Webマガジン「考える人」

シンプルな暮らし、自分の頭で考える力。
知の楽しみにあふれたWebマガジン。
 
 

安田菜津紀の写真日記

風の強い日だった。夜明けの海が赤く染まる。(岩手県陸前高田)

 私は武器を持っていた。
 ハサミのような形、小型で一見非力に見えるが、実はとてつもなく強力な武器なのだという。目の前の2人の男性たちが突然、この武器をどちらが手にするかで争い始めた。
 最初は口論、つかみ合い、殴り合い。あっという間に殺し合ってしまいそうな暴力へとエスカレートしていく。

 私は何とか止めようと、「やめなさい!」と叫んでみたり、ガムテープで2人をぐるぐると巻いてみたりする。けれども上手くいかない。上手くいかない度に、気づけばまた振り出しにもどり、2人は争いを始める。

 試行錯誤した挙句。ああ、そうか、と思い立った。これ自体をなくしてしまえばいい。私はその武器を、ありったけの力を込めて、海の底へと投げ入れた。

 と、いうところで夢から覚めた。ある日曜日の記憶を引きずった、月曜日の朝。皆さんがこの夢の主人公なら、どんな選択をしたでしょう。

穏やかな海。溶け合い、空と海の境界が曖昧に見える。(岩手県陸前高田)
君とまた、あの場所へ―シリア難民の明日―

君とまた、あの場所へ―シリア難民の明日―

安田菜津紀

2016/04/22発売

シリアからの残酷な映像ばかりが注目される中、その陰に隠れて見過ごされている難民たちの日常を現地取材。彼らのささやかな声に耳を澄まし、「置き去りにされた悲しみ」に寄り添いながら、その苦悩と希望を撮り、綴って伝える渾身のルポ。

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考える人とはとは

何かについて考え、それが「わかる」とはどういうことでしょうか。

「わかる」のが当然だった時代は終わり、平成も終わり、現在は「わからない」が当然な時代です。わからないことを前提として、自分なりの考え方を模索するしかありません。

わかるとは、いわば自分の外側にあるものを、自分の尺度に照らして新しく再構成していくこと。

“Plain living, high thinking”(シンプルな暮らし、自分の頭で考える力)*を編集理念に、Webメディア「考える人」は、わかりたい読者に向けて、知の楽しみにあふれたコンテンツをお届けします。

*産業革命後に急速な都市化が進むロンドンで、イギリスの詩人ワーズワースが書き遺した言葉。

 

 

「考える人」編集長
松村 正樹

著者プロフィール

安田菜津紀

1987年神奈川県生まれ。Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル)所属フォトジャーナリスト。16歳のとき、「国境なき子どもたち」友情のレポーターとしてカンボジアで貧困にさらされる子どもたちを取材。現在、東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で難民や貧困、災害の取材を進める。東日本大震災以降は陸前高田市を中心に、被災地を記録し続けている。著書に『写真で伝える仕事 -世界の子どもたちと向き合って-』(日本写真企画)、他。上智大学卒。現在、TBSテレビ『サンデーモーニング』にコメンテーターとして出演中。

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