Webマガジン「考える人」

シンプルな暮らし、自分の頭で考える力。
知の楽しみにあふれたWebマガジン。
 
 

安田菜津紀の写真日記

昼はそれぞれの場所で物乞いをし、夜になるとまた仲間を求めここに集まってくる子どもたち。

 のろのろと進む車の群れ、クラクションの間を駆けていく人々。フィリピン、マニラはいつものように喧騒に包まれていた。きらびやかなネオンから隠れた路地裏の暗闇に、彼らの“居場所”はあった。闇に紛れた子どもたちが、どろんとした目でこちらを見上げる。その手には小さなビニール。その場に漂う匂いからすぐにシンナーだと分かった。行き場を失い、路上で寝泊まりをしている子どもたちが、一人、また一人とこの場所へ“帰って”くる。

 そんな彼らの元に一人の警官が近づいていく。一瞬彼らの表情に緊張が走る。一人の少年が持っていたシンナーの染み込んだ布を取り上げると、「そんなに好きなのか? だったら食べてみろよ」とそれを少年の口に入れさせた。周りの子どもたちは特に驚いた様子もなかった。そんなことに慣れてしまっているから、と。

 今、フィリピンでは刑法の対象年齢を9歳に引き下げるための法案が審議されている。彼らの安心、安全が更に遠のいていく、その前に。大人たちは今、何をすべきだろうか。

青少年鑑別所の中。暗がりの部屋の中で、迎えにくる親のない子どもたちが取り残されていく。
君とまた、あの場所へ―シリア難民の明日―

君とまた、あの場所へ―シリア難民の明日―

安田菜津紀

2016/04/22発売

シリアからの残酷な映像ばかりが注目される中、その陰に隠れて見過ごされている難民たちの日常を現地取材。彼らのささやかな声に耳を澄まし、「置き去りにされた悲しみ」に寄り添いながら、その苦悩と希望を撮り、綴って伝える渾身のルポ。

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考える人とはとは

何かについて考え、それが「わかる」とはどういうことでしょうか。

「わかる」のが当然だった時代は終わり、平成も終わり、現在は「わからない」が当然な時代です。わからないことを前提として、自分なりの考え方を模索するしかありません。

わかるとは、いわば自分の外側にあるものを、自分の尺度に照らして新しく再構成していくこと。

“Plain living, high thinking”(シンプルな暮らし、自分の頭で考える力)*を編集理念に、Webメディア「考える人」は、わかりたい読者に向けて、知の楽しみにあふれたコンテンツをお届けします。

*産業革命後に急速な都市化が進むロンドンで、イギリスの詩人ワーズワースが書き遺した言葉。

 

 

「考える人」編集長
松村 正樹

著者プロフィール

安田菜津紀

1987年神奈川県生まれ。Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル)所属フォトジャーナリスト。16歳のとき、「国境なき子どもたち」友情のレポーターとしてカンボジアで貧困にさらされる子どもたちを取材。現在、東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で難民や貧困、災害の取材を進める。東日本大震災以降は陸前高田市を中心に、被災地を記録し続けている。著書に『写真で伝える仕事 -世界の子どもたちと向き合って-』(日本写真企画)、他。上智大学卒。現在、TBSテレビ『サンデーモーニング』にコメンテーターとして出演中。

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