Webマガジン「考える人」

シンプルな暮らし、自分の頭で考える力。
知の楽しみにあふれたWebマガジン。
 
 

安田菜津紀の写真日記

路上で生活する子どもたちの声に耳を傾ける「友情のレポーター」栁田峰雄くんと山邊鈴さん

 裏路地を覆う果物の匂い、絶えず埃の舞う道端で物乞いする子どもたち、その手を握ったときの温かさ。14年前に過ごした日々を、今でも昨日のことのように思い出す。伝える仕事の原点。それは高校生の時に訪れたカンボジアだった。「国境なき子どもたち」が派遣する“友情のレポーター”として、特に人身売買の被害に遭った同世代の子どもたちを取材し、日本に伝えるのが私の役割だった。遠い国の、なんとなく大変そうな場所、というぼんやりした想像でしかなかったものが、一気に友達の暮らす国、そして友達が抱える問題へと心の距離が縮まっていった。
 そしてこの夏、今度は一人のフォトジャーナリストとして、そしてこのプログラムの“卒業生”として、新しいレポーターである栁田峰雄くん(ヤナギダ ネオ/13歳)と山邊鈴さん(ヤマベ リン/15歳)の取材に同行した。今年の派遣先はフィリピン。青少年鑑別所、保護施設、そして路上と、出会うのは皆、最も厳しい環境を生きる子どもたちだ。「どんなことを聞けばいいだろうか」「この質問をして、傷つけないだろうか」と戸惑いながらも、彼らが抱えるものに少しでも近づこうと努め続ける。「どうしてこんな環境で生きなければいけないんだろう?」「どうしてここで暮らしていても笑っていられるんだろう?」絶えず「なぜ?」と問い続ける二人。
 大人になるにつれ、どんなに抗ってもやがて理不尽さに慣れ、見過ごしてしまう人々の痛みがあるかもしれない。悲しみも、喜びも、心の声を敏感に感じ取り、そして持ち帰る。そんな架け橋を築こうとする二人の姿に、伝える仕事の役割は何か、と改めて問われたような思いだ。

「路上の最初の印象は強い匂いだった」と峰雄くん。夕方、シンナーを手に子どもたちが路上に集まってくる。
君とまた、あの場所へ―シリア難民の明日―

君とまた、あの場所へ―シリア難民の明日―

安田菜津紀

2016/04/22発売

シリアからの残酷な映像ばかりが注目される中、その陰に隠れて見過ごされている難民たちの日常を現地取材。彼らのささやかな声に耳を澄まし、「置き去りにされた悲しみ」に寄り添いながら、その苦悩と希望を撮り、綴って伝える渾身のルポ。

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考える人とはとは

何かについて考え、それが「わかる」とはどういうことでしょうか。

「わかる」のが当然だった時代は終わり、平成も終わり、現在は「わからない」が当然な時代です。わからないことを前提として、自分なりの考え方を模索するしかありません。

わかるとは、いわば自分の外側にあるものを、自分の尺度に照らして新しく再構成していくこと。

“Plain living, high thinking”(シンプルな暮らし、自分の頭で考える力)*を編集理念に、Webメディア「考える人」は、わかりたい読者に向けて、知の楽しみにあふれたコンテンツをお届けします。

*産業革命後に急速な都市化が進むロンドンで、イギリスの詩人ワーズワースが書き遺した言葉。

 

 

「考える人」編集長
松村 正樹

著者プロフィール

安田菜津紀

1987年神奈川県生まれ。Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル)所属フォトジャーナリスト。16歳のとき、「国境なき子どもたち」友情のレポーターとしてカンボジアで貧困にさらされる子どもたちを取材。現在、東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で難民や貧困、災害の取材を進める。東日本大震災以降は陸前高田市を中心に、被災地を記録し続けている。著書に『写真で伝える仕事 -世界の子どもたちと向き合って-』(日本写真企画)、他。上智大学卒。現在、TBSテレビ『サンデーモーニング』にコメンテーターとして出演中。

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