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山と食欲と私 日々野鮎美の山歩き日誌

みなさま、こんにちは!
日々野鮎美(27歳 会社員)です。

 わたくし、”山ガール”ならぬ”単独登山女子”なんて名乗っていますが、要するに人見知りです…(?!)。
(私の詳しいプロフィールをもっと知りたい方はこちらを→リンク

 普段は会社員、週末になると山歩きばかりの生活を送っている私が、登山を始めてみたい人向けにアテンドするならこの山! …という個人的にお気に入りのお山をご紹介します。

 今回のお山は…「石鎚(いしづち)山(弥山(みせん))」です! 前回の「剣山」に続き、有休を使った「四国で登山」の後半。

 愛媛県にある石鎚山は西日本最高峰! 正確には3つの山の総称で、天狗岳と南尖峰(なんせんぼう)が標高1,982mで最も高く、石鎚神社頂上社がある弥山が1,974mです。

 石鎚山は鎖場が4つもある上、しかもそれが長いので結構ハードなんです。今回はまったくのビギナー向けというよりも、ステップアップ、チャレンジの山。山の経験を積んでいる人向けですね。

 鎖場は迂回路「巻道」で避けることもできるので、苦手な人は無理をせず巻道を使いましょう。また、今回は使いませんが、リフトもあり、「ロープウェイ+リフト」の合わせ技で、山頂までの標高差を縮めることも可能です。

石鎚山へのアクセス

 JR予讃線の伊予西条駅から路線バスで約50分、ロープウェイ前で下車します。マイカーの場合、その近くに駐車場がありますよ。

ロープウェイに乗って成就駅まで上がる

バス乗り場から階段を上り、道なりに上がったところに乗場がある

 まずはロープウェイ前からすぐの石鎚登山ロープウェイの下谷(しもたに)駅で乗車し、成就(じょうじゅ)駅まで上がります。

 成就駅を降りてしばらく歩くと石鎚神社中宮成就社。境内にはお土産屋さんなども並び、観光地の雰囲気。ここで登山届けを出しましょう。

登山口は立派な神門! 信仰の山ですね
登山口からは少し下り、それからしばらくなだらかで平坦な道が続く

 登山の出だしは、ゆるやかなアップダウンを繰り返します。

 この日は紅葉シーズンだったので、色づいた木々の葉がとってもキレイ! 秋の深まりのなか、 ふかふかの落ち葉を踏みながら歩くのっていいですよね。季節感を満喫できる道でした。

 ちなみに、石鎚山は、山岳信仰の山で日本七霊山のひとつ。この日も何やら催し物があったようで、ホラ貝の笛のBGM付き! 霊山にお邪魔しているな〜という気持ちになります。

こうした階段が繰り返し出てくるきつい上り

 基本的にゆるやかな道が続きますが、上の写真のように急な階段やロープを使って下りる箇所なども出てきます。

試の鎖(74m)のようす

 最初に書いたように、石鎚山には4つの鎖場があり、(ためし)の鎖、一の鎖、二の鎖、三の鎖があります。最初の試の鎖が一番ハードという人もいれば、やっぱり体力を消耗している三の鎖がしんどいという人も。

 いずれにしても、高さがある長い鎖場を直登するのが怖い場合は、ぐるりとまわる巻道を使いましょう。

 土日など混んでいる時は、下りたくても、後ろから次々と登ってくる人がいるので引き返すことは難しいんです…!

 石鎚山の鎖場はそれぞれ距離が長いので、腕や脚にこたえますぞ~!

 そして繰り返しますが、やっぱり危険を伴うので、登山を始めたばかりのビギナーさんは巻道を使いましょう。

鎖場を登りきるとお地蔵さまが

 しばらく進むと、見晴らしがとてもいい場所に出ます。もはや、ここで達成感!

 ちょっと休憩し、ここからまた少し下ります。

整備された平地の登山道に出る。見晴らしがよい
行動食を食べたり、小休憩をとるのにも最適な石鎚山公衆トイレ休憩所

 石鎚山公衆トイレ休憩所では多くの登山者が休憩していました。

 トイレはここが最後なので使っておくとよいでしょう。このあとなかなかハードな二の鎖(65m)が出てきますが、無理をせず巻道で行きましょう。

二の鎖のあとに出てくる天狗岳の北壁

 写真では見えないのですが、なんとここをアルパインクライミングで登っている人がいました。登山道を使わず、ロープなどを使って垂直に近いルートを登るなんて、私にはまだ想像もできません。すごいなあ。山頂に到着して山小屋のスタッフさんに聞いたら、ここは有名なルートなんだそうです。

 このあと、三の鎖(68m)があります。この鎖場もハード、もちろんここも巻道で迂回しておきましょう(ちょっとしつこい?笑)。

 上りを終えると神社が見えます。

 その先には

 ドーン! と威風堂々とした天狗岳が目の前に!

