
2022年11月28日
橋本陽介さんの連載が『中国語は不思議―「近くて遠い言語」の謎を解く―』として刊行!
「考える人」で連載されていた橋本陽介さんの「ふしぎな中国語――日本語からその謎を解く」が、『中国語は不思議―「近くて遠い言語」の謎を解く―』というタイトルで、新潮選書から刊行されました。

漢字、語彙、文体……こんなに似ていて、こんなに違う!
日本語と多くの共通点がありながら、発音や文法などが大きく異なる「近くて遠い」中国語。なぜアメリカは“美国”なのか? 過去形がないのに、過去をどう語る? 7ヶ国語に精通した研究者が、ふとした疑問から文化や思想までをも解き明かす。初心者から上級者まで新しい発見がある、目からウロコのおもしろ語学エッセイ。
本の目次はこちら!
はじめに
第一章 簡体字を巡るエトセトラ
甲骨文から草書・楷書へ/漢字の進化論/簡体字には法則がある/厄介な「まぎらわしい漢字」/筆順は「だいたい」でよい/さらなる過激な簡化――第二次漢字簡化方案/漢字を減らすのは難しい
第二章 音声とピンイン表記
尚古主義にもとづく注音字母/「中国ラテン化新文字の原則と規則」/周有光と漢語ピンイン方案/ピンイン表記法の紆余曲折/音節表が空欄だらけな理由/昔の中国語の発音/「語源」と「字源」の違い/音声から語源をたどる/単語は家族を成している/音韻学を学びたい人のために/音象徴のはなし
第三章 語彙のはなし
日本語と中国語の語彙/人間には「嘴」と「牙」がある/一音節から二音節へ/二文字からなる語の語構成/ハバナで出会った「幽默大師」/「離合詞」とは何か/「謎の離合詞」の正体/音訳と意訳の間/『中華オタク用語辞典』/なぜ「美国」と「法国」なのか/日本語と中国語の複雑な相互関係/「倶楽部」「経済」――翻訳漢語の世界/「魚肉」と「驢馬肉」
第四章 『三国志演義』を原文で読むには
書き言葉「文言文」と話し言葉「白話」/『三国志演義』は漢文が七割、現代中国語が三割/中国版・言文一致で生まれた「新たな書き言葉」/漢文訓読の力業/疑問文のつくりかた/なぜか多い犬食い小説/量詞(数える単位)のはなし/犬は「道」「魚」「川」と同じカテゴリー
第五章 品詞と語順のはなし
中国語には品詞がない?/「まじめだ」「まじめに」「まじめさ」は同じ/語順によって意味が変わる/汚名は「返上」?/「穴を掘る」の穴はどこに/VとOの意味的関係/「パソコンが壊れた」は“死机”/主語が最初に来ない「存現文」/「存現文」の主語はどれか?/日本語と中国語は主題卓越型/□V□□のつくりかた/トリのはなし
第六章 中国語の「時間」のはなし
「過去形」はなくても問題ない/“了”の秘密/開始限界達成と終結限界達成/餃子を何個食べたら食べ終わり?/終結点がないと完了しない/「~してしまえ」の“了”/小説文における「た」と“了”の微妙な関係/描写で分かる語り手の視点/魯迅の小説は難しい/「時の祝福」と中国SF
第七章 “是”は「コレ」である
「AはBだ」の表しかた/“A是B”の歴史/要素Aに説明Bを加える/中華圏の王道エンタメ、武侠小説/先行する状況を見よ/焦点を表すとされる“是”/学習者を悩ませる謎の“是~的”構文/「どこ?」「いつ?」を説明する/日本語「のだ」との比較
第八章 中国語の「一つの文」
「、」でつながる長い文の謎/キーワードは流水文/並列的に並べられていく/主語が変わっても読点でつなげる/状態も時間軸上に組み込める/全体から部分へ/連体修飾語構造と節の並列/“得”と“的”/ただ並べるだけで表される「意合法」/句点と読点の歴史
第九章 「並列」することの美学
「流れる水のよう」に感じられる理由/AはBで、BはC/言葉の流れる順に認知する/日本語の「長い文」/頂真構造と繰り返し/英語にもある並列方式
おわりに
参考文献
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橋本陽介『中国語は不思議―「近くて遠い言語」の謎を解く―』
2022/11/24
公式HPはこちら。
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とは
はじめまして。2026年7月1日よりウェブマガジン「考える人」の編集長をつとめることになりました、松本太郎と申します。いつもサイトにお立ち寄りいただき、ありがとうございます。
2002年7月4日、季刊誌「考える人」が創刊されました。
目次には当代随一の執筆陣がずらりと並び、B5判240ページの誌面の隅々から知の香りが立ちのぼってくるかのようでした。
当時、入社3か月の営業部員だった私は、見上げるような思いで手に取り、発売日には編集長の松家仁之さんと創刊のご挨拶のために書店にうかがいました。
まだ書店訪問にも慣れておらず、編集長ともほぼ初対面の中、次のお店の約束の時間に間に合うだろうかと時計ばかりが気になって、終始、そわそわしていました。そんな私に松家さんがやわらかな笑顔で接してくれたこと、そして、新雑誌の門出を祝うようなすっきりと晴れた一日だったことを覚えています。
あれから四半世紀が過ぎ、ウェブマガジンとして衣替えした今でも、創刊時に掲げられた「Plain living, high thinking(シンプルな暮らし、自分の頭で考える力)」という言葉は古びていません。AIに尋ねれば瞬時に答えが返ってくる時代だからこそ、それらしい言葉に飛びつくのではなく、自分の頭で考え、心の声に耳を澄ませることの大切さは増しているように感じます。
創刊号には、養老孟司さんのロングインタビューが掲載されています。養老さんはその中で、恩師である中井準之助先生の口癖だった「人の心がわかる心を教養という」という言葉を紹介しています。
読んだ瞬間に立ち止まり、さまざまな思いが湧き上がってくるような文章に、楽しみながら出会える場であり続けたいと思っています。
「考える人」編集長
松本太郎

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