Webマガジン「考える人」

シンプルな暮らし、自分の頭で考える力。
知の楽しみにあふれたWebマガジン。
 
 

安田菜津紀の写真日記

東日本大震災直後、義父が勤めていた陸前高田市、県立高田病院。

 6年という月日。早かったのだろうか、遅かったのだろうか。こうして東日本大震災を振り返る度に、直後から感じてきた後ろめたさが蘇る。あの日、東北にも、まして日本にもいなかった自分が、被災した地のことを伝える資格があるのだろうか、と。けれども6年の月日の中での出会いが私に教えてくれたのは、その後ろめたさから逃げない、ということだった。この感情から目を背け、沈黙の中に閉じこもらずに、何を発することができるだろうか。模索は今でも続いている。
 これまで取材でお世話になってきた陸前高田市では、新しい街づくりへの議論が揺れ続けている。市役所をどうするのか。浸水区域外の高台か、区域内の商業施設近くか。少なくともいえるのは、今を生きている私たちの世代の選択が、この東日本大震災を知らない未来の世代の命を大きく左右するということ。これは東北でも、そしてまた遠くの別の街であっても考えたい。「昔、大きな地震や津波が起きたんでしょ? 次に起きたら大丈夫?」と子どもたち、孫たちの世代に問われたとき、「その反省を活かして、しっかり命を守れる街を皆で築いてきたんだよ」。そう堂々と答えられるこれからを選択できているだろうか。

2017年3月10日、南相馬市萱浜(かいばま)。その光が、届きますように。
君とまた、あの場所へ―シリア難民の明日―

君とまた、あの場所へ―シリア難民の明日―

安田菜津紀

2016/04/22発売

シリアからの残酷な映像ばかりが注目される中、その陰に隠れて見過ごされている難民たちの日常を現地取材。彼らのささやかな声に耳を澄まし、「置き去りにされた悲しみ」に寄り添いながら、その苦悩と希望を撮り、綴って伝える渾身のルポ。

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考える人とはとは

何かについて考え、それが「わかる」とはどういうことでしょうか。

「わかる」のが当然だった時代は終わり、平成も終わり、現在は「わからない」が当然な時代です。わからないことを前提として、自分なりの考え方を模索するしかありません。

わかるとは、いわば自分の外側にあるものを、自分の尺度に照らして新しく再構成していくこと。

“Plain living, high thinking”(シンプルな暮らし、自分の頭で考える力)*を編集理念に、Webメディア「考える人」は、わかりたい読者に向けて、知の楽しみにあふれたコンテンツをお届けします。

*産業革命後に急速な都市化が進むロンドンで、イギリスの詩人ワーズワースが書き遺した言葉。

 

 

「考える人」編集長
松村 正樹

著者プロフィール

安田菜津紀

1987年神奈川県生まれ。Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル)所属フォトジャーナリスト。16歳のとき、「国境なき子どもたち」友情のレポーターとしてカンボジアで貧困にさらされる子どもたちを取材。現在、東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で難民や貧困、災害の取材を進める。東日本大震災以降は陸前高田市を中心に、被災地を記録し続けている。著書に『写真で伝える仕事 -世界の子どもたちと向き合って-』(日本写真企画)、他。上智大学卒。現在、TBSテレビ『サンデーモーニング』にコメンテーターとして出演中。

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