シンプルな暮らし、自分の頭で考える力。
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にがにが日記―人生はにがいのだ。

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10月9日(水)

 「木島シャイ子」の話はすでにしたと思うけど、なんか不器用なくせにタイピングの速度だけ異常に速くて、だいたい3割ぐらいはいつも打ち間違っている。
 こないだ、自分が書いた教科書のことを書いてて、岸政彦・石岡丈昇・丸山里美『質的社会調査の方法──他者の合理性の理解社会学』有斐閣、という本なのですが、おかげさまで売れておりまして、たぶん日本の質的調査の教科書で、いちばんたくさんのひとに読まれていると思う。これをタイプミスして、
 『質的社会調査のウホウホ』
 って書いた。ウホウホのところがご丁寧にちゃんと片仮名で変換された。
 ウホウホ。
 もう、質的調査しちゃって、儲かっちゃってウホウホ
 違う。
 そんな本と違う。
 こないだわざわざ飲みに行ったのである。自腹で。東京へ。
 東京ほんと好きだ。さいきん知り合いになる方がみんな東京で、行くたびにいろんな方と出会って、とても楽しい。ああこうやってみんな東京に集まるんだなと思う。
 東京が実在することに、いつも驚く。高校生のときに最初に遊びに行ったときは、いつもテレビで見ている「新宿」とか「渋谷」とかがほんとうに存在していることに、心から驚いた。
 で、その実在する東京の、実在する銀座で、詳しく書けないですが実在する「超豪華メンバー」でビール飲んでからカラオケ行ってそのあと最後にバー行って、9時間飲んでた。最後のほうちょっと記憶が曖昧になってました…。
 いやしかしすごい楽しかった。近年まれにみる楽しい飲み会じゃったわい。
 本を書くようになってまだ5年か6年ぐらい、『断片的なものの社会学』もまだ4年しか経ってないんだけど、それまでずっと東京って学会以外で行かなかったんだけど、なんかいろいろトークイベントやら何やらさせてもらうようになって、いまでは月に1度か2度ぐらい東京行くようになった。
 東京楽しいねー。
 住んだらそうでもないのかな。たまに行くぐらいがいいんだろうな。
 いま東京に住んでるひとって、どうやって東京に来て、どうやって暮らしているんだろう。そしてこれからも東京で生きていくんだろうか。
 私は今日も大阪の場末の路地裏で生きてます。
 大阪帰ってくるとやっぱり大阪がええなって思う。
 情緒も雰囲気も何もない、ただでかくて人が多いだけの街だけど。
 わりとジャンクなものが好きで、そんなにしょっちゅう食べるわけじゃないんだけど、スーパーでよく売ってる冷凍のエビピラフが好きで、ほんとにたまにしか食べないんだけど。
 律儀にフライパンで炒めて、めちゃめちゃこびりついて失敗してたけど、ふつうに電子レンジで温めるだけのほうがうまいな。
 喫茶店で食べるエビピラフの味がするよね。
 喫茶店のエビピラフ好きなんだよね。
 って、いま気づいたけど、喫茶店で食べるピラフと同じものなのではないか。あれも冷凍だろ。
 下手したらメーカーも同じかもしれんな。
 意外なものがつながった。犯人はお前だったのか、みたいな。
 ふたりの別々のひとだと思ってたけど、同一人物だった。
 違うふたりの人を愛してしまったけど、じつはおなじひとだった。
 新大阪から新幹線に乗ったのに、いつのまにか新大阪に着いていた。
 父親と母親が同一人物だった。
 違うか。
 きしさいとうは実はひとりの人間かもしれんな。
 違うよ。
 もっとみんな気軽に仕事さぼって、家の前の路上に椅子を出して座って、夕方からビール飲みながらギターでも弾いて、通りかかった近所のひともなんとなく参加して一緒に座って、足元に犬が寝てて。
 そういう社会になればいいのに。
 でもそういう社会はみんな貧しくなっちゃうのかな。
 けっきょく俺たちはいつまでも、満員電車に乗ったり、組体操したり、おなじスーツを着せられていっせいに就活するしかないんだろうか。
 大学教員の仕事もどんどんめんどくさく、せせこましく、ややこしく、不自由になってきてる。
 大学の仕事のこと考えると、脳のなかに真っ黒な雲がもくもくと湧いてくるね。光が差さない。
 大学なんかまだマシなほうだとは思うけど。
 冷凍のエビピラフでも食うか。
 北半球は冬へ向かって宇宙を進む。

