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おかしなまち、おかしなたび 続・地元菓子

2019年5月17日 おかしなまち、おかしなたび 続・地元菓子

おかしなたび

秦野 その1

たびのきほんはあるくこと。あるいてみつけるおかしなたび。

著者: 若菜晃子

丹沢山地の麓の町、秦野にはもう何度行ったかわからないほど 行きました。主稜線の手前に並ぶ小さな山稜が好きで、年に一 度は登りに行くからです。人里近い山だけに細い山道が何本もあり、本日はひと駅手前の東海大学前から歩き始めます。
住宅街を抜けて登山道に入るとすぐに土の地面となり、身近な野の花々が迎えてくれます。丹沢の前衛峰は駅から歩いてそのまま山へ入れるのもポイントのひとつ。朝起きて思い立ったらすぐに行ける、こうした山を寝坊山と名づけております。
通称寝坊山はマイヤマとも呼び慣わしており、いつでも気軽に行ける登り慣れたマイヤマを自分の引き出しにもっていると、それだけで人生の楽しみが広がります。お菓子の連載で山の極意を説くようで申し訳ありませんが、ここからが本題です。
小一時間で弘法山に出て馬場道を行くと見慣れた看板が。富士山の火山灰により土壌が肥沃だった秦野は江戸期からたばこ作りが盛んで、秦野葉は日本三大銘葉といわれたそう。かつての名産は「煙草煎餅」で偲ぶことができます。これぞ地元菓子。
創業慶応元年『亀本』の「煙草煎餅」はたばこの葉を模した香ばしい卵煎餅。秦野駅前のお店が再開発で閉店したときはぞっとしましたが、現在は市内の自宅兼店舗で金型も変えずに製造を続けておられます。二十年通うと町の変化にも遭遇します。
ミニ山稜は西から浅間山、権現山、弘法山、吾妻山と続きますが、本日は弘法山から浅間山へ。途中、権現山の山頂は広々として展望台もあって、いつ行ってものどかなピクニック気分が漂っています。整備されすぎていないのもよいところ。
山頂からはお天気がよければ秦野の町から平塚、相模湾、房総半島、真鶴半島も望めます。時折、かたんかたんと小田急線の列車の走る音が風に乗って上がってきます。いつまでもこうして風に吹かれてさぼっていたいような。
おやつ二品目はピーナッツ菓子。中国から伝わり南京豆とも呼ばれた落花生、火山灰地の秦野は落花生栽培にも向いていました。ピーナッツあんのもなかにまんじゅう、ピーナッツ粉のサブレなどお菓子も多彩。形がかわいくてついつい買っちゃう。
浅間の名がつく山は東日本に多く、山頂にはたいてい富士信仰につながる浅間神社が祀られています。ここ秦野の浅間山にも脇に入った台地に古い祠があり、ひっそりとその背中を見せています。夏にはツリガネニンジンが咲き、蝶が舞っています。

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考える人とはとは

何かについて考え、それが「わかる」とはどういうことでしょうか。

「わかる」のが当然だった時代は終わり、平成も終わり、現在は「わからない」が当然な時代です。わからないことを前提として、自分なりの考え方を模索するしかありません。

わかるとは、いわば自分の外側にあるものを、自分の尺度に照らして新しく再構成していくこと。

"Plain living, high thinking"(シンプルな暮らし、自分の頭で考える力)*を編集理念に、Webメディア「考える人」は、わかりたい読者に向けて、知の楽しみにあふれたコンテンツをお届けします。

*産業革命後に急速な都市化が進むロンドンで、イギリスの詩人ワーズワースが書き遺した言葉。

 

 

「考える人」編集長
松村 正樹

著者プロフィール

若菜晃子

1968年神戸市生まれ。編集者。学習院大学文学部国文学科卒業後、山と溪谷社入社。『wandel』編集長、『山と溪谷』副編集長を経て独立。山や自然、旅に関する雑誌、書籍を編集、執筆。著書に『東京近郊ミニハイク』(小学館)、『東京周辺ヒルトップ散歩』(河出書房新社)、『徒歩旅行』(暮しの手帖社)、『地元菓子』『石井桃子のことば』(新潮社)、『東京甘味食堂』(本の雑誌社)、『街と山のあいだ』(アノニマ・スタジオ)他。『mürren』編集・発行人。

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