「こころ」一覧
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デイサービスは旅館じゃない
年末が近づき、マライア・キャリーの歌声も聞こえだしたことで、私はかなり焦っている。連日、自分の仕事以外の雑事が多すぎて、翻訳作業が一向に進まない。私はなぜ、こ……
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一、仕方がないんだ、人生は
今年、出家してから40年になった。自分の誕生日さえ忘れることがある人間なので、先だって昔の修行僧仲間からそう言われ、仰天してしまった。 私の得度は1984年の1……
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12.自分を知ると、誰かのことを知りたく……
聞いてもらえなかった経験 先日、雑談の中である人がこんな話をしてくれた。 「ずっと自分の考えや思っていることを話すのが苦手だったんです。サクちゃんとの雑談の場……
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受賞のことばと選評
第二十三回小林秀雄賞
受賞作品 『夢を叶えるために脳はある 「私という現象」、高校生と脳を語り尽くす』(2024年3月 講談社) 受賞のことば 小説を書きたしと思えども、あまりに難し――。せめ……
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11. 「ちゃんと聞く」とは――いかに聞……
「聞く」はとてもむずかしい 「人の話を聞くことができていますか」と問われて、「できている」と自信をもって答えられる人はどのくらいいるだろうか。それだけ「話を聞く……
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みごとな連携プレー
先日のことだ。最近、仕事が忙しい私は朝6時に起きて翻訳作業をしているのだが、その作業が波に乗り始めた9時頃、ケータイが鳴った。ケアマネさんからだった。ピンときた……
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まさかの同居計画
義父母の介護、ここのところシビアな展開だ。 まず、介護スケジュールが変更された。義母は平日はすべてデイサービスに通うことになった。今までデイサービスでは、昼……
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- 評論
第23回(2024年度)小林秀雄賞 受賞……
2024年8月29日午後、一般財団法人 新潮文芸振興会と新潮社の主催による「小林秀雄賞」「新潮ドキュメント賞」選考会がオークラ東京にて行なわれ、受賞作品が決定しました……
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10.ネガティブをひっくり返す――使える……
わたしは、若い頃から環境や困難に対応し続けてきたら、耐える力や我慢するクセがついてしまったという自覚がある。雑談の仕事をしていると、同じように自分の意思や望み……
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最終回 歩き、無になり、仏性を感じる
「ただの極道や……」 三十八番金剛福寺(こんごうふくじ)に到着した。三十七番岩本寺から約80キロ、札所間の距離では最も長い。スーザンと共に読経する。驚いたことに彼女……
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第12夜 お大師さまの街の手練酒場
今回目指したのは川崎大師の近くにある、にぎやかな居酒屋である。ただ、行ってみたらなんだか違和感がある。なぜだろう…… その日は川崎駅で待ち合わせた。 川崎駅と……
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第12回 遍路とは「辺地」をゆくこと
ロッジカメリア、民宿久百々 翌日は朝から雨になった。最初に入ったコンビニで同世代の女性のお遍路さんと一緒になる。徳島からで、初めての遍路のようだ。この先に長い……
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「介護」について書けること、書けないこと
7月上旬、私は新刊『義父母の介護』のプロモーションのため、新潮社の会議室で複数の媒体からインタビューを受けていた。 早朝、京都から東京まで移動するため新幹線に……
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9.「自分だけうまくいかない」のはなぜか……
子どもの頃から「将来の夢」や「やりたいこと」を訊かれると困った。どう考えてもわからないからだ。それで、数年前、「やりたいこと」がある人とない人は何がちがうのだ……
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プロローグ――それは瓶ビールから始まった
義父母と私 私は琵琶湖畔に住む、翻訳家でエッセイストだ。夫、高校生の双子の息子と一緒に、田舎町で、平凡だけど慌ただしい日常を送っている。 翻訳家という仕事は繁……