石鎚山山頂から見える天狗岳
石鎚山山頂にある奥宮頂上社
山頂は広いが、紅葉シーズンの土日はものすごい人の数

 紅葉シーズンの石鎚山はとにかく混んでいて、まるで学校の遠足のよう。バーナーで調理する人、持参したお弁当を広げる人、さまざまなスタイルのランチが繰り広げられています。

 頂上山荘でカレーを食す!

メニュー豊富な頂上山荘

 私のランチは頂上山荘で! たくさんのメニューがありましたが、ここは名物の「石鎚チキンカレー」にしておきました。

 あまり行動食を食べずに上ってきたので、もう空腹過ぎる。

これぞカレー! と言わんばかりの王道カレー

 せっかく四国に来たのだから、石鎚山はどうしても登っておきたい山でした。

 ということで、無事登頂し、ボリュームたっぷりのカレーも完食です。

 スパイスの香りとほどよい辛さ。やっぱり元気になるのはカレーですね!

 おまけ・下山の冷しあめゆ

石鎚山名物「冷しあめゆ」

 行きで試の鎖のあとに現れた、懐かしい印象の茶屋、一軒茶屋さん。

 そこにはためく「冷しあめゆ」の文字。

 あめゆってなんだ!? と気になりながら登ったので、ちょうど同じルートの下山時に買って飲んでみました。

 生姜がピリっと効いた、冷たくて甘いドリンク。シンプルでやさしい味わいでした。ホットもできるみたいですよ。

色もきれいな冷やしあめゆ

 前回と今回、四国は徳島県の剣山、愛媛県の石鎚山の2つの山を歩かせていただきました。

 徳島県の剣山は本当にビギナーに向いていて、石鎚山は結構ハード。ステップアップにチャレンジするのによいですね。

 鎖場はただ歩く山歩きと異なり、高所で手を滑らせれば命の危険もあります。無理をせずに巻道を使いましょう。

 それにしても日本には、まだまだいい山がたくさんあるなあ〜と感じました。

 石鎚山も剣山もいいお山でした。

文・構成 井上綾乃

「日々野鮎美の山歩き日誌」の読者のみなさんへ

今回の記事は、連載終了後に登山ガイドブックとして再編集する前提で、11月初旬に取材したものです。現在の実際の季節(2月)は、積雪することもあり、紅葉シーズンとは全く別の知識・装備・体力が求められます。また、初心者の方がいきなり登る山としてもお勧めできません。安全に楽しく山歩きをするため、以上の点を、どうぞご注意ください。

 

関連サイト

石鎚登山ロープウェイ

http://www.ishizuchi.com/

くらげバンチ 山と食欲と私

https://kuragebunch.com/episode/10834108156628844112

  • 【出張試し読み】山と食欲と私 - 信濃川日出雄 / 1話 おにぎり

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考える人とはとは

 はじめまして。2021年2月1日よりウェブマガジン「考える人」の編集長をつとめることになりました、金寿煥と申します。いつもサイトにお立ち寄りいただきありがとうございます。
「考える人」との縁は、2002年の雑誌創刊まで遡ります。その前年、入社以来所属していた写真週刊誌が休刊となり、社内における進路があやふやとなっていた私は、2002年1月に部署異動を命じられ、創刊スタッフとして「考える人」の編集に携わることになりました。とはいえ、まだまだ駆け出しの入社3年目。「考える」どころか、右も左もわかりません。慌ただしく立ち働く諸先輩方の邪魔にならぬよう、ただただ気配を殺していました。
どうして自分が「考える人」なんだろう―。
手持ち無沙汰であった以上に、居心地の悪さを感じたのは、「考える人」というその“屋号”です。口はばったいというか、柄じゃないというか。どう見ても「1勝9敗」で名前負け。そんな自分にはたして何ができるというのだろうか―手を動かす前に、そんなことばかり考えていたように記憶しています。
それから19年が経ち、何の因果か編集長に就任。それなりに経験を積んだとはいえ、まだまだ「考える人」という四文字に重みを感じる自分がいます。
それだけ大きな“屋号”なのでしょう。この19年でどれだけ時代が変化しても、創刊時に標榜した「"Plain living, high thinking"(シンプルな暮らし、自分の頭で考える力)」という編集理念は色褪せないどころか、ますますその必要性を増しているように感じています。相手にとって不足なし。胸を借りるつもりで、その任にあたりたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。

「考える人」編集長
金寿煥

著者プロフィール

日々野鮎美

ひびの・あゆみ 27歳、会社員。漫画『山と食欲と私』の主人公。「山ガール」と呼ばれたくない自称「単独登山女子」。美味しい食材をリュックにつめて、今日も一人山を登ります(たまには友人や同僚と登ることもあるよ)。

著者の本

イラスト・監修 信濃川日出雄

しなのがわ・ひでお 新潟県出身。北海道在住。2007年のデビュー以来、ジャンルを問わず多岐にわたって執筆し、『山と食欲と私』が累計100万部を突破、大人気シリーズとなる。現在もくらげバンチで同作を連載中。

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