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山と食欲と私 日々野鮎美の山歩き日誌

みなさま、こんにちは!
日々野鮎美(27歳 会社員)です。

わたくし、”山ガール”ならぬ”単独登山女子”なんて名乗っていますが、要するに人見知りです…(?!)。
(私の詳しいプロフィールをもっと知りたい方はこちらを→リンク

普段は会社員、週末になると山歩きばかりの生活を送っている私が、登山を始めてみたい人向けにアテンドするならこの山! …という個人的にお気に入りのお山をご紹介します。

今回のお山は…尾瀬にある「至仏山」(2,228m)です!

尾瀬ヶ原といえば、名曲に合わせて一面の湿原を思い浮かべる方が多いと思いますが、至仏山や燧ヶ岳(ひうちがたけ)といった日本百名山への登山拠点でもあるんです。

今回は東京から少し遠出してステップアップ。富士山に続いて山小屋泊を利用した登山をご紹介します。

至仏山は群馬県の北東部、尾瀬ヶ原の西側に位置します。
ハイキングで大人気の尾瀬ヶ原の近くにあるため、アクセスは抜群で、JRの沼田駅からバスが多数出ています。
実は、至仏山は落雷が多く、どの山でも同じことは言えますが、午後からの入山は避けたいところ。午後早めの下山を目標とすると、当然登り始めるのも早くなるため、交通アクセスからしっかりと登山計画を立てる必要があります。

今回は、前日に尾瀬を散歩したかったのと、早く下山するために登山口に近い「至仏山荘」に、前日から宿泊して挑むことにしました(登山ではこれを"前泊する"って言うんですよ)。

夏場のルートは一方通行。上り専用の登山道で登頂する

山ノ鼻にある至仏山荘から登山口へはすぐですが、鳩待峠休憩所からだと山ノ鼻登山口へは約3㎞。木道などを通って向かいます。鳩待峠休憩所は下山のゴールにもなる場所です。

夏のシーズンは、山ノ鼻から山頂への登山道は上り専用。山頂からは小至仏山を経て、オヤマ沢田代分岐を鳩待峠方面に下り、鳩待峠休憩所へ戻ります。

至仏山荘までは、鳩待峠から木道を歩く

今回のスタートは前泊した至仏山荘から。ただ、前日に鳩待峠休憩所から至仏山荘まで木道を歩いています。鳩待峠休憩所から至仏山荘への登山道は、平坦な木道がほとんど。気をつけたいのは、クマと遭遇しないようにすること(おしゃべりをする、鈴を鳴らすなど)と、木道を踏み外して怪我をしないように足元に注意しましょう。

万が一、クマと遭遇した際には、慌てず騒がず(まかり間違っても、スマホで撮影したりせず)、決して走って逃げないこと。詳しくは、記事の下にクマについてのURLがあるので、そちらを参考に!
一人で歩いていると、熊避け対策の頼りは鈴の音くらい? たまにラジオをつけて歩いている方もいらっしゃいますね。

あ、そうそう。至仏山登山口の手前には、私が前泊した至仏山荘があり、ここでトイレを済ませておくとよいでしょう。この先はトイレがありません。

至仏山の登山口に向かう木道

このまま木道を歩いて至仏山登山口へ向かいます。

遮るものがない日あたりのいい尾瀬ヶ原に比べ、登山口は日陰になります。以下の案内板があるので一読しましょう。

山頂から鳩待峠までの道のりが意外と長い

樹林帯の登山道の足元は木道、階段で整備されている

登りはじめは意外と急。

ここは木道や岩で整備されていますが、案内板にあるように、湿気が多いのか足元は滑りやすいですね。また、はじめのうちは登山道の幅が狭いので譲り合いで行きましょうー。

ここからはほとんど上り一本道なので、写真でご紹介!

登山道、木道バージョン
岩で整備されているバージョン
登山道、土と枕木バージョン

上りはなかなかハード。いつでも水分補給できるようにしておくとよいですよ! あと、もしストックを使う方だったら、スタート時から使うといいです。

樹林帯を抜けたら今度は日差し、暑さとの戦い

しばらくすると鬱蒼とした樹林帯を抜け、明るい登山道に出ます。
早朝から登っても、ちょうど樹林帯を抜けた頃には日差しが強くなっているはず。
キャップだと首の後ろがジリジリと日焼けするので、ここではハットがおすすめですよ。

さて、視界がひらけたところで…後ろを振り向いてみましょう。

目の前に見える山が燧ヶ岳

ドーンと正面にあるお山が、燧ヶ岳!
雄々しくかっこいい〜〜! 惚れ惚れしちゃいます。

燧ヶ岳の足元に広がるのが、先ほどまでいた尾瀬ヶ原。だいぶ高いところまで来たことがわかりますよね。

この先は、ところどころ座れる休憩スポットがいくつかありますよ。

ここからの登山道は大きめの岩が点在します。鎖場や、岩に手をついてよじ登ったほうがラクな場所もあるので、邪魔になるストックは休憩のタイミングでしまって、グリップの効くグローブをしておくといいですよ。

岩でできた急な上り
岩が大きくなると鎖場が用意されている
山頂に近づけば近づくほど、階段が増える
山頂近く。延々と階段が続いているのがわかる

とうとう登頂! 