10月10日(木)

 立ち上がっても、立ち上がっても、俺は倒されるぜ…!
 サマンサ田畑、というネタを思いついたのだが、あまり広がりがない。しかも、いま検索したら、めっちゃ既出どころか、すでに手垢のついたネタになってる。
 だからダメなんだよな俺は。
 それがどうした。
 おれはおれが面白いと思ったことを書くぜ。
 そしていまおれは「サマンサ田畑」があんまり面白くなかったと思っている。
 でも書く。
 つまり、おれはおれがあんまり面白くなかったと思ったことでも書いている。
 すべてを包み込む、そんな存在になりたい。
 いまはじめて「田畑さん」って本名書いたな。ずっと「tbtさん」として登場していたのだが。
 おれに小説を書かせた悪いひとです。
 とても悪い。このひとは邪悪ということでいいのではないか。
 サマンサ邪悪。
 原型をとどめてないな。
 今日は学部の授業。1コマだけ、教養センターから依頼されて、学部の授業をしているのだ。生活史の実習的なやつ。実際に学生さんたちに、身近なひとでいいから、生活史の聞き取りをして、文字起こしをして、編集をして、『街の人生』的な原稿をつくってもらうところまでやってもらう。もちろんそれは卒論などで使ってもよい。
 ふだん院生さんのゼミばかりなので、ひとつだけ学部生の授業があると、とても新鮮だ。なんかなつかしい。みんな真面目だし純粋だし、反応がとても良い。
 まだ3回めぐらいなので、いま生活史の方法論的なところ(構築主義とポスト構築主義)の話をしてるんだけど、途中で脱線して、部落差別の話になった。
 ちょうど関電に賄賂払ってどうのこうのというニュースのときに、Twitterに、人権教育について、「差別の存在を植え付けるだけだから、そういう教育自体をしないほうがいい。それよりももう、みんなで黙ってたほうがいい。そのほうが早く「なくなる」」っていう書き込みが目立っていたので、ちょっとだけ反論めいたことを書いたところだったので。
 そういう話をした。
 で、学生さんたちに、どう思うかを聞いたんだけど、やっぱり「できれば知らないでいたかった」とか、「黙ってるほうがいいのではないか」という意見があった。
 おじいちゃんやおばあちゃんから子どものころに「あそこは『こわい』ところだから」っていうことを言われた学生さんもいた。
 これって、
 「そこにそういう場所があって、差別されていることを学ぶ」という出発点から、「だからそこには関わらないようにする」と、「だからちゃんと差別について学ぶ」に分かれる。
 多くの学生さんは、つい前者で考えちゃうから、良心的なやつほど、「だからいっそのこと言わないほうがいい」っていう考え方になっちゃうのかな、と思った。
 ちゃんと学ぼう。

10月11日(金)

 同じ映画を何度も何度も観る。昔からの癖だ。
 またローグ・ワン観てた。年齢的にスター・ウォーズの世代で、考えてみれば子どものころからずっとこの映画のシリーズに付き合ってきたことになる。全部観たけどやっぱりローグ・ワンがいちばん好きだ。役者さんも脚本も演出も、とても良いと思う。
 ふと気がつくと、スター・ウォーズのTシャツを着て、観てた。
 ユニクロで買ったやつで、胸のところに金色の「STAR WARS」っていう、あのロゴが入ってる。
 自分でびびった。何やってんだ俺。
 スター・ウォーズそんなに好きか。
 うん。好き。
 いちばん近い陸地から5000kmぐらい離れた、真っ暗な夜の海の上に浮かんでいたいな。半径5000kmは誰もいない。星がきれいだろう。
 仰向けに浮かんでいると、耳を波が洗う。
 息を吸うと体がすこし浮かび、吐くとすこし沈む。
 どこまでも暗い。

10月12日(土)

