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山と食欲と私 日々野鮎美の山歩き日誌

2019年11月21日 山と食欲と私 日々野鮎美の山歩き日誌

広大な景色を楽しめる 那須連山にある茶臼岳から朝日岳のプチ縦走

茶臼岳(栃木県)

著者: 日々野鮎美 , イラスト・監修 信濃川日出雄

みなさま、こんにちは!
日々野鮎美(27歳 会社員)です。

わたくし、”山ガール”ならぬ”単独登山女子”なんて名乗っていますが、要するに人見知りです…(?!)。
(私の詳しいプロフィールをもっと知りたい方はこちらを→リンク

普段は会社員、週末になると山歩きばかりの生活を送っている私が、登山を始めてみたい人向けにアテンドするならこの山! …という個人的にお気に入りのお山をご紹介します。

今回のお山は…茶臼岳です!

栃木にある活火山、茶臼岳へ!

 茶臼岳は那須連山にある活火山の主峰です。茶臼岳、朝日岳、三本槍岳とまとめて那須岳と呼ばれることも。三本槍岳は茶臼岳から少し離れているので、今回は茶臼岳、朝日岳のみ縦走します。

 電車ならJR那須塩原駅やJR黒磯駅からバスに乗って那須ロープウェイ(山麓駅)まで1時間ほど。マイカーなら東北自動車道・那須ICより30分で到着できますよ。

 都内から日帰りする場合、ロープウェイの始発がやや遅い(8:30)ため、スピードの出せる健脚な人以外は、ロープウェイを使わない別ルートでの早出がおすすめ。のんびり登山をするなら前泊するのが吉です。

ロープウェイの始発が8:30なので遅出スタート。

 ロープウェイを使うと、わずか4分で山頂駅に。そこは茶臼岳の9合目に位置するので山頂まではたった50分。あっという間に到着してしまって物足りないため、茶臼岳の「お鉢巡り」をしつつ、朝日岳へ向かいます。朝日岳に登頂してから下山し、一度往路で通った峰の茶屋跡(避難小屋)の前で分岐している道を下り、那須岳登山口を経て那須岳登山口まで戻るコースです。

那須ロープウェイ山麓駅、山頂駅ともにトイレ有り
谷側を眺めれば、すばらしい景色が広がる

 登り始めは整備された登山道。砂利道で歩きやすいのですが、この先、石や岩がゴロゴロしています。万が一、転んだときにケガしないよう、準備運動では、入念に足首をストレッチ!

けっこう急な上り。足元の小石に注意しよう

 空がすっきり晴れて、なんという清々しさ! まだ山頂は見えませんが、地図上では山頂駅から歩いて50分と、すぐ。そのためか、軽装備で登るご高齢の方もちらほら…。うーん、大丈夫かな?

那須連山の主峰が茶臼岳

 ガレ場と呼ばれる石や岩がゴロゴロと転がる道を歩きながら、時折足を止めてあたりを眺めれば素晴らしい景色が広がります。飽きることなく進むと、あっという間に山頂へ到着!

お鉢巡(周)りも絶景。

 せっかくなので、山頂付近をぐるっと一周、お鉢巡り!

 茶臼岳は、約1.6万年前から活動を開始した活火山です。近年で噴火したのは昭和38年に水蒸気噴火があったのが最後で、それ以降は火山性地震が昭和52年、60年、61年に各数回起きています。

 火口がお鉢のように凹んでおり、そのふちを歩くことができるんですよ。

お鉢巡り中に通ってきた茶臼岳方面を眺めたところ

 お鉢巡りの途中で茶臼岳山頂のほうを見ると、写真のような感じ。しっかりお鉢型に火口部分が凹んでいますね。富士山を思い出しました。



何か視線を感じる

よくよく見ると向こう側の岩のところに人影が!!!

 仁王立ち!! か、かっこいい。

 茶臼岳側にお鉢を見下ろせるスポットがあったのか…逃した〜!

 茶臼岳全体は風をさえぎるものがなく、風の影響を結構受ける山だなぁと感じましたが、お鉢はさらに風がよく通る場所です。冬季以外の暖かい時期でも、携帯性のいい、軽いウィンドブレーカー的なものがあると安心ですよ。

朝日岳方面へ向かう

 さて、お鉢巡りから今度は朝日岳へと向かいます。この下りもゆるゆると緩い感じで心地よいです。お散歩気分で歩けます。

次の山は朝日岳! 山の斜面をゆるゆると歩く

  しばらく歩くと、峰の茶屋跡に到着します。

 お昼ご飯にはちょっと早い時間なので、ここで水分補給。少し休憩してから先に進みます。

 峰の茶屋跡の正面に「那須岳登山口」へ下る分岐がありますが、その下りの道は下山時に使うので、今は朝日岳の山頂方面へ。

赤い屋根が、峰の茶屋跡

 朝日岳へ向かうには、峰の茶屋跡の奥に見える山の山頂は通らず、この写真にある、右側の登山道(巻道)を歩くため、急な上りはしばらくありません。

 この道を経て、山を越えたあと鎖場が出てきます。この日は快晴で空気も乾燥していたので足元に不安はありませんでしたが、前日の天候や状況によっては足元に注意しましょう。グリップがしっかりと効く登山靴が必須ですね。

鎖場あり

 しばらく歩くと、「朝日の肩」分岐に到着します。ベンチがあるのでここで空腹を満たします。うーん、思ったよりお腹が空いているぞ…ちなみに、今日のランチは、とっておきのアレです(乞うご期待)。

朝日岳登頂! 向こうに見える稜線が誘う

 朝日岳に登頂すると、山頂から見えた尾根たちが素晴らしく、今回そこに行けたらよかったなぁ〜〜と、若干後悔しつつ、地図を見ながら休憩していました。

 座って地図を見ていると、単独登山女子の先輩が話しかけてくださり、聞くと地元にお住まいの方でした。私がこれから向かう下山の到着地点の「那須岳登山口」を早朝から上り、峰の茶屋跡を通って三本槍岳まで行き、戻ってきたところだそう。このあと茶臼岳に向かい、ロープウェイで下山とお聞きしました。なるほど、いいルートですね!