至仏山の登山道は整備が行き届いていて歩きやすいものの、平坦な道が少なく、ひたすら登る。なんだかんだストイックな山歩きだった気がします。

でも、山頂の眺望は最高!

山頂は、大きな岩などがないため、風が強いとそのまま受け止めることになります。

座るところは多いものの広くはないので、混んでいて風が弱い場所が見つけられない場合、お昼をバーナーで作る人にはちょっと不向きな環境かもしれません。下山のルートで小至仏山を越えたあと、テーブルとベンチが設けられている休憩場があるので、そこでお昼を作って食べるのもよいかも。

山頂の休憩タイム。この時はまだ晴れていましたが、厚い雲がどんどこやってきています。ちょっと不穏な空気。

というわけで、今回は山頂で時間がかからず、手早く作れるメニュー。コミックス2巻第16話に登場する「ぽんかす丼」です。

メスティンでお米を炊く、ちらす、垂らすで完成。

詳しくはコミックスを読んでみてくださいね。

バクバクいけちゃいます

ただ、登山でメスティンでご飯炊くとか手間と時間がかかって無理! でもなんか作りたい…という人は、沸騰させることに長けたバーナー「ジェットボイル」でバーっとお湯を作るとか、山専ボトル(山専用の保温性が高い水筒)でお湯を注げばおいしいご飯になるアルファ米を代用してしまいましょう。手早くできますね。

あっという間に完食です。

下山、小至仏山へ

そして下山ルートの小至仏山に向かう稜線は、まるでご褒美…! 素敵な風景が目の前に広がります。

がしかし、昼に上がってきた雲がどんどん流れ、曇天に。この日、もともと午後の予報は怪しかったのですが、鳩待峠に到着する間際に突然の大雨と雷! 

前泊し、早出しておいてよかったです。

平日は天気予報、天気図とにらめっこしていましたが、やっぱりだめだったか…! と、帰り道は少し反省モード。

至仏山に登ってみて、やっぱり天気図を読めたり天候の判断って大事だな〜とひしひしと感じました。そしてレインウェアもそろそろ買い直しをする頃かも。天気が悪くて山に行けない週末、アウトドアショップに行ってみようかな。

さて、雨に打たれたため、もちろん温泉を渇望。

戸倉のバス停近くにある入浴施設を発見!

しっかり温まって帰りました。

しばらく平日は天気図を読んで、精度をあげる練習をしたいと思います…!

関連サイト

くらげバンチ 山と食欲と私

尾瀬ツキノワグマ保護管理 | 尾瀬保護財団

https://www.oze-fnd.or.jp/ozd/br/

  • 【出張試し読み】山と食欲と私 - 信濃川日出雄 / 1話 おにぎり

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考える人とはとは

 はじめまして。2021年2月1日よりウェブマガジン「考える人」の編集長をつとめることになりました、金寿煥と申します。いつもサイトにお立ち寄りいただきありがとうございます。
「考える人」との縁は、2002年の雑誌創刊まで遡ります。その前年、入社以来所属していた写真週刊誌が休刊となり、社内における進路があやふやとなっていた私は、2002年1月に部署異動を命じられ、創刊スタッフとして「考える人」の編集に携わることになりました。とはいえ、まだまだ駆け出しの入社3年目。「考える」どころか、右も左もわかりません。慌ただしく立ち働く諸先輩方の邪魔にならぬよう、ただただ気配を殺していました。
どうして自分が「考える人」なんだろう―。
手持ち無沙汰であった以上に、居心地の悪さを感じたのは、「考える人」というその“屋号”です。口はばったいというか、柄じゃないというか。どう見ても「1勝9敗」で名前負け。そんな自分にはたして何ができるというのだろうか―手を動かす前に、そんなことばかり考えていたように記憶しています。
それから19年が経ち、何の因果か編集長に就任。それなりに経験を積んだとはいえ、まだまだ「考える人」という四文字に重みを感じる自分がいます。
それだけ大きな“屋号”なのでしょう。この19年でどれだけ時代が変化しても、創刊時に標榜した「"Plain living, high thinking"(シンプルな暮らし、自分の頭で考える力)」という編集理念は色褪せないどころか、ますますその必要性を増しているように感じています。相手にとって不足なし。胸を借りるつもりで、その任にあたりたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。

「考える人」編集長
金寿煥

著者プロフィール

日々野鮎美

ひびの・あゆみ 27歳、会社員。漫画『山と食欲と私』の主人公。「山ガール」と呼ばれたくない自称「単独登山女子」。美味しい食材をリュックにつめて、今日も一人山を登ります(たまには友人や同僚と登ることもあるよ)。

著者の本

イラスト・監修 信濃川日出雄

しなのがわ・ひでお 新潟県出身。北海道在住。2007年のデビュー以来、ジャンルを問わず多岐にわたって執筆し、『山と食欲と私』が累計100万部を突破、大人気シリーズとなる。現在もくらげバンチで同作を連載中。

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