「安田菜津紀の写真日記」一覧
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闇の中を生きながら
のろのろと進む車の群れ、クラクションの間を駆けていく人々。フィリピン、マニラはいつものように喧騒に包まれていた。きらびやかなネオンから隠れた路地裏の暗闇に、彼……
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- くらし
- こころ
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写真があってよかった
光の寿命はとても短い。特に朝日や夕日が大地を包みこむとき、光の様相は刻一刻と変わっていき、シャッターを切る度にファインダー越しに見える風景が変わっていく。カメ……
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- 思い出すこと
- くらし
- 世の中のうごき
- エッセイ
大熊へ
抜けるような青空だった。駆け抜ける風が微かに汐の香りを帯びている。波音が近い。時々木々の彼方から、穏やかな鳥たちのさえずりに交じって、短く鋭い鳴き声がこだます……
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- 世の中のうごき
- こころ
- エッセイ
シリアに咲く花
4月、外には美しい風景があふれているのに、心はざわついたままだった。理由ははっきりしていた。シリアで化学兵器が使われ、さらにアメリカがそのシリアを突如空爆、と……
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- こころ
- 自然
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カメラを持って、街に出よう
いつもの駅で電車に乗り込み、無意識にスマホを取り出す。しばらくしてふと顔を上げる。車窓の向こう側、線路際に咲いている黄色い花たちが一瞬目に入ったかと思うと、あ……
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- 思い出すこと
- くらし
- こころ
3月、今を生きる宿題
3月がもうすぐ、終わろうとしている。11日は6年前、東日本大震災が起きた日。同じ日、取材でお世話になった方のお子さんが、保育所で亡くなったことを昨年知った。12日、……
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- 思い出すこと
- こころ
- エッセイ
6年という月日は
6年という月日。早かったのだろうか、遅かったのだろうか。こうして東日本大震災を振り返る度に、直後から感じてきた後ろめたさが蘇る。あの日、東北にも、まして日本に……
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- 思い出すこと
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言葉の力を信じています
取材したものを持ち帰り、発表の場を頂く度に思うことがある。自分よりもずっと、経験が豊富なジャーナリストたちが同じ場を訪れていたらどうだったろう。より声を広げる……
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- くらし
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忘れたくない日のこと。
忘れたくない日がある。2015年2月1日、ジャーナリストの後藤健二さんがISによって殺害されたとされる映像が流された。寒い朝だった。その日は元々、シリアの隣国、ヨルダ……
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- くらし
- こころ
- エッセイ
白旗と、傷跡
イラク北部、クルド人自治区。太陽の光が優しく降り注ぐ日でも、通り抜けていく風はぴりりと冷たい。難民キャンプのゲートの前に、古びた車が一台乗り捨てられていた。車……
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- くらし
- 世の中のうごき
- エッセイ
「元旦」のない国から
1月1日、新しい年を迎えた日。私はイラク北部、クルド人自治区の主要都市アルビルの救急病院にいた。日がどっぷりと落ちてもなお、遠くから切れ目なく救急車の音がけたた……
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- 世の中のうごき
- こころ
- エッセイ
もしもあなたが沈黙したら
その日は朝から苛立っていた。何をしていても心が落ち着かない。理由は自分の中でもはっきりしていた。シリアの街アレッポから、苛烈なニュースが絶え間なく流れてくる。……
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- 思い出すこと
- 世の中のうごき
- エッセイ
悪魔
テレビをつけた瞬間に、崩れ落ちるビルの映像が映し出された。何の映画の宣伝だろう。それが決して架空の画ではないと気が付くまで時間を要した。「悪魔に報復する」と、……
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- くらし
- エッセイ
猫の時間
