8月25日午後、一般財団法人 新潮文芸振興会と新潮社の主催による「小林秀雄賞」「新潮ドキュメント賞」選考会がオークラ東京にて行なわれ、受賞作品が決定しましたので、ここにお知らせいたします(新潮ドキュメント賞についてはこちらをご覧ください)。
受賞作品
(2021年8月 新潮社)
著者略歴
竹内康浩(たけうち・やすひろ)
1965年、愛知県半田市生まれ。東京大学文学部卒。北海道大学大学院文学研究院教授。Mark X:Who Killed Huck Finn's Father?(マークX――誰がハック・フィンの父を殺したか?)がアメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)の評論・評伝部門で日本人初の最終候補となる。著書に『謎とき『ハックルベリー・フィンの冒険』 ある未解決殺人事件の深層』(新潮社)など。
朴舜起(ぼく・しゅんき)
1992年、兵庫県西宮市生まれ、鳥取県境港市出身。立教大学文学部英米文学専修を卒業後、サリンジャー研究を志し、北海道大学大学院に進学。2021年8月現在、同文学院欧米文学研究室博士課程3年。ハーマン・メルヴィルやワシントン・アーヴィングなど19世紀アメリカ文学からイアン・マキューアンをはじめとする現代イギリス文学まで幅広く研究中。
授賞理由
サリンジャーの短篇「バナナフィッシュにうってつけの日」からここまで論を豊かに展開した。
単なる「研究」から飛び出し、「謎とき」以上の次元に到達している。
ストイックなまでに、テキストに純粋に向き合った姿勢を評価する。(文責・事務局)
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とは
はじめまして。2021年2月1日よりウェブマガジン「考える人」の編集長をつとめることになりました、金寿煥と申します。いつもサイトにお立ち寄りいただきありがとうございます。
「考える人」との縁は、2002年の雑誌創刊まで遡ります。その前年、入社以来所属していた写真週刊誌が休刊となり、社内における進路があやふやとなっていた私は、2002年1月に部署異動を命じられ、創刊スタッフとして「考える人」の編集に携わることになりました。とはいえ、まだまだ駆け出しの入社3年目。「考える」どころか、右も左もわかりません。慌ただしく立ち働く諸先輩方の邪魔にならぬよう、ただただ気配を殺していました。
どうして自分が「考える人」なんだろう――。
手持ち無沙汰であった以上に、居心地の悪さを感じたのは、「考える人」というその“屋号”です。口はばったいというか、柄じゃないというか。どう見ても「1勝9敗」で名前負け。そんな自分にはたして何ができるというのだろうか――手を動かす前に、そんなことばかり考えていたように記憶しています。
それから19年が経ち、何の因果か編集長に就任。それなりに経験を積んだとはいえ、まだまだ「考える人」という四文字に重みを感じる自分がいます。
それだけ大きな“屋号”なのでしょう。この19年でどれだけ時代が変化しても、創刊時に標榜した「"Plain living, high thinking"(シンプルな暮らし、自分の頭で考える力)」という編集理念は色褪せないどころか、ますますその必要性を増しているように感じています。相手にとって不足なし。胸を借りるつもりで、その任にあたりたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。
「考える人」編集長
金寿煥
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