 台風がやってきた。静岡あたりから上陸して、東京を直撃するらしい。ゆっくりした速度で、じわじわと近寄ってきている。なんとなくみんな調子悪い。おさい先生も寝込んでいる。寝込む前に、キッチンの床に爪楊枝の容器を落としてしまい、数百本の爪楊枝を床にぶちまけておられた。
 そして何事もなかったかのように、もとの容れ物に戻していた。
 さすがにぜんぶ揃えてはない。上下バラバラである。
 その、上下バラバラなんを見て、「キミ、床にぶちまけたね…?」ということを推理した。
 これ、使うの俺だけど。
 爪楊枝を床に落とすな。
 まあいいや。
 俺は事務仕事をやろうとして明日でいいやと思い、Amazonプライムでなんとなく『アジョシ』という映画を見始めたら、これがめちゃめちゃ面白くて、最後まで一気に見てしまう。
 ウォンビンというひとを初めて知った。かっこよくてびっくりしたけど、元凄腕特殊工作員にしては痩せすぎてないか。
 ウィキで調べたら、このあと映画出てないみたいなんだけど、ほんとかな。

11月6日(水)

 間があいた。めちゃめちゃ調子が悪かったのだ。FBやTwitterではほとんど書かないけど、ほんと死ぬかと思った。ていうか死のうと思ってました。
 朝はかならずコーヒーなのだが、わざわざ豆を買ってきて手で挽いていた。毎朝。
 さすがにめんどくさくなって、電動のミルを買った。かなり長いこと使ってたんだけど、あるとき粉のやつをもらったのをきっかけに、別に粉でええやんということになった。味の違いがわからん。
 で、いまは粉のやつをペーパードリップ?っていうのですか?にしてるんですけど、さいきん大学の講師控室にあるインスタントコーヒーを飲んでいるのですが、けっこう美味いよな最近のインスタント。
 もうインスタントでもいいのでは、と思っている。
 カフェイン入ってたら何でもいいんだよ。
 飲み食いにこだわってるひとたくさんいるけど、おれぜんぜん違いがわからんのよね。
 なに食っても美味い。
 マクドとか吉野家とか、うまいなあと思う。
 パンは超熟が好き。

11月10日(日)

 朝日カルチャーセンターというところで講座をしてくれ、と頼まれたので、1日だけならいいですよ、ということになり、1日だけ、2コマ連続で生活史って何っていう話をした。
 8000円もするのに、150人も集まって、びっくりした。デスクとっぱらってぎゅうぎゅうになりました。ほんとすみません。
 話は面白かったのではないかと思う。
 たくさん笑ってもらった。
 感想もたくさんもらった。
 60代の男性の方で、先日亡くなった妻が岸先生のファンでした。きょうは一緒に来たかったです、という手書きの感想を拝読して、泣く。
 ちょっと贅沢して京王プラザに泊まったのだが、ちょっと早めに行って26階の部屋にチェックインして30分だけ横になってて、窓の外の都庁を見ていたら、いきなり、無音で、静かに、色とりどりの風船がたくさん、たくさん、ふわふわと飛んでいた。
 めちゃめちゃぞっとした。
 『It』で死ぬやつやん。
 朝カルの会場に、邪悪なtbtさんと、某社の担当であるOさんが来ていたので、3人で飲みに行った。
 Oさんは「財布に500円しかないけどいいですか」と言っていた。
 よく財布に500円で新宿歩くよな…。
 と言ったら、「さっきまで1000円はあったんです。だから、タピオカ飲むのにすごい迷いました」と言った。
 飲んだんかい、タピオカ。
 そしてけっこう積極的にワインお代わりしておられた。
 バラしてすみません。
 Oさんほんま大好き。ほかにもいろんな天然エピソードがあります。
 いずれ書く。
 Oさんはもう邪悪ということで良い。

2020年1月5日(日)

 いつのまにか年を越していた。年を越したからどうちゅうこともない。年末年始と誰にも会わなかった。あ、院生に焼肉食わしたな。それ以外はずっと家にいた。4作めの小説の続きを書いていたのだ。正月のあいだに100枚ぐらい書いたかな。
 静かなお正月だった。
 大晦日はきしさいとう恒例の(ほんとうに毎年恒例になってる)、超ロング散歩。5時間かけて大阪市内を20km歩いた。
 年末年始の大阪はいつも、静かで穏やかでいい天気だ。
 毎年いい天気ですよね。
 映画「JOKER」の評判がよくて、俺もはやく観たいんだけど、こないだ一緒に飲んだひとが若干批判していた。
 俺もちょっとだけ危惧するところがあって、予告編に「お母さんと仲が良いところ」と、「そのお母さんが入院してるとこ」があって、これひょっとして、お母さんが医者にも行政からも見放されて亡くなって、それが原因で社会全体を恨むようになった、みたいなストーリーだったら、それは確かに簡単すぎる。
 まあそんな簡単な話じゃないと思いますが。
 とにかく映画館が苦手なので(トイレに行くときに一時停止できないから)、ネット配信を待ってからじっくり観ますので、私のまわりにいる関係者諸君は、くれぐれもネタバレしないように。
 もっとみんな俺に気を使ったらええと思うねん。
 稲葉振一郎によるネタバレ事件についてはいずれ詳しく書く。
 糾弾せざるをえない。

