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安田菜津紀の写真日記

2018年4月13日 安田菜津紀の写真日記

イラクの空、打ち上げ花火が語るもの

著者: 安田菜津紀

トーチと共に山をのぼる人々。にぎやかな夜の始まりだ。

 今年3月20日、イラク戦争の開戦から15年という月日が経った。この日私はイラクの北部、クルド人自治区のアクレという街を訪れた。ちょうど季節はクルドの人々にとってのお正月にあたる“ノウルーズ”。アクレはとりわけ盛大にそのお祝いが催されることで知られている。
「15年前のこの日は山の上に避難して、お祝いどころではなかった」と人々は口々に振り返る。太陽が山向こうに沈み、空が夕やみに包まれる頃、人々がトーチを手に山を目指す。
 次々と打ち上げられる花火が空を覆いつくすように広がると、そのドーンという野太い音以上に、人々の歓声が響き渡る。ふと、ある花火写真家さんが語った言葉を思い出した。「戦争が起きた時、火薬は人を傷つけるものとなる。けれども平和な時は、花火となり、人々を喜ばせる」。
 イラクにはいまだ不安定な地が残され、家を追われた200万人が故郷を離れ避難生活を送っている。ここに生きる人々の日常が、戦火ではなく平和の火で満たされていくように。そんな願いを込め、空へとシャッターを切った。

アクレの街は、新しい年の到来を祝う人々と共に華やいだ夜を迎えていた。
君とまた、あの場所へ―シリア難民の明日―

君とまた、あの場所へ―シリア難民の明日―

安田菜津紀

2016/04/22発売

シリアからの残酷な映像ばかりが注目される中、その陰に隠れて見過ごされている難民たちの日常を現地取材。彼らのささやかな声に耳を澄まし、「置き去りにされた悲しみ」に寄り添いながら、その苦悩と希望を撮り、綴って伝える渾身のルポ。

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考える人とはとは

何かについて考え、それが「わかる」とはどういうことでしょうか。

「わかる」のが当然だった時代は終わり、平成も終わり、現在は「わからない」が当然な時代です。わからないことを前提として、自分なりの考え方を模索するしかありません。

わかるとは、いわば自分の外側にあるものを、自分の尺度に照らして新しく再構成していくこと。

"Plain living, high thinking"(シンプルな暮らし、自分の頭で考える力)*を編集理念に、Webメディア「考える人」は、わかりたい読者に向けて、知の楽しみにあふれたコンテンツをお届けします。

*産業革命後に急速な都市化が進むロンドンで、イギリスの詩人ワーズワースが書き遺した言葉。

 

 

「考える人」編集長
松村 正樹

著者プロフィール

安田菜津紀

1987年神奈川県生まれ。NPO法人Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル/D4P)所属フォトジャーナリスト。同団体の副代表。16歳のとき、「国境なき子どもたち」友情のレポーターとしてカンボジアで貧困にさらされる子どもたちを取材。現在、東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で難民や貧困、災害の取材を進める。東日本大震災以降は陸前高田市を中心に、被災地を記録し続けている。著書に『写真で伝える仕事 -世界の子どもたちと向き合って-』(日本写真企画)、他。上智大学卒。現在、TBSテレビ『サンデーモーニング』にコメンテーターとして出演中。

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