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私、元タカラジェンヌです。

2021年4月28日 私、元タカラジェンヌです。

第2回 仙名彩世(後篇)自分にはなにができるか、ずっと探し続けている

著者: 早花まこ

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趣味の域を遥かに超えて

 宝塚を卒業してから2年がたつ今、仙名さんが熱中しているのがミニチュアフード制作だ。
 粘土などの素材でリアルに再現された小さな目玉焼き、餃子セット、焼肉、色とりどりの和菓子……。
 沢山の作品がテーブルの上に並ぶと、私含め同席したスタッフの皆さんはすっかり見惚れて、取材はしばし中断してしまった。
「全部、爪よりも小さい!」
「この豚カツ、衣がサクサクしてますよ」
「バターの艶! これ、本物じゃないの?」
 皆が口々に感嘆の声を漏らす中、私は、思わず呟いた。
「ああ、お腹すいてきた」
 やった!とガッツポーズをする、職人・仙名彩世。
「そう言われるのが一番嬉しい!」
 この取材中、彼女が最も自信を爆発させた瞬間だった。

「難しかったのは、お肉ですね。脂身部分に使う透明な粘土は、赤身部分と混ざるとピンク色に濁ってしまうんです。だから、赤身を程よく乾燥させて透明粘土をそっと接着させると、ベストな霜降りになる」
 澱みない解説に、一同はただ頷くだけだった。ひとつの制作にどれくらいの時間がかかるのか問うと、
「うーん……分からないですね。作り始めると、時間のことは忘れるので」
 もはやプロの発言。何事も完璧をめざして研究を重ねる性格は、ミニチュアフード制作と相性抜群のようだ。

「母方の祖母は、編み物やビーズ細工が得意でした。小さい頃は、祖母お手製の服を着ていたんですよ。そういう物の作り方を直接教わったことはありませんが、その素質を受け継いでいるのかも!」
 娘役の髪飾り作りもそうだが、手先を使う作業が楽しくて仕方がないという。
「それともうひとつ、誰かにプレゼントしたいっていう気持ちが、手作りの始まりかも」
 宝塚では誕生日やバレンタインの贈り物に、必ずハンドメイドの物を渡していた仙名さん。同じように、ミニチュアフードをプレゼントした祖父や母が驚き、笑顔になったことが嬉しかった。彼女にとって、人を喜ばせることが物作りの原動力なのだ。

諦めたはずの夢が

 2016年、「For the people―リンカーン 自由を求めた男―」。大きな転機となるこの作品で、彼女はリンカーンの妻メアリーを演じた。
 主演の(とどろき)(ゆう)さんは、1997年から5年弱雪組トップスターを務めた後、専科(主にベテランの生徒が所属し、組を超えて公演に出演する)へ異動し、その後も長きにわたり宝塚の生徒を牽引してきた、特別なスターさんだ。
 男役としての道を極め、舞台に立つ覚悟が感じられる轟さんの生き方は、仙名さんに多大な影響を与えた。
「轟さんは、役者として、人として、あるべき姿を学ばせてくださいました」
 それに、共演する下級生と気さくに接し、培った芸を惜しみなく教えてくださる轟さんとのお稽古はとても楽しかった。
 上級生になるにつれ、花組での立場、公演ごとの役柄を意識することが多くなっていた仙名さんは、下級生の頃に感じていた「お稽古が、楽しい」という気持ちを思い出したという。
「私も、こんな舞台人になりたい。轟さんのお隣に立つにふさわしい娘役に成長したいという思いが生まれました」
 仙名さんの意識は、大きく変わった。トップ娘役には手の届かない自分を否定することをやめて、トップ娘役と舞台上で遜色なく並び、ひとりの舞台人として自立したスターを目指そうと思うようになった。それは、彼女の視線が「トップ娘役」を超えた瞬間だった。「今後どうなるのかと思い悩むより、今、轟さんと仲間と一緒にこの公演に向き合おう」という、純粋な熱意が戻ったのだ。

