りゆく白衣の一団が

18 空、あるいは虚空を生きるひと

  ―般若心経の世界観、山頭火の苦悩、見知らぬ人から伝わる「生」のエネルギー

19 眼で眺める世の表層、心眼で見る真実

  ―六年前にあった人の姿はすでになく、季節は移り、辺りは突然白一色の世界に

20 一輪のすみれに霊性を感受するとき

  ―山々を風が吹き渡る〝山鳴り〟の音、ふと気づけばまた道迷い、ふたたび転倒

21 今日も遍路は同行二人

  ―「菩提の伊予」から「涅槃の讃岐」へ。満濃池、財田川、十数年前と同じ涙

22 悲しみと共に生きるとは

  ―「笑まふ」その時、取れた心のバリア。そしてお大師様からの「ありがとう」

23 仏の導き、すべては計らいのなかに

  ―ときに迷い、転び、それでも歩み続ける「人生即遍路」。結願までの同行二人

エピローグ―「歩く哲学」と空海の宇宙

 黛まどか『私の同行二人 人生の四国遍路』(新潮新書)

2025/1/17

公式HPはこちら

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考える人とはとは

 はじめまして。2021年2月1日よりウェブマガジン「考える人」の編集長をつとめることになりました、金寿煥と申します。いつもサイトにお立ち寄りいただきありがとうございます。
「考える人」との縁は、2002年の雑誌創刊まで遡ります。その前年、入社以来所属していた写真週刊誌が休刊となり、社内における進路があやふやとなっていた私は、2002年1月に部署異動を命じられ、創刊スタッフとして「考える人」の編集に携わることになりました。とはいえ、まだまだ駆け出しの入社3年目。「考える」どころか、右も左もわかりません。慌ただしく立ち働く諸先輩方の邪魔にならぬよう、ただただ気配を殺していました。
どうして自分が「考える人」なんだろう―。
手持ち無沙汰であった以上に、居心地の悪さを感じたのは、「考える人」というその“屋号”です。口はばったいというか、柄じゃないというか。どう見ても「1勝9敗」で名前負け。そんな自分にはたして何ができるというのだろうか―手を動かす前に、そんなことばかり考えていたように記憶しています。
それから19年が経ち、何の因果か編集長に就任。それなりに経験を積んだとはいえ、まだまだ「考える人」という四文字に重みを感じる自分がいます。
それだけ大きな“屋号”なのでしょう。この19年でどれだけ時代が変化しても、創刊時に標榜した「"Plain living, high thinking"(シンプルな暮らし、自分の頭で考える力)」という編集理念は色褪せないどころか、ますますその必要性を増しているように感じています。相手にとって不足なし。胸を借りるつもりで、その任にあたりたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。

「考える人」編集長
金寿煥


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