みなさま、こんにちは!
日々野鮎美(27歳 会社員)です。
わたくし、”山ガール”ならぬ”単独登山女子”なんて名乗っていますが、要するに人見知りです……(?!)。
(私の詳しいプロフィールをもっと知りたい方はこちらを→リンク)
普段は会社員、週末になると山歩きばかりの生活を送っている私が、登山を始めてみたい人向けにアテンドするならこの山! ……という個人的にお気に入りのお山をご紹介します。
今回のお山は……北アルプスは「燕岳」です!
標高はズバリ、2,763m! 高いですね。スタートは中房温泉からの標高差は上りで約1,300mもありますから、なかなか頑張らないといけない感じです。
日本でアルプスと名のつくエリアは、本州の中部地方に集まる山脈で、南アルプス、中央アルプス、北アルプスの3つ。
今回の舞台、北アルプスは、長野県、岐阜県、富山県、新潟県にわたる大きな飛騨山脈のエリアになります。2,500mを超える山々を縦走することが可能で、さまざまなルートがあるのが特徴です。
実はコミックス7巻の79話では、瀧さんがお友達と燕岳に登っています。
瀧さんはこの時テント泊をしていましたが、山小屋やテン場(テントを張ってよいエリア)も充実していることから、積雪がない初夏から秋までの週末や連休は多くの登山者で賑わいます。
登山者は日帰りのほか、縦走する人が多く、その場合は山小屋を渡り歩くスタイルか、経験と体力のある人が「衣食住」(テント泊の装備)を背負って山を歩くテン泊スタイルかのいずれかになります。
今回は縦走せず、前泊して日帰りのコースをチョイス。なぜかというと、中房温泉からの燕岳は、表銀座と呼ばれる北アルプスを代表する縦走ルートのスタートなんです。いつか表銀座のルートを踏破するならここでいったん練習しておいてもいいかな、という目的です。
まずは北アルプスの玄関口のひとつ、燕岳を登って、往路と同じルートを戻る「ピストン」で、お試し北アルプスハイクを楽しみたいと思います!
燕岳へのアクセスは電車・車ともに充実
燕岳のスタート地点、前泊した中房温泉は、源泉掛け流しの秘湯で、人が少ない日曜や平日などは静かに入浴できること間違いなし。そんな中房温泉は、JR大糸線の穂高駅から車で約1時間。マイカーでもアクセスできますが、山道はちょっと運転がハードかも。舗装はされているのですが、例えばマイカーが大きめだったり、細い山の道路の運転に自信がない人は、バス、または地元タクシーを利用するのも手です。ただそれなりに距離があって運賃も安くはないので、複数人での割り勘がオススメ。中房温泉での宿泊は要予約です。詳しくは記事の下にリンクを貼っておきますね。
また、JR穂高駅からは中房温泉行きのバスも出ていますので、ダイヤを調べておくとよいでしょう。中房温泉までの最終便は14:50(2019年版)と少し早め。
中房温泉からスタート
前夜はしっかり睡眠をとりましょう。今回は前泊して余裕があるので、5:30と早めに出発することにしました。
まずは登山口で準備運動し、霧雨が降っていたのでレインウェアを着用しました。
しばらくは森の中を歩きます。登山道が狭いので、後ろから来るペースの速い人に道を譲っていきます。やっぱり若い男の人はスピードが違うな〜!!
と思ったら、前方に大荷物を背負った老夫婦のハイカーが。
おそらく還暦は超えてるはず。あの年代でテン泊とは。すごいなあ!!
さすがに荷物が重そうで、ご夫婦はゆっくりだったので道を譲ってくださいました。私も数十年後、同じような山行ができているかなぁ……などと考えつつ、一歩一歩進みます。
夏場はスイカが有名な合戦小屋
登り始めて3時間ほどすぎると、案内板と休憩用のベンチがセットで現れてきます。
さらに登山道を進み、やがて見えてくるのが合戦小屋。
ここは宿泊はできませんが、ベンチやテーブルがあって、休憩しやすいですよ。
合戦小屋は夏場はスイカ、冬場はお汁粉が名物。この山行は9月だったので、もちろんスイカをいただきました!
おいしい! スイカの果汁がじゅわ~っと胃に染み渡る……。
合戦小屋で休憩をとった後、再び山頂へ。
樹林帯の中の足元は基本的に土と木の根ですが、ざらついた岩が増えてきます。
これまで鬱蒼とした林の中を歩いてきましたが、少しずつ風景が変わっていきます。
視界が開けたところで振り返れば、この雲海!
霧雨が止み、景観の良い場所に見える雲海には青空も! 天候チェックで予報通りでしたが、こんな光景を目の当たりにすると、やる気がでてきます。山頂目指して頑張るぞ~。
さらに進むと、数分後には燕山荘が見える広々とした休憩ポイントへ到着します。
ここで荷物を降ろしてちょっと休憩。すっかりお腹もペコペコです。
お昼が楽しみすぎる!!
燕山荘から山頂へ
健脚ならあっという間ですが、ゆーっくり歩いても、1時間もすれば燕山荘前に到着します。
急な斜面を登りきるとそこは……
おーっ、まるで砂浜!!
