「エッセイ」一覧
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心臓へたっちゃってますけど大丈夫 その2
(前回の記事へ) DAY 2&3 検査と暇つぶしの週末 病院の朝は早い。六時前に、ヘッドボードに取り付けられた読書灯を、ぴかーっと顔に当てられ、有無を言わさず起こされ……
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三十九 「文化」について
前回取上げた「教養」は、英語やフランス語から入ってきた「culture」の訳語だが、「culture」にはもうひとつ、「文化」という訳語がある。というより今日では、「カルチ……
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「日本に行きたい」というシリアの友人に
4月14日、アメリカ、フランス、イギリスがシリアへの空爆に踏み切った。あの日からずっと、言葉にならない感情が心の中にうずまいている。その一年前にもアメリカは、化……
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アップルII(偽物)と緑のカナリア
大学3年12月のギター部定期演奏会をなんとか弾き抜けると、俺の右手は腱鞘炎になっていた。表向きはそれを理由に、俺はギター部に出て行かなくなっていった。当時、多く……
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心臓へたっちゃってますけど大丈夫 その1
(前回の記事へ) プロローグ 滋賀医科大学医学部附属病院心臓血管外科。 前回心不全で入院した病院の主治医から転院を勧められた私は、この日、一人で滋賀医科大学ま……
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三十八 教養とは何か
小林先生は、今から六十年以上も前、昭和二十九年(一九五四)の初めに「読書週間」と題した文章を書き、そのときすでに本が多過ぎる、本という物質の過剰が、読書という……
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三十七 トルストイを読み給え
新年度の始まりである。私は今年、七十一歳になっていて、もう新年度も旧年度もないようなものだが、それでも四月は気が引き締まる。学生時代、今年はこれだけ読むぞと本……
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本を読ませすぎてはいけない
慶応義塾大学文学部では、1年生は日吉キャンパスで一般教養を学ぶが2年生になると田町の三田キャンパスで専門課程に進む。日吉と三田とは徒歩も入れると1時間以上かか……
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11 40年来のお付き合い。知恩院前「一……
改めて指折り数えてみると、なんだか怖くなる。たぶん「一澤帆布」さんは、わたしが一番長くお付き合いさせてもらっている京都のお店です。いまは〝いろいろ〟あった末に……
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突然の入院騒ぎ その4
(前回の記事へ) DAY 18 検査結果 昨日受けた、カテーテル検査の結果を繰り返し思い出していた。 「血管には狭窄など一切なく、とても良い状態でした。でも、心臓のポ……
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三十六 不動心という誤解
学問とは、人生いかに生きるべきかをとことん考えることだ、そのためには、身の回りのことで誰もが知っていることをより深く、より精しく知ることから始める、それが学問……
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突然の入院騒ぎ その3
(前回の記事へ) DAY 14 涙の訴え 朝一番の巡回で、看護師さんが「気分はどう?」と聞いた時、待ってましたとばかりに「もうダメです」と答えた。看護師さんはびっくり……
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三十五 「学問」の姿
今年の大学入試センター試験に、本居宣長の「石上私淑言」(いそのかみのささめごと)が出た。前回、読者にもその問題文を読んでもらい、受験生諸君には、春、晴れて大学……
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突然の入院騒ぎ その2
(前回の記事へ) DAY 8 経食道心エコー検査 症状が安定したため、24時間の点滴と心電図が外れた。一気に自由度が上がり、快適になる。病院内を歩く自由も確保し、とう……
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月300冊の読み聞かせ
幼い頃、母は絵本の読み聞かせにこだわる人だった。人を無為に傷つける人間とならないよう、内面を豊かにするには絵本が必要だと思い立ったらしい。その数は月に300冊、1……
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純粋な動機
1980年代前半、学生の政治意識は低く、学生運動は沈静化しており、大学は社会人になるためのモラトリアム期間であることがほぼ公然と認められていた。これを「大学のレジ……
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三十四 情と欲のわきまえ
今年の大学入試センター試験に、本居宣長の「石上私淑言」(いそのかみのささめごと)が出た。「次の文章は『石上私淑言』の一節で、本居宣長が和歌についての自身の見解……
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突然の入院騒ぎ その1
DAY 1 息ができない 歩いているだけで息が切れてしまい、愛犬ハリーの散歩に行くことが出来なくなって三日目。強い疲労感をどうすることもできない。時間外ではあったけ……
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「猫・犬」
私たちに最も身近な愛玩動物といえば、犬と猫です。「犬猫」と並べて言いますが、語源についてよく議論になるのは、とりわけ猫のほうです。 最近も、テレビ番組で、猫……
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10 古典が読めない!
私がある本をえらぶのか、それともある本が私をえらぶのか。いずれにせよ、近ごろは、じぶんとおなじ年ごろの70代から80代ぐらいの人たちが書いた本を手にとる機会が、め……
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三十三 天寿を磨く
前回、小林先生と井伏鱒二さんの酒の飲み方について聞いてもらったが、小林先生にも井伏さんにも可愛がられ、絶大な信頼を寄せられていた編集者に菅原国隆さんがいる。た……
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元旦、道路に寝転んで
今年こそ、絶対に十分な休息を取ると決めていた年末年始だったけれど、やはり今年もドタバタと年を越してしまい、気づけば正月はすっかり終わっていた。ゆっくりと休めた……
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不純な動機
前回の予告通り大学時代の読書の話をしよう。代々木ゼミナールで有意義な時間を過ごした僕は、慶応義塾大学に補欠合格し、クラシカル・ギタークラブに所属した。ギター部……
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三十二 惜しいのは命だけだ
奥湯河原の「加満田」で毎年のように小林先生と年越しをし、毎週木曜日には程ヶ谷カントリー倶楽部でゴルフを楽しんだ批評家、中村光夫さんに、『≪論考≫小林秀雄』という……
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とは
はじめまして。2021年2月1日よりウェブマガジン「考える人」の編集長をつとめることになりました、金寿煥と申します。いつもサイトにお立ち寄りいただきありがとうございます。
「考える人」との縁は、2002年の雑誌創刊まで遡ります。その前年、入社以来所属していた写真週刊誌が休刊となり、社内における進路があやふやとなっていた私は、2002年1月に部署異動を命じられ、創刊スタッフとして「考える人」の編集に携わることになりました。とはいえ、まだまだ駆け出しの入社3年目。「考える」どころか、右も左もわかりません。慌ただしく立ち働く諸先輩方の邪魔にならぬよう、ただただ気配を殺していました。
どうして自分が「考える人」なんだろう――。
手持ち無沙汰であった以上に、居心地の悪さを感じたのは、「考える人」というその“屋号”です。口はばったいというか、柄じゃないというか。どう見ても「1勝9敗」で名前負け。そんな自分にはたして何ができるというのだろうか――手を動かす前に、そんなことばかり考えていたように記憶しています。
それから19年が経ち、何の因果か編集長に就任。それなりに経験を積んだとはいえ、まだまだ「考える人」という四文字に重みを感じる自分がいます。
それだけ大きな“屋号”なのでしょう。この19年でどれだけ時代が変化しても、創刊時に標榜した「"Plain living, high thinking"(シンプルな暮らし、自分の頭で考える力)」という編集理念は色褪せないどころか、ますますその必要性を増しているように感じています。相手にとって不足なし。胸を借りるつもりで、その任にあたりたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。
「考える人」編集長
金寿煥
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