 そしてそんな彼女の覚悟は、運命を切り開く。
 この公演ののち、あんなにも追い求めていた夢が現実となった。

「お話を聞いた瞬間、『これまでやってきたことは、無駄ではなかったんだ』と思いました」
 2017年、仙名さんはついに花組トップ娘役に就任した。
 新人公演のヒロイン経験のない生徒がトップ娘役に選ばれたのは、32年ぶり。さらに入団9年後という、娘役としては異例の遅い時期での就任であった。その「異例」に、仙名さんのトップ娘役就任を待っていた宝塚ファンは歓喜に沸いた。私も、そのうちのひとりだった。

 この知らせを電話で報告した時、両親は心から喜んでくれた。遠い宮城県からずっと見守り、応援していた父母。その嬉しそうな声を聞いた彼女は、ようやく少し親孝行できたかなと、ほっとしたという。

 いよいよ始まったトップ娘役としての日々は、想像より遥かに大変なことの連続だった。忙しさに加えて、責任のある立場で次々と舞台をこなす。花組の顔であるトップスターを支えながら、自らも花組の娘役の中で最も輝いていなくてはならない。
 仙名さんが戸惑ったのは「舞台に立つこと」そのものだった。トップスターとは、舞台の真ん中に立つだけで存在感を放つもの。ところが彼女は、「全てを完璧に、しっかりやらなくては」と頑張り過ぎてしまう。あまりに力むと、トップ娘役としてのゆとりや大きさが損なわれることもある。
 大劇場の真ん中に立つということは、仙名さんがそれまで持っていた舞台人としての感覚とは異なり、「太刀打ちできない難しさ」を感じたそうだ。
「今までの経験や、私なりの努力の積み重ねを、これからも活かしたい。そう思っていた自分が甘かったです」
 潔くそう言い切る彼女は、今までの全てのトップスターを改めて深く尊敬したという。下級生である前任のトップ娘役・花乃(かの)まりあさんの姿を思い返し、激務をこなして立派に舞台をやり遂げていた花乃さんをさらに見上げる気持ちになった。
「トップスターという立場は、学年やキャリアは関係ない。皆、本当に凄い方々だったんだと改めて実感しました」

明日海さんのお隣で

「どれだけ感謝しても、足りない」
 トップ娘役任期中のことを語る仙名さんからは、相手役である男役トップスター・明日海(あすみ)りおさんへの、そんな深い思いが常に湧き出ていた。
 研ぎ澄まされた舞台センスと美しさを兼ね備えた明日海さんは、そのときすでにトップスターに就任して4年目となり、絶大な人気を集めていた。
「男役さんとしての拘りを確立された上で、お稽古の中でどんどん進化される。ものすごいエネルギーのある方です」
 明日海さんの足を引っ張りたくない一心で日夜努力する彼女に対し、明日海さんはいつでも親身に向き合ってくれた。相手役として掛けてくれる言葉は、仙名さんにとって新たな気付きであり、激励となった。

 二人が作り上げた数々の美しい場面の中で、特に印象的だったのはデュエットダンスだ。ショーの最後に、美しいお揃いの衣装を着てトップコンビが二人だけで踊るこのデュエットダンスは、宝塚の象徴とも言える特別なシーンだ。
 初めてのデュエットダンスのお稽古のことを、仙名さんははっきりと覚えている。
「『今、どうして笑ったの?』って、仰ったんです」
 デュエットダンスでの娘役といえば、男役の顔をうっとりと見つめ続け、ひたすら笑顔で寄り添う姿が思い浮かぶ。彼女も、そんなイメージを理想だと考えてお稽古に臨んだのだが、
「ただ隣でずっと笑うのではなく、ダンスの中にはドラマがあって、心が動くから笑顔になるんじゃないかな?と、アドバイスをくださいました」
 明日海さんの言葉で思い込みが打ち破られてから、デュエットダンスへの取り組み方はめざましく変化したという。
「シンプルな振りの中にも物語を見つけて、明日海さんとの心の交流、ちょっとしたアイコンタクトからもメッセージを受け取って大切に踊りたいと思うようになりました」
 あたたかく、魅惑的に、時には語りかけるように……。多彩な表情で仙名さんを包み込んで踊る明日海さん。劇場全体がため息をつくようなデュエットダンスは、二人が大切に育んだドラマだったのだ。