1月6日(月)

 生のまま食パンを焼かずに、何も付けずにそのままで、飲み物も一切なしでむしゃむしゃ食ってたらおさい先生が泣き出した。
 怖かったらしい。
 喉の奥に食パンを消化する液を噴出する腺があるねん、と言ったらめちゃめちゃ笑ってた。
 まあ確かに生の食パンに何もつけずに水も飲まずにむしゃむしゃ食ってたらけっこう人間離れしてて怖いかもしれんな。
 教え子が書店に行って「ビニール傘ください」って言ったら「当店は書店なのでお取り扱いしておりません」って言われたらしい。
 あと、『ビニール袋』って間違えてるひと多い。
 ネタでたまに『ビニール本』って言うけどあんまりウケない。いまはそういう時代じゃないのか。
 あるサイトの読書感想文で、最初から最後までずっと『図書館』って書いてるひとがいて、さすがに笑った。
 もちろんぜんぜんOKじゃよ。ありがたいばかりです。

1月7日(火)

 今日から出勤じゃよ。
 ずっと空気清浄機をつけっぱにしてるんだけど、空気って目に見えないからほんとに効いてるのかどうか半信半疑だ。
 でもときどき換気のために窓を開けると、そのたびにぶおーって鳴る。外の空気って意外に汚れているのか。
 なんか「外に出るな! 地球の空気は汚染されている…」みたいな感じだ。コスモクリーナーか。
 知らんけど。
 こないだ甥っ子が、超映画マニアなんだけど、スター・ウォーズの新作を見に行ったのだが、始まる直前にトイレに行きたくなったらしい。
 で、急いでトイレから戻って席に着いたら、ちょうど「ジャーン」を見逃してしまったらしい。
 「もう黄色い字が流れてたわー」とぼやいていた。
 スター・ウォーズで最初の「ジャーン」を見逃すというのは、相当間抜けだ。
 水戸黄門でいえば印籠のシーンを見逃すようなものだ。
 印籠のシーンなしで水戸黄門見たら、あれはただの大量殺人鬼である。
 関係ないけどマイケル・ジャクソンが意外に好きで、なんか自分でもほんとうに意外だ。かっこいいよねマイケル・ジャクソン。
 で、若いころのマイケル・ジャクソンを調べようと思って、ずっと「マイケル5」で検索してた。 
 途中で気づいた。ジャクソン5やろ。
 そら出てこんわ。
 マイケル・ジャクソン
 マイケル・ブレッカー
 マイケル・ケイン
 マイケル・J・フォックス
 ジョージ・マイケル
 5人揃ってマイケル5でーす。
 ひとりだけ、名字なのか名前なのかわからんやつが混じってる。

1月8日(水)

