シンプルな暮らし、自分の頭で考える力。
知の楽しみにあふれたWebマガジン。
 
 
木村元
木村元

書籍編集者。株式会社アルテスパブリッシング代表。

1964年京都生まれ。上智大学文学部哲学科を卒業後、株式会社音楽之友社に入社。2007年独立して株式会社アルテスパブリッシングを創業。音楽書を中心に旺盛な出版活動を展開。「音楽書と人文書を融合。独自ジャンル創出」(『新文化』2017年6月15日号)と評される。

著書に『音楽が本になるとき──聴くこと・読むこと・語らうこと』(木立の文庫、2020)、『音楽のような本がつくりたい──編集者は何に耳をすましているのか』(同、2021)。

桜美林大学リベラルアーツ学群非常勤講師。国立音楽大学評議員。「ダ・ヴィンチ音楽祭in川口」および「北とぴあ国際音楽祭」アドバイザー。

Twitterアカウント @kimuragen

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考える人とはとは

 はじめまして。2021年2月1日よりウェブマガジン「考える人」の編集長をつとめることになりました、金寿煥と申します。いつもサイトにお立ち寄りいただきありがとうございます。
「考える人」との縁は、2002年の雑誌創刊まで遡ります。その前年、入社以来所属していた写真週刊誌が休刊となり、社内における進路があやふやとなっていた私は、2002年1月に部署異動を命じられ、創刊スタッフとして「考える人」の編集に携わることになりました。とはいえ、まだまだ駆け出しの入社3年目。「考える」どころか、右も左もわかりません。慌ただしく立ち働く諸先輩方の邪魔にならぬよう、ただただ気配を殺していました。
どうして自分が「考える人」なんだろう―。
手持ち無沙汰であった以上に、居心地の悪さを感じたのは、「考える人」というその“屋号”です。口はばったいというか、柄じゃないというか。どう見ても「1勝9敗」で名前負け。そんな自分にはたして何ができるというのだろうか―手を動かす前に、そんなことばかり考えていたように記憶しています。
それから19年が経ち、何の因果か編集長に就任。それなりに経験を積んだとはいえ、まだまだ「考える人」という四文字に重みを感じる自分がいます。
それだけ大きな“屋号”なのでしょう。この19年でどれだけ時代が変化しても、創刊時に標榜した「"Plain living, high thinking"(シンプルな暮らし、自分の頭で考える力)」という編集理念は色褪せないどころか、ますますその必要性を増しているように感じています。相手にとって不足なし。胸を借りるつもりで、その任にあたりたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。

「考える人」編集長
金寿煥


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