孤独な闘いの終わり

 トップ娘役として無我夢中で駆け抜ける日々にも、心に残る楽しい時間があった。
 宝塚歌劇の特色のひとつである、豪華な衣装。トップ娘役のドレスともなれば、最大級に綺麗なレースやビーズがあしらわれている。
 華やかな色彩や凝った装飾が大好きな仙名さんは、自分の着ているドレスの細やかな飾りに、つい見惚れてしまうこともあった。
 心が安らいだのは、トップコンビの仕事の合間に明日海さんと言葉を交わすひとときだった。責務への緊張感から離れて何気ない会話で笑い合う。舞台に関することは全てにおいて真剣勝負だからこそ、束の間のゆるやかなひとときには、より気持ちが和んだ。
 そして何よりも、花組の皆とともにお稽古を重ね、舞台に立つこと。仲間との出会い、関わり合いそのものが喜びだった。
「ずっと孤独な闘いをしてきたので、人に頼ることができなかったんですよ」
 舞台をこなす他にも、撮影や取材といったスケジュールに忙殺される毎日。持ち前の気力と体力で乗り越えようとしたが、気がつけば、助けてくれる仲間たちがそばにいてくれた。自立した舞台人になろうと務めてきた彼女が、自分の力に限界を感じた時、それまでは分からなかった幸せを感じられたのだ。
「人に頼ること」は甘えではなく、仙名さんにとってひとつの成長だったのかもしれない。

エイトシャルマンに乾杯!

 唯一無二の娘役・仙名彩世のパワーが炸裂したのは、レビュー「Santé!!―最高級ワインをあなたに―」の、エイトシャルマンの場面。仙名さんは8人の娘役とともに、脚線美をあらわに迫力あるダンスを披露したのだ。
 男役スターさんが注目される宝塚において、娘役だけの場面は珍しい。まして、優雅なドレスで歌い踊るのではない。今こそ花組の娘役が持つ、エネルギッシュな持ち味を活かしたいと、仙名さんはわくわくした。
「可愛いイメージの娘役だって、格好良い場面もできるよ!ってお客様に見せられたらいいなと思いました」
 パワフルなダンス、キレのある掛け声。健康的な色気を振りまいて熱い風を巻き起こし、最後には男役さんも惚れ惚れするほどパンチの効いたウィンクをきめた。その姿は誇り高く、エレガントでさえあった。
 たった1分半の場面だったが、「こんな娘役の場面が観たかった」「男前なゆきちゃんが最高」と話題を呼び、のちに、仙名さんの集大成のひとつとして復活する。

 それは彼女が宝塚を卒業した日、本公演の後に上演された「仙名彩世サヨナラショー」のオープニング。16人に倍増したエイトシャルマンの娘役が、堂々かつ颯爽と銀橋を駆け抜ける姿は、劇場を沸き立たせた。
 自分に足りないものを求め続けた彼女が、思い切って「自分らしさ」を表現した時に、観客はその魅力を認めてくれた。明日海さんを信頼し、舞台に挑み続けるうちに、技術力も精神力も大きな飛躍を遂げていた。
 申し分のない実力者と言われた彼女が、トップ娘役になってさらに素晴らしい舞台人として成長するなど、誰が想像しただろう。
 サヨナラショーの最後に現れた彼女は、砂糖菓子のようにキラキラとしたピンクゴールドのドレスをまとっていた。自分にはできないと苦悩し続けた、宝塚らしいプリンセススタイル。その姿は、気品と愛らしさに輝いていた。諦めることなく「自分」を突き詰めた、可愛くて格好良いひとりのタカラジェンヌがそこにいた。
 2019年の春。沢山の人に惜しまれ、祝福されて、仙名さんは宝塚を卒業した。