足元がまるで白い砂に覆われたビーチのようで、天気もよくなり、本当に清々しい!!
薄暗い霧雨のなか、頑張って歩いた甲斐があったー。
北アルプスの山々が見渡せます。
ここはまだ山頂ではありませんが、とりあえず燕山荘前に到着!
この時点で10時です。まだランチには早い……かな。
荷物をデポ(置いておく)して、山頂を目指します。
カメラや大事なものはアタックザックに入れて携帯します。
重い荷物は置かせていただき、いざ山頂へ!
稜線には自然でできたメガネの形をしたメガネ岩、燕岳名物のイルカ岩などが見られます。山頂への往路よりも復路のほうが気付けるはず!
登頂!! 気持ちいい~。燕山荘までの道のりも景色がすばらしく、何よりザックをデポしているので荷物が軽くてお散歩気分。ですが、風が強くなってきたので早々に燕山荘へ。
今回は宿泊しないので、ご飯をいただいて下山します。
北アルプスの山小屋ランチは下界にも引けを取らないおいしさ
さてさて、最大650名という収容人数を誇る燕山荘。
飲食のサービスもさすがなハイクオリティ。
メニューはその年、その季節によって変わるそうなのですが、この時期はチキンカレーがおいしそう。よし、これにしよう。
あたりだったー!
おいしすぎ!
さすが人気の高い北アルプスの山小屋。恐るべし!
ぺろっと平らげても時間を見るとまだ正午。
燕山荘前の景色を楽しみ、午後早めに下山しました。
同じルートを戻るはちょっと残念なのですが、いつか長めの有給をとって縦走することにして、今回はあくまでも偵察(!?)でした。
それでも北アルプスの広大さがひしひしと実感できて大満足です。
皆さんも一度は絶景の北アルプスへ。
やみつきになっちゃうかも…!?(私はもうなってます)
北アルプスは雪がない春〜秋に楽しめます。晩秋にはもう雪が降るので、次に雪解けする初夏の北アルプスを目標に、冬は低山を楽しみ、山歩きのスキルを身につけるのもいいですよ!
また、中房温泉から燕岳へは登山者も多く、道迷いすることは少ないですが、いつでも山歩きの際は装備をしっかりし、事前の登山計画と登山届け、そして地図の携帯は必携ですよ〜! スキルが伴うまではなるべくソロは避けましょうね。
(文・構成 井上綾乃)
「日々野鮎美の山歩き日誌」の読者のみなさんへ
今回の記事は、連載終了後に登山ガイドブックとして再編集する前提で、夏に取材したものです。現在の実際の季節(11月)は、積雪が始まる季節であり、夏とは全く別の知識・装備・体力が求められます。また、初心者の方がいきなり登る山としてもお勧めできません。
安全に楽しく山歩きをするため、以上の点を、どうぞご注意ください。
関連サイト
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日々野鮎美
ひびの・あゆみ 27歳、会社員。漫画『山と食欲と私』の主人公。「山ガール」と呼ばれたくない自称「単独登山女子」。美味しい食材をリュックにつめて、今日も一人山を登ります(たまには友人や同僚と登ることもあるよ)。
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『山と食欲と私』公式 鮎美ちゃんとはじめる山登り―気軽に登れる全国名山27選ガイド―
2021/06/28発売
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イラスト・監修 信濃川日出雄
しなのがわ・ひでお 新潟県出身。北海道在住。2007年のデビュー以来、ジャンルを問わず多岐にわたって執筆し、『山と食欲と私』が累計100万部を突破、大人気シリーズとなる。現在もくらげバンチで同作を連載中。
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とは
はじめまして。2021年2月1日よりウェブマガジン「考える人」の編集長をつとめることになりました、金寿煥と申します。いつもサイトにお立ち寄りいただきありがとうございます。
「考える人」との縁は、2002年の雑誌創刊まで遡ります。その前年、入社以来所属していた写真週刊誌が休刊となり、社内における進路があやふやとなっていた私は、2002年1月に部署異動を命じられ、創刊スタッフとして「考える人」の編集に携わることになりました。とはいえ、まだまだ駆け出しの入社3年目。「考える」どころか、右も左もわかりません。慌ただしく立ち働く諸先輩方の邪魔にならぬよう、ただただ気配を殺していました。
どうして自分が「考える人」なんだろう――。
手持ち無沙汰であった以上に、居心地の悪さを感じたのは、「考える人」というその“屋号”です。口はばったいというか、柄じゃないというか。どう見ても「1勝9敗」で名前負け。そんな自分にはたして何ができるというのだろうか――手を動かす前に、そんなことばかり考えていたように記憶しています。
それから19年が経ち、何の因果か編集長に就任。それなりに経験を積んだとはいえ、まだまだ「考える人」という四文字に重みを感じる自分がいます。
それだけ大きな“屋号”なのでしょう。この19年でどれだけ時代が変化しても、創刊時に標榜した「"Plain living, high thinking"(シンプルな暮らし、自分の頭で考える力)」という編集理念は色褪せないどころか、ますますその必要性を増しているように感じています。相手にとって不足なし。胸を借りるつもりで、その任にあたりたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。
「考える人」編集長
金寿煥