Webマガジン「考える人」

シンプルな暮らし、自分の頭で考える力。
知の楽しみにあふれたWebマガジン。
 
 

安田菜津紀の写真日記

ヨルダン北部、ザータリ難民キャンプ。太陽の光が和らいだ頃、人々がボールを手に外に集い始める。

 飛び交う言葉に耳を傾けながら、ときどき、小さな頃に遊んでいた校庭の様子を思い浮かべる。たとえそれがどんなに立派なボールでも、そしてそれを投げようとしているのが仲良しの友達であったとしても、勢いよく投げつけられたら身構えてしまう。反対に、たとえそれがどんなに使い古されたボールでも、ちょっと距離のある人からのボールだとしても、ふわっと優しく手渡すように投げられたら、自然とこの手が伸びていくように思う。届けようと、努めること。それは写真家やジャーナリストだけではなく、あらゆる表現の目指すべき姿なのかもしれない。
 ふと自分の仕事を振り返り、「どんな言葉を紡ぎたいか」と考える。日々言葉に溢れる画面の中を覗きこめば、否応なしに、棘で刺し合うようなやりとりが目に飛び込んでくる。だからこそ、「どんな言葉を紡ぎたいか」という問いの先まで想いを馳せる。
 もし誰かが寝る前にふとその言葉を思い出し、「明日も生きてみよう」と思えたなら。そういう風に響いてくれたなら。私が紡ぎたい言葉は、きっとその中にある。

ヨルダンの都市部に暮らすシリア人一家。ふわりと飛び交う風船がしぼむまで、子どもたちの束の間の宝物となる。
君とまた、あの場所へ―シリア難民の明日―

君とまた、あの場所へ―シリア難民の明日―

安田菜津紀

2016/04/22発売

シリアからの残酷な映像ばかりが注目される中、その陰に隠れて見過ごされている難民たちの日常を現地取材。彼らのささやかな声に耳を澄まし、「置き去りにされた悲しみ」に寄り添いながら、その苦悩と希望を撮り、綴って伝える渾身のルポ。

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考える人とはとは

何かについて考え、それが「わかる」とはどういうことでしょうか。

「わかる」のが当然だった時代は終わり、平成も終わり、現在は「わからない」が当然な時代です。わからないことを前提として、自分なりの考え方を模索するしかありません。

わかるとは、いわば自分の外側にあるものを、自分の尺度に照らして新しく再構成していくこと。

“Plain living, high thinking”(シンプルな暮らし、自分の頭で考える力)*を編集理念に、Webメディア「考える人」は、わかりたい読者に向けて、知の楽しみにあふれたコンテンツをお届けします。

*産業革命後に急速な都市化が進むロンドンで、イギリスの詩人ワーズワースが書き遺した言葉。

 

 

「考える人」編集長
松村 正樹

著者プロフィール

安田菜津紀

1987年神奈川県生まれ。Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル)所属フォトジャーナリスト。16歳のとき、「国境なき子どもたち」友情のレポーターとしてカンボジアで貧困にさらされる子どもたちを取材。現在、東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で難民や貧困、災害の取材を進める。東日本大震災以降は陸前高田市を中心に、被災地を記録し続けている。著書に『写真で伝える仕事 -世界の子どもたちと向き合って-』(日本写真企画)、他。上智大学卒。現在、TBSテレビ『サンデーモーニング』にコメンテーターとして出演中。

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