タイムスリップから戻って

 宝塚を卒業して一番やってみたかったのは、カフェで友達とおしゃべりしながらゆっくりお茶をすること。「そんなこと?」と思うような望みさえ、時間に追われていた宝塚の生活では一度も叶わなかった。退団後、ようやくそのひとときを経験した仙名さんだが、
「最初は、なんだか落ち着かなかった……」
 のんびり過ごしに行ったカフェでそわそわしてしまったと、少し恥ずかしそうに教えてくれた。

 故郷の名取市で家族とゆっくり過ごしたのも、実に13年ぶり。たまの帰省は、いつも慌ただしかった。
 犬が大好きな仙名さんにとって、実家の愛犬マロンちゃんとコロンちゃんは家族同様、大切な存在だ。
「そのうちのひとり(彼女は愛犬をこう呼ぶ)が4歳の時、私は宝塚へ入ったんです。その子が17歳になっているわけだから……どれだけ長い時間、宝塚にいたのか、改めて実感しました」
 お稽古や公演に追われ、どうしようもなくなった彼女が「マロちゃーん! コロちゃーん!!」と突如叫び出すのは、花組ではお決まりの光景だった。
「13年間、ものすごく必死でやってきて、現実に戻ったらタイムスリップしたみたい。あまりにも色んなことが変わっていて、不思議な気持ちでした」
 家族と語り合い、思う存分愛犬と遊ぶ時間は、彼女にようやく休息をもたらしてくれた。

 宝塚を卒業した現在も、彼女の挑戦は続いている。
 ミュージカル『ゴヤ -GOYA-』のお稽古は、未知の刺激でいっぱいだった。彼女が演じるアルバ公爵夫人はスペイン有数の資産家であり、ゴヤのパトロン。この作品においては、聴力を失い絶望の中にいるゴヤにもう一度絵を描かせる最初のきっかけを与える人物だ。演出の鈴木裕美さんは、心にぴたりとくる言葉を投げかけて、仙名さんのアイディアやイメージを自由に表現させてくれる方。宝塚では自己主張を控えてしまうこともあったが、今はその勇気が出てきた。
「清塚(信也)さんの音楽もドラマティックで、お客様の反応がとても楽しみです」
 共演するキムラ緑子さんの演技には、お稽古場から圧倒された。
「大女優さんですし、すでに完成された演技なのに、お稽古の最終段階でもどんどん新しい試みをなさるんです。素晴らしいと思いました。私もそうありたい」
 キムラさんと火花を散らす場面もあるのではじめは緊張していたが、コケティッシュなダンスナンバーという演出に、いっそうやりがいを感じているという。

探し続ける人

 元来の性格に加えて、宝塚で培った心の強さをさらに磨きながらも、新しい生活の中でのびのびと呼吸している仙名さん。晴れやかな笑顔に、改めてこう聞いてみた。仙名さんにとって、宝塚とは?
「日常であり、闘いの場です」
 心が休まることがなかった日々。積み上げた努力の裏には、長い長い時間が消え去っていった。早朝から深夜まで仲間と過ごした宝塚は、彼女にとって生活そのものだった。
「宝塚とは夢の世界です!って、言いたいですけどね」
 そう言って、彼女は笑った。
 夢の世界を観させてもらったのは、私たちの方だった。その夢を作り出すために費やした13年間を「日常と闘い」だと率直に明かしてくれた仙名さんは、やっぱりとても格好良い女性だ。

 女優として活躍する彼女には、ひとつの夢がある。
「ミニチュアフードのアーティストになりたい」
 精巧なだけではなく、質感や盛り付けにまでセンスが溢れる彼女の作品には、計り知れない可能性を感じる。
 すぐにでもアーティストと名乗れるよ。そう言う私に、「だめだめ!」と仙名さんは声を高くした。
「これからも作り続けるためには、自分だけの特別なエッセンスがないと。もっと良いものができる方法を、探しているところです」