一段と冷え込む夕暮れ時。家路をたどる時間の中で、ちょっとした楽しみがある。民家に挟まれ、ひっそりとした小さな公園で、時々見かける猫の姿だ。 少し灰色がかった……
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- くらし
- こころ
- 自然
- エッセイ
毒
僭越ながら時々、写真の審査や講評をさせて頂く機会がある。毎度痛感するのは、批判的な言葉を探す方が楽であり、褒める言葉を見出す方が困難だ、ということだ。写真だけ……
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- 思い出すこと
- くらし
- ことば
- エッセイ
父の命日
ハロウィンのメロディーが、肌寒くなりはじめた小路に漏れ聞こえる。街中がどこかカラフルで楽し気になるにつれ、暗澹とした気持ちになっていたかつての自分を思い出す。……
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- くらし
- ことば
- エッセイ
阿蘇のイチゴ
曲がりくねった迂回路を突き進み、木々のトンネルを抜けきると、目の前が突然開け、視界が一気に青一色となる。真下に広がる金色に染まり始めた田を同時に眺めながら、「……
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- こころ
- 思い出すこと
- エッセイ
国籍のこと。
幾重にも重なる家族の生きてきた証を、勝手に二分し、どちらかを切り捨てろと迫るものはなんだろうか。 私の父はかつて、兄を認知していなかった。それだけ書くと冷徹……
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- ことば
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- ルポ
言葉のボール
飛び交う言葉に耳を傾けながら、ときどき、小さな頃に遊んでいた校庭の様子を思い浮かべる。たとえそれがどんなに立派なボールでも、そしてそれを投げようとしているのが……
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- こころ
- ルポ
イラク、ようこそこの世界へ
時折シャッターを切る度に、心が打ち砕かれていくような、そんな感覚にとらわれることがある。とりわけ死に向かっていく子どもたちを、ファインダー越しに見つめるときだ……
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私は武器を持っていた
私は武器を持っていた。 ハサミのような形、小型で一見非力に見えるが、実はとてつもなく強力な武器なのだという。目の前の2人の男性たちが突然、この武器をどちらが手……
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一枚の絵
少女はおもむろに棚の中から1枚の絵を取り出し、私たちに掲げた。「何を描いたものなの?」と尋ねると、彼女はいつもの穏やかな口調で答えてくれた。 「私たちの村がIS(……
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密度
ドーハから飛び立ち、約2時間。眼下の風景はいつの間にか、雪の解け残った山脈から赤茶色の大地に変わっていた。小さな機体が目指しているのは、イラク北部の街、アルビ……
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MAIL MAGAZINE
とは
はじめまして。2021年2月1日よりウェブマガジン「考える人」の編集長をつとめることになりました、金寿煥と申します。いつもサイトにお立ち寄りいただきありがとうございます。
「考える人」との縁は、2002年の雑誌創刊まで遡ります。その前年、入社以来所属していた写真週刊誌が休刊となり、社内における進路があやふやとなっていた私は、2002年1月に部署異動を命じられ、創刊スタッフとして「考える人」の編集に携わることになりました。とはいえ、まだまだ駆け出しの入社3年目。「考える」どころか、右も左もわかりません。慌ただしく立ち働く諸先輩方の邪魔にならぬよう、ただただ気配を殺していました。
どうして自分が「考える人」なんだろう――。
手持ち無沙汰であった以上に、居心地の悪さを感じたのは、「考える人」というその“屋号”です。口はばったいというか、柄じゃないというか。どう見ても「1勝9敗」で名前負け。そんな自分にはたして何ができるというのだろうか――手を動かす前に、そんなことばかり考えていたように記憶しています。
それから19年が経ち、何の因果か編集長に就任。それなりに経験を積んだとはいえ、まだまだ「考える人」という四文字に重みを感じる自分がいます。
それだけ大きな“屋号”なのでしょう。この19年でどれだけ時代が変化しても、創刊時に標榜した「"Plain living, high thinking"(シンプルな暮らし、自分の頭で考える力)」という編集理念は色褪せないどころか、ますますその必要性を増しているように感じています。相手にとって不足なし。胸を借りるつもりで、その任にあたりたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。
「考える人」編集長
金寿煥
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