わたくし、”山ガール”ならぬ”単独登山女子”なんて名乗っていますが、要するに人見知りです……(?!)。
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普段は会社員、週末になると山歩きばかりの生活を送っている私が、登山を始めてみたい人向けにアテンドするならこの山! ……という個人的にお気に入りのお山をご紹介します。
今回のお山は……「金時山」です!
金時山は、箱根にある1,212mの山。金太郎の舞台となったと言われ、初級者から楽しめる人気の山です。なんといっても山頂から見る富士山が最高なんですよ。
金時山へのアクセスは、バスや電車、駐車場もあるのでマイカーでも行きやすい山です。今回の登山口は小田急箱根高速バス(箱根線)なら金時神社入口で下車。新宿からは30分ごとにバスが出ています(2019年 8月現在)。
電車の場合は小田急電鉄を利用し、「箱根湯本」駅下車。バスで登山口まで向かいます。
移動時間は、電車でもバスでも新宿駅からはゆとりをもって、ざっくりと2時間半はかかる目安でダイヤを調べるのがおすすめです。
風情ある神社からのルートがおすすめ
利用したルートは公時神社(通称、金時神社)でお参りしてから登山口へ入り、林のなかを歩き山頂を目指す「金時神社コース」。途中、眺望のよい場所を目にしつつ、木々のトンネルを抜ければ山頂に出た時の喜びもひとしおです。
そして今回は、来た道を折り返すピストンではなく、金時山山頂から長尾山を通り乙女峠、そして公時神社へ戻るルートを選びました。
上りの金時神社コースは、公時神社でお参りをしてからスタート!
金時神社コースと呼ばれるルートは、公時神社からスタートし、最短で山頂に行けるルートです。
公時神社のことを、なぜ金時神社と呼ぶかというと……金太郎伝説のモデルになったという坂田公時が祀られているからです。坂田公時は平安時代の武将・源頼光の家来で、とっても強い武将だったそうです。ヤマンバの子として生まれて、クマやイノシシと相撲をとって遊ぶほど。子供の頃の名前が金太郎。……と、ついつい金太郎について深掘りしたくなりますが、旧時代に想いを馳せるのは、コミックス(5巻・54話〜56話)で、箱根旧街道&外輪山編を読んでみてくださいね!
さて、公時神社には駐車場があります。すぐに埋まってしまうようです。マイカーで行かれる方は早めの到着がおすすめです。公衆トイレは神社の横にあるので、済ませてから向かいましょう。
では早速スタート! 公時神社で手を合わせてから登山口へ向かいます。登山口は鳥居をくぐり、本殿へ。神社を正面にして右側に登山口があります。
登山口に入ってからの足元。金時山は軽いハイクとみられることがありますが、足元は岩や木の根などもあるのでしっかりと登山の装備で行きましょう。
登山口から15分ほど歩くと、大きな割れた岩が現れます。金時宿り石という伝説の岩です。割れたのは比較的最近で、昭和6年だそう。
岩がある道が続きます。足元は岩や木の根、頭上は木々の中を歩いて進みます。
しばらくは林の中ですが、山頂へ向かう途中、視界が開ける場所もありますよ。
休憩ポイントはあまりないのですが、山頂まであと25分と近くなったころに現れます。金時山と仙石原、明神ヶ岳の分岐です。
金時山には多くのルートがあり、特に富士山の眺めがいい金時山〜明神ヶ岳の縦走が人気のようです。
金時神社コースは山頂までの道のりが短いのが特徴です。ただ、ほとんど林の中を歩くので、ちょっと単調かもしれません。でも、ちゃんと眺望がよい場所もチラホラありますよ!
突如現れる景色を眺めると、標高を上げた実感が湧きますね〜。
とうとう山頂!
山頂手前、木のアーチをくぐるワクワクの瞬間です。
どーんと見渡せる富士山が目の前に!
山頂に着くと、大勢の人がすでに休憩されていました。以前は、山頂に名物の金太郎のまさかりの置物があったそうですが、現在は撤去されています。残念!
茶屋名物のきのこ汁と出会う
この日、山頂は非常に強風で、多くの登山者は駆け込むように茶屋(2軒あり)に行き、ランチをとる人が多かったです。
私も茶屋の中へ入り、とりあえず名物のようなので、きのこ汁をオーダー。混雑のためか、番号札をもらって、しばらく待機。
そして呼ばれて手にしたのは……
これまたどどーんと、どんぶりいっぱいのきのこ!