 那須連山のこの先には三本槍岳があるのです。

 私も今回三本槍岳まで行くか悩んだのですが、月曜から大切な仕事を控えているし、無理はできない。うん、今回はしかたがない! と自分を納得させました(笑)。

 ああ、この先の尾根を歩いてる人々が気持ちよさそう。

 うーん、うん。でもいい山行だった、また来よう!(まだ下山していないけど)

 後ろ髪を引かれながら、また峰の茶屋跡に戻ります。

峰の茶屋跡へ戻る。風が弱い場所を探す

 風の通り道でもある場所なので、それを避け、小屋脇で待望の調理。

 本当にお腹が空いた…。

 今回はペペロンチーノ。久々に山パスタ!

ミックスナッツのペペロンチーノ

 こちらのレシピは第4巻35話。涸沢カールに行った時に作っていますので、読んでみてくださいね。

 シンプルだからこそ、そのときどきでアレンジもしやすい!

 満腹になって、下山。下山後の温泉がまた最高でした!

 バスで那須湯本温泉まで行けば、源泉掛け流しの温泉が選べますよ。下山時間と日帰り温泉の営業時間は要確認です。

 正直、もう少し歩きたかったけど、それはまた次回に!

 余力を残すくらいの山行は次回へのチャレンジへ繋がりますね。さて、次はどのお山に…あっ! そうだった、月曜から大事な仕事が…ハァ~。うん、リフレッシュは十分! 気持ちをきりかえて、頑張ります!

 茶臼岳はロープウェイを使うと1時間弱で山頂に着くことができますが、山歩きの際は装備をしっかりと。事前の登山計画と登山届け、そして地図は必携ですよ〜! スキルが伴うまではなるべくソロは避けましょうね。

(文・構成 井上綾乃)

「日々野鮎美の山歩き日誌」の読者のみなさんへ

今回の記事は、連載終了後に登山ガイドブックとして再編集する前提で、夏に取材したものです。現在の実際の季節(11月)は、積雪が始まる時期であり、夏とは全く別の知識・装備・体力が求められます。また、初心者の方がいきなり登る山としてもお勧めできません。
安全に楽しく山歩きをするため、以上の点を、どうぞご注意ください。

 

関連サイト

くらげバンチ 山と食欲と私

https://kuragebunch.com/episode/10834108156628844112

那須ロープウェイ

https://www.nasu-ropeway.jp/attraction/

  • 【出張試し読み】山と食欲と私 - 信濃川日出雄 / 1話 おにぎり

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考える人とはとは

 はじめまして。2021年2月1日よりウェブマガジン「考える人」の編集長をつとめることになりました、金寿煥と申します。いつもサイトにお立ち寄りいただきありがとうございます。
「考える人」との縁は、2002年の雑誌創刊まで遡ります。その前年、入社以来所属していた写真週刊誌が休刊となり、社内における進路があやふやとなっていた私は、2002年1月に部署異動を命じられ、創刊スタッフとして「考える人」の編集に携わることになりました。とはいえ、まだまだ駆け出しの入社3年目。「考える」どころか、右も左もわかりません。慌ただしく立ち働く諸先輩方の邪魔にならぬよう、ただただ気配を殺していました。
どうして自分が「考える人」なんだろう―。
手持ち無沙汰であった以上に、居心地の悪さを感じたのは、「考える人」というその“屋号”です。口はばったいというか、柄じゃないというか。どう見ても「1勝9敗」で名前負け。そんな自分にはたして何ができるというのだろうか―手を動かす前に、そんなことばかり考えていたように記憶しています。
それから19年が経ち、何の因果か編集長に就任。それなりに経験を積んだとはいえ、まだまだ「考える人」という四文字に重みを感じる自分がいます。
それだけ大きな“屋号”なのでしょう。この19年でどれだけ時代が変化しても、創刊時に標榜した「"Plain living, high thinking"(シンプルな暮らし、自分の頭で考える力)」という編集理念は色褪せないどころか、ますますその必要性を増しているように感じています。相手にとって不足なし。胸を借りるつもりで、その任にあたりたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。

「考える人」編集長
金寿煥

著者プロフィール

日々野鮎美

ひびの・あゆみ 27歳、会社員。漫画『山と食欲と私』の主人公。「山ガール」と呼ばれたくない自称「単独登山女子」。美味しい食材をリュックにつめて、今日も一人山を登ります(たまには友人や同僚と登ることもあるよ)。

著者の本

イラスト・監修 信濃川日出雄

しなのがわ・ひでお 新潟県出身。北海道在住。2007年のデビュー以来、ジャンルを問わず多岐にわたって執筆し、『山と食欲と私』が累計100万部を突破、大人気シリーズとなる。現在もくらげバンチで同作を連載中。

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