 というわけで仕事が始まっている。
 しかしまああらためて、大学の事務方の仕事の進め方には違和感しかないな、と。
 とにかく、研究のことを何も知らない事務方が全権を握っていて、あのひとたちがハンコ押してくれないと1円もでないし、何もできない。
 おかしい。
 みんなもう慣れっこになってるけど、あらためて考えると、素朴におかしい。
 このままだと、もう新しい仕事を一切やめて、外部資金も取らずに、ただシラバスみたいな最低限の書類だけ形式的に書いて、給料だけもらって、自腹で調査研究してっていうのがいちばん合理的な選択だってことになりそうだ。いやもうすでにそうなりつつある。
 むかしの大学のほうがひどかったけど、これからまた逆戻りするんじゃないですかね。みんな新しい仕事しなくなるだろう。
 大学教員のひとに聞きたいけど、あたらしいプロジェクトとかやりたいですか? 組織の改編とか、役職とかやりたい?
 研究と教育以外のところで仕事多すぎないですかね? 
 仕事って何だろう。生まれてきたことの罰みたいなもんかな。
 カップラーメンをずっと見てると、できるのが遅い。
 でもそのあいだに、おはぎにごはんとかあげてると、3分ぐらいあっという間に経つ。
 いつも思うけど、むしろカップラーメンが意外に早くできるように、わざと関係ないことをするということを考えている。
 そうするとカップラーメンがものすごく早くできるのではないか。
 人生も同じで、もし生きるのがつらかったら、わざと関係ないことをして、人生から気をそらしたらいいよ。
 先端研で研究とかどう?
 牛丼屋の朝飯が好きだ。
 こないだ東京出張中に、めちゃめちゃ二日酔いで朝7時ごろに浜松町の吉野家に入って、焼き鮭定食と納豆と卵を注文して、カウンターに座って運ばれてきたら、松屋だったのでめちゃめちゃびっくりした。
 浜松町、たまたま定宿があるから何度も行くだけの街やねんけど、しょっちゅ通ってるうちにだんだん好きになってきた。東京住むならここに住みたい。チェーン店しかないところが好きだ。殺伐としてる感じ。
 でも西のほうに行けば東京タワーと東京プリンスホテル(ここのカフェラウンジが大好き)、東に行けば竹芝桟橋で海も見れる。
 いい街だな浜松町。情緒も何もないけど東京タワーと海に挟まれている。
 無骨な、無愛想なチーズバーガーが食いたいと思っている。薄っぺらくて、パテとチーズ以外に何も挟まってないやつ。トマトケチャップと、小さいオリーブのスライスだけのやつ。雨のロードサイドの、深夜のダイナーで、薄くて硬いチーズバーガーと、まずいコーヒーを飲みたい。
 あ、俺ペーパードライバーだった。
 まずはペーパードライバー教習から通わんといかんな…。
 そういえば年末に、雑誌『ダ・ヴィンチ』で、拙著『図書室』が、「プラチナ本オブザイヤ-2019」に選ばれました。めちゃうれしい。
 感謝の特別エッセーも寄稿しておりますので、みなさまよければぜひ。
 というわけで、4作めの小説、なんとか形になった。やれやれ。もしボツにされなければ、どこかに載るかもしれません。
 今年はいろいろ、大きな仕事があります。心身ともにヨレヨレですが、みなさまよろしくお願い申し上げます。

絵・齋藤直子

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 はじめまして。2021年2月1日よりウェブマガジン「考える人」の編集長をつとめることになりました、金寿煥と申します。いつもサイトにお立ち寄りいただきありがとうございます。
「考える人」との縁は、2002年の雑誌創刊まで遡ります。その前年、入社以来所属していた写真週刊誌が休刊となり、社内における進路があやふやとなっていた私は、2002年1月に部署異動を命じられ、創刊スタッフとして「考える人」の編集に携わることになりました。とはいえ、まだまだ駆け出しの入社3年目。「考える」どころか、右も左もわかりません。慌ただしく立ち働く諸先輩方の邪魔にならぬよう、ただただ気配を殺していました。
どうして自分が「考える人」なんだろう―。
手持ち無沙汰であった以上に、居心地の悪さを感じたのは、「考える人」というその“屋号”です。口はばったいというか、柄じゃないというか。どう見ても「1勝9敗」で名前負け。そんな自分にはたして何ができるというのだろうか―手を動かす前に、そんなことばかり考えていたように記憶しています。
それから19年が経ち、何の因果か編集長に就任。それなりに経験を積んだとはいえ、まだまだ「考える人」という四文字に重みを感じる自分がいます。
それだけ大きな“屋号”なのでしょう。この19年でどれだけ時代が変化しても、創刊時に標榜した「"Plain living, high thinking"(シンプルな暮らし、自分の頭で考える力)」という編集理念は色褪せないどころか、ますますその必要性を増しているように感じています。相手にとって不足なし。胸を借りるつもりで、その任にあたりたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。

「考える人」編集長
金寿煥

著者プロフィール

岸政彦

1967年生まれ。社会学者。著書に『同化と他者化─戦後沖縄の本土就職者たち』『街の人生』『断片的なものの社会学』(紀伊國屋じんぶん大賞2016受賞)『愛と欲望の雑談』(雨宮まみとの共著)『質的社会調査の方法─他者の合理性の理解社会学』(石岡丈昇、丸山里美との共著)『ビニール傘』(第156回芥川賞候補作)『図書室』など。最新刊は『リリアン』(2/25発売)。

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