考える人

シンプルな暮らし、自分の頭で考える力。
知の楽しみにあふれたWebマガジン。
 
 

安田菜津紀の写真日記

2011年3月、岩手県陸前高田市。瓦礫と泥に覆われた大地にも、新たな命が芽吹こうとしていた。

 3月がもうすぐ、終わろうとしている。11日は6年前、東日本大震災が起きた日。同じ日、取材でお世話になった方のお子さんが、保育所で亡くなったことを昨年知った。12日、父の誕生日であり、兄の命日。この月になるといつも、心がどこかざわついたままだ。
 それでも少しずつ、頬をかすめる風が温かさを帯び、裸の木々の枝先に新しい命の気配が宿る。あらゆる生き物たちが、次の季節を迎えようと深呼吸しているかのようだ。3月を覆うのは喪失だけではないのだと、優しく語りかけてくる。下を向くにはあまりに勿体ない季節だ、といつもの道を歩きながら朗らかな気持ちをもらう。
 30日、この世に生を受けてから30年となる。今を生きる人には、まだ解かなければならない宿題が託されているの、とある人が教えてくれたことがある。先に学びきってしまった父や兄、大切な人たちの声を心に響かせながら。明日からまた背筋を伸ばして、その宿題に取り組もうと思う。

陸前高田市街地、義理の父母が暮らした官舎跡地。今はこの場所も分厚い土の下に埋まろうとしている。
君とまた、あの場所へ―シリア難民の明日―

君とまた、あの場所へ―シリア難民の明日―

安田菜津紀

2016/04/22発売

シリアからの残酷な映像ばかりが注目される中、その陰に隠れて見過ごされている難民たちの日常を現地取材。彼らのささやかな声に耳を澄まし、「置き去りにされた悲しみ」に寄り添いながら、その苦悩と希望を撮り、綴って伝える渾身のルポ。

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Webでも考える人とはとは

何かについて考え、それが「わかる」とはどういうことでしょうか。

「わかる」のが当然だった時代は終わり、平成も終わり、現在は「わからない」が当然な時代です。わからないことを前提として、自分なりの考え方を模索するしかありません。

わかるとは、いわば自分の外側にあるものを、自分の尺度に照らして新しく再構成していくこと。

“Plain living, high thinking”(シンプルな暮らし、自分の頭で考える力)*を編集理念に、Webメディア「考える人」は、わかりたい読者に向けて、知の楽しみにあふれたコンテンツをお届けします。

*産業革命後に急速な都市化が進むロンドンで、イギリスの詩人ワーズワースが書き遺した言葉。

 

 

「考える人」編集長
松村 正樹

著者プロフィール

安田菜津紀

1987年神奈川県生まれ。Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル)所属フォトジャーナリスト。16歳のとき、「国境なき子どもたち」友情のレポーターとしてカンボジアで貧困にさらされる子どもたちを取材。現在、東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で難民や貧困、災害の取材を進める。東日本大震災以降は陸前高田市を中心に、被災地を記録し続けている。著書に『写真で伝える仕事 -世界の子どもたちと向き合って-』(日本写真企画)、他。上智大学卒。現在、TBSテレビ『サンデーモーニング』にコメンテーターとして出演中。

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