 取材中、彼女が何度も口にした、「探している」という言葉。ミニチュアフードに取り組む姿勢にも、仙名彩世の勢いは健在だ。宝塚で身に付けたというよりも、少女の頃から彼女が持ち続けている探究心なのだろう。
 今、彼女が注目しているのは、ミニチュアの食器。ミニチュアフードを引き立たせるために、食器に拘り始めたらしい。しばし考え込んだ彼女は、はっとして私を見た。
「ねえ、きゃびい(早花)さん。『ミニろくろ』ってないかなあ!?」
 このしなやかな発想力とハンドメイドの才能を思えば、想像できる。彼女はきっと近いうちに、思い描いたミニ食器を作るだろう。

「私は視野が狭い人間なんですけど、いつも遠くを見ている気がする。そうやって生きてきたし、これからもそうなんだろうな」

 他人から見れば「なんでもできる人」は、「なにができるか」を絶え間なく探している。
「『私はこれです』というものを、決めたくない。これができたら死んでも良いっていうことに出会えたら幸せだけど、何かもっと、私にはできることがあるんじゃないかって……。ずっと、探してます」
 時に壮絶なまでの、宝塚での日々について語ってくれた彼女の目は、闘いの日々からは想像もできないほど柔らかい笑みをたたえていた。その目線の先には、これからどんな景色が広がるのだろう。ずぶ濡れで子猫を探し続けた、あの日と同じまっすぐな眼差しは、今も「何か」を探している。

仙名彩世(せんな・あやせ)
1988年生まれ。宮城県名取市出身。俳優。元宝塚花組トップ娘役。
宝塚卒業後は舞台を中心に活躍中。現在はミュージカル『ゴヤ -GOYA-』(2021年4月8日~29日まで日生劇場で上演予定だったが緊急事態宣言により25日以降は中止。5月7日~9日御園座は上演予定)に出演中で、7月〜8月には音楽劇『GREAT PRETENDER グレートプリテンダー』に出演予定。

オフィシャルサイト https://sennaayase.com/
 

(おわり)

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考える人とはとは

 はじめまして。2021年2月1日よりウェブマガジン「考える人」の編集長をつとめることになりました、金寿煥と申します。いつもサイトにお立ち寄りいただきありがとうございます。
「考える人」との縁は、2002年の雑誌創刊まで遡ります。その前年、入社以来所属していた写真週刊誌が休刊となり、社内における進路があやふやとなっていた私は、2002年1月に部署異動を命じられ、創刊スタッフとして「考える人」の編集に携わることになりました。とはいえ、まだまだ駆け出しの入社3年目。「考える」どころか、右も左もわかりません。慌ただしく立ち働く諸先輩方の邪魔にならぬよう、ただただ気配を殺していました。
どうして自分が「考える人」なんだろう――。
手持ち無沙汰であった以上に、居心地の悪さを感じたのは、「考える人」というその“屋号”です。口はばったいというか、柄じゃないというか。どう見ても「1勝9敗」で名前負け。そんな自分にはたして何ができるというのだろうか――手を動かす前に、そんなことばかり考えていたように記憶しています。
それから19年が経ち、何の因果か編集長に就任。それなりに経験を積んだとはいえ、まだまだ「考える人」という四文字に重みを感じる自分がいます。
それだけ大きな“屋号”なのでしょう。この19年でどれだけ時代が変化しても、創刊時に標榜した「"Plain living, high thinking"(シンプルな暮らし、自分の頭で考える力)」という編集理念は色褪せないどころか、ますますその必要性を増しているように感じています。相手にとって不足なし。胸を借りるつもりで、その任にあたりたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。

「考える人」編集長
金寿煥

著者プロフィール

早花まこ

元宝塚歌劇団娘役。2002年に入団し、2020年の退団まで雪組に所属した。劇団の機関誌「歌劇」のコーナー執筆を8年にわたって務め、鋭くも愛のある観察眼と豊かな文章表現でファンの人気を集めた。BookBangで「ザ・ブックレビュー 宝塚の本箱」を連載中。
note https://note.com/maco_sahana


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