ひたすらきのこです。この日は初夏。山頂で写真を撮ったりしているうちに強風で冷えた身体に染みる〜。優しい味付けでとってもおいしかったです!
長尾山を通り下山
今回は、山から山へ渡る縦走をする予定でした。下山は長尾山を通って公道に出てスタート地点の公時神社へ向かいます。
長尾山へ向かう道。斜度がない道が続きます。上りは比較的岩があったりと辛い道のりですが、下りは尾根を歩いて向かうため、しばらくなだらかな道を通ります。
そして、長尾山の山頂は、眺望がいいわけでもなく、小さい広場のような場所で、ついつい写真を撮らずに通過してしまいました……。
金時山の山頂から1時間もしないうちに到着する乙女峠から見える富士山。山頂に雲がかかっていますが標高が下がっても、迫力は変わらず……!
乙女峠から20分ほど降りると針葉樹林帯に入ります。迷路のようですが、道なりに行けば公時神社に向かう道路へ出ます。土日は車が多く、そしてスピードを出して飛ばしているので、側道を歩くのがちょっと怖いですね。途中バス停もありますが、乗ってもひと駅分なので、私は歩いちゃいました。
今回は、プチ縦走を味わうことができる金時山を満喫! まさかりは撤去されていましたが、富士山を眺められたし、きのこ汁も楽しめて大満足でした!
コミックスでも運動不足がきっかけで登った山でしたが、仕事と飲み会、ジムに行って運動してもとれないモヤモヤがある時におすすめの山です。なんといっても山頂から見る富士山の美しさ! モヤモヤ気分も晴れやかになれるんです。そして金時山はルートが多いので、何度も登りたくなる山なんですよ。
金時山は一年中楽しめる山ですが、ビギナーに向くのは積雪がない春〜夏の時期。夏の低山は暑く、多めの水分を持参するのが吉です。また蜂も多いので虫除けや長袖、ウェアの色に気をつけましょう。
事前の登山計画と登山届け、そして地図の持参は必携ですよ〜!
文・構成 井上綾乃
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日々野鮎美
ひびの・あゆみ 27歳、会社員。漫画『山と食欲と私』の主人公。「山ガール」と呼ばれたくない自称「単独登山女子」。美味しい食材をリュックにつめて、今日も一人山を登ります(たまには友人や同僚と登ることもあるよ)。
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『山と食欲と私』公式 鮎美ちゃんとはじめる山登り―気軽に登れる全国名山27選ガイド―
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イラスト・監修 信濃川日出雄
しなのがわ・ひでお 新潟県出身。北海道在住。2007年のデビュー以来、ジャンルを問わず多岐にわたって執筆し、『山と食欲と私』が累計100万部を突破、大人気シリーズとなる。現在もくらげバンチで同作を連載中。
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とは
はじめまして。2021年2月1日よりウェブマガジン「考える人」の編集長をつとめることになりました、金寿煥と申します。いつもサイトにお立ち寄りいただきありがとうございます。
「考える人」との縁は、2002年の雑誌創刊まで遡ります。その前年、入社以来所属していた写真週刊誌が休刊となり、社内における進路があやふやとなっていた私は、2002年1月に部署異動を命じられ、創刊スタッフとして「考える人」の編集に携わることになりました。とはいえ、まだまだ駆け出しの入社3年目。「考える」どころか、右も左もわかりません。慌ただしく立ち働く諸先輩方の邪魔にならぬよう、ただただ気配を殺していました。
どうして自分が「考える人」なんだろう――。
手持ち無沙汰であった以上に、居心地の悪さを感じたのは、「考える人」というその“屋号”です。口はばったいというか、柄じゃないというか。どう見ても「1勝9敗」で名前負け。そんな自分にはたして何ができるというのだろうか――手を動かす前に、そんなことばかり考えていたように記憶しています。
それから19年が経ち、何の因果か編集長に就任。それなりに経験を積んだとはいえ、まだまだ「考える人」という四文字に重みを感じる自分がいます。
それだけ大きな“屋号”なのでしょう。この19年でどれだけ時代が変化しても、創刊時に標榜した「"Plain living, high thinking"(シンプルな暮らし、自分の頭で考える力)」という編集理念は色褪せないどころか、ますますその必要性を増しているように感じています。相手にとって不足なし。胸を借りるつもりで、その任にあたりたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。
「考える人」編集長
金寿煥