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第11回 「ありがとう」が湧き出すとき
手許に戻ってきた金剛杖 ほっとしてベンチの方に向かうと、男性のお遍路さんが座っていた。「もしかして大坂遍路道を来ましたか?」。はいと言うと、驚いた顔をした。「……
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第10回 口実ではない、発心を探し求めて
「四国に試されている」 三十五番清滝寺(きよたきじ)・三十六番青龍寺(しょうりゅうじ)と打ち、宇佐の宿に入ると、元気の良い若女将が切り盛りしていた。最近では大女将……
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認知症を少しでも避けたいのなら
二回目のショートステイに義父と義母を送り出しただけで、どっと疲れてしまった私と夫は、自宅リビングでコーヒーを飲みつつ、話し込んでいた。 「いやあ、それにしても……
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8.「自分」を多面的にみる――わたしの中……
雑談をしに来てくれた人に「普段、誰かに自分の話をすることはありますか?」と訊ねると、「ほとんどないですね」という方が少なからずいる。「どうせ話してもわかっても……
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第9回 母のこと、父のこと
計らいは「がん封じ乃椿」 6年前の遍路でも世話になった安芸の友人宅に泊めてもらい、脚を休ませることにした。翌日は朝から篠突く雨となった。休むにはちょうど良い。母……
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第8回 カイロスと呼べる自分だけの時間
ゴロゴロ浜に山頭火を重ねて ホテルを出て間もなく、小島と小島の間から朝日が昇りはじめた。朝焼けがしだいに濃くひろがる海を左手に、国道55号を進む。入江で今日も一……
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義母、はじめてのショートステイに挑戦
愛犬ハリーが亡くなり、もう何もかも投げ出して寝ていたいと思う日々なのだが、後期高齢者介護は私を待ってはくれない。ほぼ連日、ヘルパーステーションから、デイサービ……
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第7回 身体を軸にして見、考えること
ふと気づくとそこにいる蜘蛛 スーザンは50代前半、オランダでは禅のインストラクターをしている。これが人生二度目の海外旅行。20年前にニューヨークへ夫と行ったのが一……
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田瀬理夫に聞く、良いデザインとは? 後編
(前編はこちら) ビーバー的建築、ビーバー的デザイン 堀部 最近ビーバーがマイブームなんです。 田瀬 え、ビーバー? 堀部 ビーバーって川に巣をつくるんですけれど、……
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MAIL MAGAZINE
とは
はじめまして。2021年2月1日よりウェブマガジン「考える人」の編集長をつとめることになりました、金寿煥と申します。いつもサイトにお立ち寄りいただきありがとうございます。
「考える人」との縁は、2002年の雑誌創刊まで遡ります。その前年、入社以来所属していた写真週刊誌が休刊となり、社内における進路があやふやとなっていた私は、2002年1月に部署異動を命じられ、創刊スタッフとして「考える人」の編集に携わることになりました。とはいえ、まだまだ駆け出しの入社3年目。「考える」どころか、右も左もわかりません。慌ただしく立ち働く諸先輩方の邪魔にならぬよう、ただただ気配を殺していました。
どうして自分が「考える人」なんだろう――。
手持ち無沙汰であった以上に、居心地の悪さを感じたのは、「考える人」というその“屋号”です。口はばったいというか、柄じゃないというか。どう見ても「1勝9敗」で名前負け。そんな自分にはたして何ができるというのだろうか――手を動かす前に、そんなことばかり考えていたように記憶しています。
それから19年が経ち、何の因果か編集長に就任。それなりに経験を積んだとはいえ、まだまだ「考える人」という四文字に重みを感じる自分がいます。
それだけ大きな“屋号”なのでしょう。この19年でどれだけ時代が変化しても、創刊時に標榜した「"Plain living, high thinking"(シンプルな暮らし、自分の頭で考える力)」という編集理念は色褪せないどころか、ますますその必要性を増しているように感じています。相手にとって不足なし。胸を借りるつもりで、その任にあたりたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。
「考える人」編集長
金寿煥
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